琵琶湖博物館の企画展示「おこめ展―おこめがつなぐ私たちの暮らしと自然」の紹介をさせて下さい。夏休み期間を含む、2023年7月15日から11月19日まで開催しています。私たちの暮らしの場で日々当たり前と思っている「おこめ」にこんなに長い歴史と深い意味が隠されていたのか。改めて、米どころの滋賀県ならではの、県立県営の琵琶湖博物館ならではのワクワクする企画展示です。夏休みの自由研究の素材もたくさんあります。お子さんやお孫さんをつれて、あるいは親しい人たちお誘いあわせの上、是非とも訪問ください。極暑を避けての「クールシェア!」。滋賀県内の65歳以上の方、また小中学生、障がい者は入館料無料です!7月28日。ちょっと長い1300文字です。
今から40年近く前の琵琶湖研究所研究員時代の1985年(昭和60年)に、「湖と人間」の関係性の総体を研究•展示する琵琶湖博物館を仲間と提案し、10年以上の準備期間を経て1996年(平成8年)に開館した琵琶湖博物館。今ふりかえってみると、よくぞあんなに自由な未来型の企画と構想を実現させてもらった、と当時の滋賀県当局に感謝です。第1回の今森光彦さんの企画展示「里山」、第2回は前野隆資さんの生活写真をもとに今昔写真比較の「私とあなたの琵琶湖アルバム」、毎年1-2回の企画展示を開催し、27年たった今回は31回目。
今回の企画展示の担当は考古学の若手研究者、妹尾祐介さん。一言でいうと「さすが、考古学者の展示構想」、私たちに馴染みの深い「おこめ」を、こんな長い時間軸で提案できる展示は、生物と文化、歴史、そして行政政策とのつながりの深い琵琶湖博物館ならではの企画です。
ねらいは下記です。「私たちの暮らしと深く関わってきた、おこめ。多様な研究領域をもつ琵琶湖博物館が総力をあげて、おこめの秘密や魅力を余すところなく紹介します。 田んぼを利用する生き物の世界、知られざるイネの生態と田んぼの仕組み、おこめを中心とした伝統的な暮らし、おこめと私たちの歴史といった様々な切り口で、おこめに迫ります。 世界規模で生活様式が均一化を始めている今日。この先、おこめを中心とした生活は消えていくのでしょうか。「おこめ展」を通じて、おこめと私たちの未来を考えてみませんか」。
「田んぼは生き物の宝庫」、哺乳類から鳥類、両生爬虫類、魚類、昆虫、微小生物まで6000種類を超える生物が田んぼに生息!すっごいですね。「おこめと田んぼ」、なぜ田んぼに水をはるの?雑草を減らすため、そしてイネの肥料のケイ酸を増やすため。「おこめと私たちの暮らし」。集落の年中行事から、ワラ製品まで、お米なしに私たちの暮らしはなかった!
「おこめと私たちの歴史」、弥生時代から開かれた滋賀県の水田、平安時代には、今の滋賀県の水田の8割がたの開発がすすんでいました。そして「おこめとこれからの滋賀県農業」。水田の排水のほぼすべて琵琶湖に流れ込む滋賀県では、農薬や肥料を節約した環境こだわり農業が定着しています。最後に暮らしと米を「ふなずし」「地酒」と象徴的なつながりにむすびつけることで、その文化的価値をまとめています。
展示をみて質問や疑問があれば、「質問コーナー」にどうぞ。いずれかの学芸員が毎日担当しています。是非とも妹尾学芸員に、皆さんの質問をぶつけてみてください。またウイリアム・ブライアンさん寄贈の局面絵画も入口に展示されています。
ミュージアムショップでは、黒川ルイ君がえがいた「琵琶湖の魚」の新しいTシャツなどオリジナルグッズが一杯です。レストランでは人気の琵琶湖カレーや、「湖の幸の天丼」など、オリジナルメニューを楽しむことができます。夏休み中、是非ともゆっくり時間をとって琵琶湖博物館へおこしください。