8月3日に、7月中旬の豪雨で「観測史上最大」と言える降雨で大きな被害を受けた秋田県を視察訪問しました。参議院災害対策特別委員会です。地元対応をいただいた佐竹敬久秋田県知事、穂積志秋田市長、渡邊彦兵衛五城目町長はじめ、それぞれの行政部門の皆さま、ご準備いただいた省庁関係の皆さまに感謝もうしあげます。視察後の首長の皆さんとの意見交換時に、13項目の緊急要望をいただきました。農業被害や森林破壊、また都市部の住宅部や商店など、一日も早い復興が可能となるよう、今後委員会でも要望をまとめていきます。その要望にも含まれている項目をふくめ、湿地帯でのハザードマップの効果について、流域治水推進の観点からご紹介します。8月17日には災害対策特別委員会で問題提起させていただきます。また長いです(2000文字)。8月4日。
視察の一番目は、農業被害が大きかった五城目町の馬場目川沿岸です。水土里ネット馬場目川水系の加藤光儀理事長は、「60年以上農業をしてきたが、これほどの浸水被害ははじめて」ということ。900haのうち半分を超える500haが洪水をかぶったということ。ハザードマップではかなり正確に浸水地域を予測できています。堤防が破れた場所の修復工事場面を訪問させていただきました。稲は出穂期前だったので被害があまり大きくないことを祈るばかりです。
ここで秋田県議の自民党の鈴木まみさんが声をかけてくださいました。県議は41人中女性が6人という。自民党同志の争いで、一人区でも女性が選挙で勝ったということ、大変めずらしいです。鈴木さんは県職員として長年頑張ったその経験を訴えての当選だったようです。家族も応援してくれたということ、一緒に視察した寺田静参議院議員と三人で写真をとらせていただきました。今後とも災害復興の場面などで意見交換をしていきましょう、と約束しました。
視察の二番目は秋田市内の中心部の旭川の街中堤防破壊地域と秋田駅近くのアンダーパス被害、街中の内水氾濫地域です。事前の聞き取りで、国土地理院が浸水被害マップを今だに出せていないのを不思議に思ってきました。2020年7月の球磨川水害ではその日中に地理院が浸水マップを公表していました。秋田市の現場に来てみてわかりました。秋田市内は全体が湿地型平野で、土地の高低差が小さく、浸水地域の確定ができないということ。そして浸水源は一部太平川からの外水もありますが、基本は内水氾濫です。地形図をみたらよくわかります。基本的に秋田市内は雄物川の下流部の氾濫原に広がった湿地帯です。このような氾濫原ほど流域治水の施策が有効となるはずです。
知事や市長などとの意見交換会ではハザードマップの有効性を伺いました。ハザードマップがどこまで実際の浸水被害と重なっていたのかというマップ効果です。秋田市長は、実際の浸水状況は、ハザードマップでリスクが予測されていた地域とほぼ対応しているが、詳しくみてみると、内水氾濫などの予測が不十分なところがあったということです。今後、一層予測度の高いハザードマップを作製するには追加の予算が必要なので、是非とも国の方で、内水氾濫等も十分ふくめた、予測度の高いマップをつくるための補助率のかさ上げなど、予算支援をお願いしたいということでした。滋賀県では県独自の費用で行いましたが、今後、全国に広めるには国の予算拡大が必要です。
現場を訪問して見えてきたことは、大雪地帯ということもあるでしょうか、コンクリート化された駐車場面積の広さです。都市化によるコンクリート化の増大が今回の秋田市の内水氾濫で問題となりました。流域治水の方針からみれば、コンクリート面積をへらしグリーンインフラ技術等を活用し、地下浸透率を高めるような駐車場づくりの手法もあります。ドイツなどでは日常的に活用されています。駐車場等の地下浸透率をたかめ、学校の校庭や公園などの雨水貯留機能強化など、流域治水の役割が発揮される地域です。この点については、8月17日に予定されている災害対策特別委員会で質問します。
また災害時の病院機能も今回問題となりました。秋田市中心部にある中通総合病院は地下や一階に大量の水が流れ込んで、救急も含めてすべての診療を中止しました。医療資材の保管や食事の調理などを行う施設は地下にありました。救急外来や新たな入院患者の受け入れもできなかったということ。 30人の入院患者も自衛隊の協力を受けて別の病院に搬送しました。8月2日の中日新聞では、全国の災害拠点病院の(765施設)のうち29%、221病院が洪水浸水想定区域内に立地しているということです。災害拠点病院以外でも、28%が洪水浸水想定区域内に立地しています。
先日、7月19日の嘉田由紀子FBでも紹介しましたが、千葉県船橋市では、現在の市民病院が災害拠点病院ですが、現在湿地帯である地域への病院移転を計画しております。厚生労働省として、浸水リスクの高い病院をこれ以上増やさないよう、建設計画段階での指導体制はつくっているのか、8月17日の災害対策特別委員会で厚労省に確認します。まさに「先憂後楽」の施策です。