20230414災害対策特別委員会【確定稿】

 令和五年四月十四日(金曜日)

○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
国民民主党・新緑風会の嘉田由紀子でございます。
本日は、まさに七年前、熊本地震が起きたときです。その後、熊本県では、創造的復興ということで七年間御努力をしていただいたこと、私も現場にも行かせていただきましたが、蒲島知事始め、本当に皆さんが御努力なさったこと、敬意を申し上げます。
また、パキスタンにおける水害、あるいはトルコ、シリアにおける大地震、被害を受けられた皆様にもお見舞いを申し上げ、一日も早い復興をお祈り申し上げます。
まず最初に、国際的な貢献について、防災分野における、谷大臣に御質問させていただきます。
所信表明でも谷大臣言われておりますけれども、日本は、地震、津波、水害、災害大国です。しかも、古代からかなり文字情報あるいは絵などが残されておりますので、歴史に学び、被害の最小化というところでは様々な知恵が蓄積されておられます。そういうところから、例えば、私たちは、土地利用、建物配慮を含む流域治水という仕組みも滋賀県からも提案させていただきました。
海外の事例で一つ紹介させていただきますけど、二〇一一年の夏、タイのチャオプラヤ川で、日本の企業、トヨタさんなどが大被害を受けて、水害で、五兆円の被害を受けました。ただ、あのときに、筑後川下流で企業活動していたある企業があるんですけど、名前申し上げません、明治の最初の初代の社長が、どこへ進出するときも必ず過去百年の水害履歴を見て、そしてかさ上げをなさいということを言わば企業の方針にしておりまして、チャオプラヤ川の被害もこの企業は浸水を受けなかったんです。
ということなどもありますので、そこで、谷大臣にお伺いいたします。
我が国が持つ防災の知見、教訓を、国際的に協力、国際協力にどう反映をしていかれるか。あるいは、日本が誇る防災技術もたくさんあります。企業の海外への支援というところも含めて、谷大臣の御見解をお願いいたします。
○国務大臣(谷公一君) 委員御指摘のように、我が国はこれまで多くの自然災害を経験してまいりました。昨今の気候変動により世界的な災害の激甚化が見られる中、我が国の知見や教訓などを世界と共有し、国際社会に貢献していくことが強く求められていると思っております。
これまで、平成二十七年は仙台で第三回の国連防災世界会議を開催し、仙台防災枠組の取りまとめに中心的な役割を果たしたところでございますし、また、神戸にありますアジア防災センターのその活動を支援し、今年三月には、内閣府とこのアジア防災センターが主催するアジア防災会議を仙台市において開催したところであります。私も参加させていただきました。
さらに、委員御指摘のとおり、我が国企業が持つ防災技術を世界に展開し、世界の災害被害を軽減に貢献することも重要だと考えております。このため、三年ほど前から防災技術の海外展開に向けた官民連絡会というのを設立し、現在、約二百の企業、団体とともに、官民一体となった防災技術の海外展開に取り組んでいるところであります。
引き続き、委員御指摘の我が国の知見などを活用して国際防災協力を推進するとともに、我が国の防災技術の海外展開についても促進を図ってまいりたいと考えております。
○嘉田由紀子君 是非、その辺はよろしくお願いいたします。ソフトのまさに命を助けるという大事な役割だと思います。
そのときに人材を育てるというのが大変大事だと思うんですが、民間の資格ですけど、防災士という役割があります。一種の防災に関する知識は公共財だと思いますが、各自治体などで防災士を、資格を取るような支援をしているんですけれども、ここは積極的に国として支援をしていただくようなそういう方向はあるでしょうか。
○国務大臣(谷公一君) 防災士は大変有益なものだというふうに考えているところであります。現在、全国で二十五万人以上の方が登録されていると承知しているところであります。
内閣府におきましては、例えば、地域、地区防災計画の作成のための研修会を実施しておりますが、防災士の方々には、研修会を受講していただくだけでなく講師として参加していただくなど、連携を図っているところであります。
こうした観点から、一部の自治体においては、委員御指摘のように、防災士の資格取得に係る費用を補助している事例もあると承知しているところであります。
国といたしましては、このような各地域における地域独自の防災人材の発掘であるとか育成の取組を促すことにより、地域の防災力向上に取り組んでまいりたいと考えております。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
地域の人材育成というところで、私どもが大変大事に思っておりますのは、子供たちにどうやってこの災害に対応する力を付けてもらうかということで、実は私たち、一九九〇年代から水害被害者調査をしてきて、そのことを学校で示してほしいとお願いをしてきたんですが、多くの学校がようやく、この環境や、あるいは琵琶湖もそうですけど、水環境を研究、あるいは親しみ始めたのに怖いことは教えてくれるなということで、九〇年代、この学校で防災教育、水害教育ができなかったんです。ただ、幸い、最近ようやく、例えばハザードマップなどを使って、まして、こう被害が増えておりますので、防災教育が進みつつあるんですけど。
文部科学省さんに、この辺り具体的に、どういう授業でどんなカリキュラムでやっていらっしゃるのか、防災教育の具体のところを教えていただけますか。

20230414【配布資料6-7】災害対策特別委員会
○政府参考人(里見朋香君) お答え申し上げます。
学校保健安全法に基づき策定をされました第三次学校安全の推進に関する計画におきましては、児童生徒が将来の地域防災力の担い手となるよう、実効性のある防災教育を推進することが求められております。
お尋ねの学習指導要領におきましては、例えば、小学校理科で、流れる水の働きと土地の変化について学ぶ際に自然災害について触れること、高等学校地理歴史科で、様々な自然災害に対応したハザードマップなどの地理情報を収集し、読み取り、まとめる地理的技能を身に付けるといったことが記載されております。各学校におきましては、学習指導要領に基づき、各学校の実情や各教科の特質、児童生徒の発達の段階も踏まえ、指導がされていると承知しております。
なお、ハザードマップの活用事例といたしましては、小学生がハザードマップを用いて地区の地形の特徴や過去の災害を学んだ実践や、中学生がハザードマップを参考に独自の防災マップを作成し、地域に紹介した実践などが報告をされております。
引き続き、児童生徒が、地震や津波、風水害などの災害に、自ら危険を予測し安全な行動を取ることができる判断力などを身に付けるため、学校での防災教育の充実に努めてまいります。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
子供たちに伝えると、それがその家族に伝わるんですね。お父さん、お母さん、こうだったよと。それから、おじいちゃん、おばあちゃんに昔のこと聞いてみようかというようなことで、いわゆる伝統的知識を持っている高齢の方も自分の出番が来たというようなことで、かなりコミュニケーションが進む事例も随分経験をしております。
それで、谷大臣に、ちょっと時間がないので四は飛ばさせていただきまして、五のところで、伝統的知識の活用について。やはり毎年起きるようなものではありませんので、災害というのは、五十年とか百年とか、そういうところで、伝統的知識を具体的に活用するにはどうしたらいいかということ、谷大臣の御見解をお願いします。
○国務大臣(谷公一君) 委員御指摘のように、古くから災害は我が国に数え切れないほどあったわけでございますので、各地域に災害遺構とか言い伝えなど、過去の災害の記憶、記録が残っている例も多々ございます。そういう災害の記憶を次の世代に引き継いでいくことが重要だと思っております。
例えば、いい例として、岩手県宮古市には一九三三年の昭和三陸地震の津波被害の教訓を刻んだ石碑が建てられています。そして、この石碑より高いところに自宅を建てた住民は、この東日本大震災の津波被害を受けなかったということが知られております。ただ、逆に、私の見聞きしている例では、石碑があったにもかかわらず、より便利な海に近いところにうちを建て、いろんな商売をやっていたということで被害を、大変な被害を受けたという例もございます。
折しも、今年は関東大震災から百年の節目に当たります。内閣府といいますか政府といたしましても、秋に「ぼうさいこくたい」を神奈川県において開催する予定でございますが、そのテーマは、「次の百年への備え 過去に学び、次世代へつなぐ」でありまして、様々な災害の記憶を子供たちに継承する取組を広く発信する場にしたいと考えております。
この節目の年に、過去の災害の記憶を継承する取組、まあ東日本大震災などでは震災遺構ということで、それぞれの地域で積極的に取り組んでいるということは大変すばらしいことだと思っております。私も二十八年前、神戸で阪神・淡路大震災を経験いたしましたけれども、神戸なり兵庫県はその点が弱かったのかなと個人的には反省しているところであります。
○嘉田由紀子君  御丁寧にありがとうございます。
かなり時間が迫っているんですが、私、行政組織を知事として二〇〇六年以降二期八年、責任を持たせていただいて、防災危機管理の行政に女性がどうしても必要だということで幹部職員を女性を指名して、二〇〇八年です、そうしたら彼女が、嘉田知事、日本中の都道府県の幹部が集まって、女性は私一人でしたと言うんですね。二〇〇八年です。
じゃ、今どうなっているのかということで資料の一、二、三、四の資料を出させていただいておりますけれども、都道府県で、幹部どころか担当者に女性が一人もいない道府県が四十七分の三十三あります。幹部だともっと比率が低い。それから、防災会議というのがあるんですが、ここの割合も四〇パー、三〇パーと、滋賀は三〇パー超えているんですけど、全く、一〇パー以下のところもたくさんあるんです。

20230414【配付資料1】災害対策特別委員会

20230413【配付資料2】災害対策特別委員会 (1)

20230414【配付資料3-4】災害対策特別委員会

この辺で、やはり女性参画というのが大変防災の分野で大切だと思うんですが、もう時間もないので手短にお願いできたらと思います。

○国務大臣(谷公一君) 委員御指摘のとおり、大変少ないということは事実であります。私も、政府全体としては内閣府の男女共同参画の方が中心になって行っているわけでありますが、それだけでは駄目だということで、地方防災会議における女性委員の登用を促進していただく、余り芳しくないですから、ちょうど今日の嘉田委員の質問を待っていたわけではありませんけれども、昨日付けで改めて自治体に対し働きかけを行ったところであります。
何度もしつこく粘り強く本気になって言わなければこれはなかなか改善しないと思いますが、精いっぱい頑張ってまいりたいと思います。
○委員長(三浦信祐君) 時間が来ております。
○嘉田由紀子君    はい。時間が来ましたので。
是非とも、自治体で女性がどんどん入っていくと、これはこの分野だけではないんですけれども、大変行政の密度とそれから成果も上がると思いますので、是非、大臣、率先してよろしくお願いいたします。
これで終わります。ありがとうございました。

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