「連合ってどういう組織?」と聞かれたら、滋賀県では約7万人、全国では700万人の働く仲間が加盟する労働組合ですとこたえます。戦後の民主化のなかで、日本国憲法で保障された働く者の権利を表明・交渉できる場です。7月12日、「連合滋賀」が主催する「2024年度政策・制度要求と提言」をめぐる討論集会に参加しました。毎年この時期に開催されていますが、今年は市議や県議の皆さんもまじえて、それぞれの地域や職場の問題提起をふまえて、テーマ別に活発な討論がなされました。皆さんの暮らしのどこかでつながるテーマも多いと思います。エッセンスをご紹介させてください。7月13日。(また長いです。1800文字)。
働く者の政治的代表として、国会では立憲民主党、国民民主党と大きくふたつの政治グループがあります。国会の委員会や本会議では最近、意見があわない場面もあるのですが、滋賀県は、今から34年前の1989年に旧民間系組織と公労系組織が「連合しが」としてひとつにまとまり、全国の連合組織のさきがけとなりました。その流れをくんで、滋賀県では県議会も「チームしが」が民主系と無所属系をまとめるプラットホームとなっています。
最初の挨拶では、大きく3点申し上げました。今県内でも国会議員の政党移動などもあるが、滋賀県は、県議会での「チームしが」のような民主系プラットホームの存在は重要で、「滋賀はひとつ」という理念のもと、まとまって活動していきましょうと呼びかけました。二点目は、国会で私が力をいれている政策の中で子育て政策を紹介しました。子育て政策では、予算委員会で岸田総理に「異次元の子育て」を実現する一つの方法として、「男性が前向きに子育てに参画できるように」価値観を変えることを提案したと報告しました。
具体的には「子育ては国難」というなら、国難に参画するために、仕事の場をいったん離れて子育てや介護に働く者の時間をふりむける政策を「育児・介護休業法」ではなく「育児・介護参画法」と名前を変え、国民全体の意識変革を岸田総理が先導してほしいと提案しました。具体的には関西のある銀行ではすでに10年以上前から「育児・介護参画制度」と名付け、男性の育児参画率は7割をこえたと実績も伝えました。
また乳児期に父親が子育てにかかわった子どもは思春期の自己肯定感が高いという児童心理学の研究結果も紹介しました。ただ、総理は「なじんでいる法律を変えられない」という答弁。これでは「異次元」とはいえません!ほかの政策をみても、残念ながら、今の自民党さんの子育て政策では、少子化は止まらないのでは、と懸念を伝えました。その点滋賀県では女性の子育てと仕事の両立支援など、子どもを産み育てやすい政策をすでに2008年頃よりはじめており、積極的に子育て支援をすすめ続けています。
もうひとつは、水害対策です。2014年、全国ではじめて「滋賀県流域治水条例」を制定したが、その時、正直ここまで水害がひろがることを予想していなかった。今では毎年1兆円を超える水害被害がひろがっている。流域治水では、堤防などの河川施設で水害被害をふせぐだけでなく、危ないところに住宅などをつくらないという土地利用規制や、危険なところに住宅をつくるには嵩上げを義務化すること、また小水路もふくめてきめ細やかなハザードマップをつくり確実に住民参加で備えることを呼び掛けてきたが、まさにこの実践が今求められています。今全国各地から講演依頼なども多く、滋賀モデルを全国に展開している、と伝えました。
今回、「連合しが」がまとめた政策は、公共サービス改革、地方税制、雇用政策、環境政策、医療・福祉、教育•文化、女性活躍、農林水産業など大きく12課題がとりあげられました。その中で、ひとつ「カスハラ」というテーマが問題となりました。これはスーパーやお店などでお客の側から従業員の人格を否定する暴言や長時間拘束などの「悪質クレーム」があり、これを「カスタマーハラスメント」と呼び、その略称です。お客を大事にすることはもちろんですが、その逆が行き過ぎると働く現場での大きなストレスを与えるだけでなく、ゆくゆくは仕事が続けられず、働き手不足さえ招きかねません。
県議会では河井昭成議員が公務におけるカスハラを取り上げてくれたということ。大変大事な視点です。今、保育現場での保育士不足などもありますが、保育士さんが仕事をやめたいと思うひとつの大きな要因は保護者からのクレームなどである、ということです。学校の先生、あるいは病院での看護師さんなど、サービスを受ける側からのクレームは、それぞれ正当な主張もあるでしょうが、それが行き過ぎたら、結局本来必要な公的サービスが続けられないという人格否定にまでつながりかねません。私たち一人ひとりが留意したいことです。皆さん、どう思われますか?