7月15日になっても、まだ「梅雨末期の豪雨」がひきません。日本列島北部に停滞した梅雨前線の影響で日本海側から東に流れる線状降水帯により秋田県での豪雨がおさまりません。今晩から明日にかけてもまだ秋田県では雨が降り続きそうです。二階だての家の場合には二階へ避難、浸水地域で平屋でお住まいの方は近隣で二階建て以上の家やビルに避難させてもらいましょう。「高齢者」「平屋」「一人住まい」の方が最も危険です。浸水地域の皆さん、近所に呼びかけてください。ただし、夜間の移動は危険です。総合的に判断して「命を守る行動」をしてください。7月9日に、埼玉県の熊森協会さまからのご要望で、「水への畏敬、そして備えー流域治水はみんなが主役」という講演をさせていただきました。90分の講演、30分の質疑応答、大変熱心な参加をいただきました。エッセンスだけ紹介させていただきます。7月15日。(また長いです、2000文字)。
流域治水は、温暖化が進むなかで水害は激甚化し、特に都市化がすすんだ都市部で最も必要な水害対策です。これまで降ったことがないような水量が河川に流れると、堤防やダムだけでは抑えきれず、住宅地や農地に洪水があふれだしてしまいます。ダムは計画規模をこえた大雨がふると「緊急放流」せざるをえず、浸水被害地の皆さんにとっては恐怖の緊急放流になりかねません。そこで「川の中だけでなく、川の外、つまり私たちが暮らす住宅地、道路、公園、学校、工場などどこでも町まるごと治水」を普段から関心をたかめて暮らしの中で「洪水へのそなえ」を日常化するのが流域治水です。滋賀県では戦後の都市化の中でかつての水田や川べりの霞堤などで住宅開発がすすんだ危険な現場をみて、私自身が知事時代に、全国にさきがけて2014年3月に「滋賀県流域治水推進条例」をつくりました。
住民としては、自分の身のまわり(地先)にはどのような危険性があるのか、行政が示したマップをみて「危険性を知って備える努力」をすることです。いざ、水が迫ってきてからでは遅いのです。普段から地域自治会や防災組織の中で、あるいは学校の通学グループの中で、危険性を知る活動をすすめましょう。埼玉県で強調すべきは、利根川、荒川、中川など大河川が埼玉県には多いということです。河川面積は全国二位です。その上、埼玉県の危険性は、その河川の氾濫地域に、急激に人口が増えていることです。私が埼玉県人だった高校時代まで200万人だった県民は今3倍以上の700万人をこえています。この新住民は氾濫危険区域に居住していても、その危険性をなかなか知りません。地域への関心もうすいです。
そこで熊森の皆さんにまずは自分の居住地のハザードマップの確認をお願いしました。洪水の危険はできるだけ知りたくない、という人が多いということ。実は熊森は、山間部から熊が住宅地にでてきて危険だ、ということを知ってもらって、熊を殺さずに熊と共存したいと願っているということ。洪水も同じです。洪水は怖い、だから抑えこもうと思っても、自然は人間の都合だけを聴いてくれません。自然の猛威は人間の願いをこえて襲ってきます。そこで今、私たちがそなえるべき心構えは「自然は人間の都合どおりにはいかない。特に水の存在価値や恵みと災いはセットであり、その畏敬の念を心に刻んでこそ、備えができるのでは」とお伝えしました。そして最後に、比叡山のご本尊の薬師如来さまのご加護とともに、「草木虫魚悉皆成仏」という天台宗の教えといわれている思想を紹介させていただきました。
今、秋田県では「経験したことのない大雨になっている」ということ。低い土地での浸水や土砂災害には十分に備えてください。秋田県に親戚、知り合いがおられる方は、現地では電気がきれていたり、TVがつかなかったり、情報がかけている場合もあるでしょう。電話やSNSで知り合いに連絡をとってみてください。明日の朝、被害がふえていないことを祈り、この投稿をさせていただきます。