Facebook 2023年6月14日 2023年6月9日の参議院本会議での嘉田由紀子の会派を代表しての質問に対して、各大臣の答弁が上がってきました。

2023年6月9日の参議院本会議での嘉田由紀子の会派を代表しての質問に対して、各大臣の答弁が上がってきました。ただ、まだ「未定稿」ですので、引用は避けてください。テーマは「不同意性交罪」をめぐる刑法改正について、法務大臣、厚生労働大臣、内閣府特命担当大臣(こども政策)に以下の質問をいたします。大変センシティブな問題であり気をつかいました。6月14日(長いです。4000文字をこえています。すみません)
<嘉田由紀子の質問骨子>
(1)性犯罪や性暴力被害者の総合的な救済のための公的機関のあり方をめぐり、緊急相談体制を有する都道府県はどれくらいあるのか。
(2)運営のための国からの財政的支援はどうなっているのか。
(3)犯罪への加罰はもちろん必要だが、犯罪抑止の観点から、司法と医療の連携のあり方に関する法務大臣の見解は。
(4) 「不同意」であったことの立証について、犯罪の立証のために、検察官が裁判所に提出する証拠の「証拠能力」や証拠能力が認められた場合の証拠の「証明力」には、どのような違いが生じるのか。
(5)公的機関が家庭内におけるどのような行為に、どの程度まで立ち入るべきなのか。
(6)配偶者間の不同意性交等について「家庭内の問題に対する抑制的な対応を重視する考え方」と、「家庭内においても各配偶者の人格権を最大限に尊重する考え方」とのバランスをどのように取るのか。
(7)「配偶者間における性犯罪」を明示的に見直すことについて、法務省ではどのような議論が行われたのか。
(8)子どもの性被害と家族制度について、日本の子どもがおかれている家族のあり方,特に親の離婚後の子どもをとりまく家族の問題を改善するご意思はあるか。
(9)子どもたちにとってどのような家族制度をつくりだしてあげるべきか、またこれから結婚をして親になる若い人たちに、相互の信頼と愛情深い家族関係をつくるのに、どのような支援が可能となるのか、「こども家庭庁」を担い、日本国の子どもの未来に責任を持つ小倉大臣としてのご見解は。
(以下各大臣の答弁です)
○国務大臣(齋藤健君) 嘉田由紀子議員にお答え申し上げます。
 まず、性犯罪等の被害者のための都道府県における緊急相談体制についてお尋ねがありました。当該相談体制の整備については、法務省の所管外の事項であるため、お答えをすることは困難です。
 もっとも、性犯罪等の被害者に対し、被害直後から切れ目のない手厚い支援を提供することは重要であり、各都道府県に設置されている性犯罪・性暴力のためのワンストップ支援センターが被害直後から総合的な支援を提供しているものと承知しています。法務省が所管する法テラスにおいては、このワンストップ支援センターと連携しながら、法的支援が必要な被害者に対し、被害者支援の経験や理解のある弁護士の紹介等を行っています。法務省としては、関係府省庁等と連携しつつ、適切な支援を届けられるよう努めてまいります。
 次に、司法と医療の連携の在り方についてお尋ねがありました。
 一般論として、法務省、検察当局においては、罪を犯した者について、刑事手続の各段階において、その再犯を防止する観点から必要に応じて医療機関と連携しつつ対応しています。特に、刑事施設や保護観察所においては、性犯罪を犯した者について、認知行動療法の手法を取り入れた性犯罪者処遇プログラムを受講させることなどを通じて再犯の防止に努めています。今後も、法務省としては、関係各機関において、刑事手続の各段階に応じ、医療と適切な連携を図っていきたいと考えております。
 次に、不同意わいせつ罪等に関する証拠の証拠能力や証明力についてお尋ねがありました。本法律案は、現行刑法の強制わいせつ罪や準強制わいせつ罪などの要件を改めることとしていますが、これにより刑事訴訟法上の証拠能力や証明力の考え方が変わるものではなく、検察当局においては、引き続き個々の事案に応じ適切に立証していくものと考えています。
 次に、配偶者間における不同意性交等罪における捜査や立証の在り方に関してお尋ねがありました。個別具体の事案における捜査や立証の在り方については、個々の事案の内容や証拠関係に基づいて判断されるべき事柄であり、一概にお答えすることは困難です。
 いずれにしても、捜査当局や公判を担当する検察官においては、刑事訴訟法その他の法令に従って、個別の事件における捜査、立証上の必要性を踏まえ、関係者の権利を不当に侵害することがないよう適切に証拠収集や公判立証を行っているものと承知をしています。
 次に、配偶者間における不同意性交等罪に関し、家庭内で行われることの考慮の在り方についてお尋ねがありました。配偶者間における不同意性交等が家庭内で行われるものであることは事実ですが、現行の刑法の下においても、強制性交等罪の成立に婚姻関係の有無は影響しないとする見解が一般的であり、実務においてもそのように理解されています。本法律案においては、この点を条文上明確にするため、改正後の刑法第百七十七条第一項において、婚姻関係の有無にかかわらず不同意性交等罪が成立することを確認的に規定することとしています。
 最後に、配偶者間における性犯罪の不可罰性に関してお尋ねがありました。先ほどお答えしたとおり、改正後の刑法第百七十六条第一項、百七十七条第一項において婚姻関係の有無にかかわらずとしているのは、婚姻関係があっても強制性交等罪などが成立し得るという現行法の下での一般的な理解を条文上確認的に明確化するものであります。そして、このような確認規定を設ける必要性を示す議論としては、本法律案の立案に先立って行われた法制審議会の部会において、複数の委員から、配偶者からの性行為には応じるべきという社会通念は今なお存在する、被害者自身も配偶者間で強制性交等罪が成立するという認識を持っていない場合がある、そういった指摘がなされたところでございます。(拍手)
   〔国務大臣加藤勝信君登壇、拍手〕
○国務大臣(加藤勝信君) 嘉田由紀子議員より、性犯罪被害者の相談体制についてお尋ねがありました。婦人相談所においては、性犯罪被害者等からの相談に対応しており、令和三年度においては三十八都道府県の婦人相談所において休日、夜間の相談を行っておりますが、二十四時間三百六十五日に対応している婦人相談所はないものと承知しております。
 厚生労働省としては、これまでも、性犯罪被害者を含む様々な困難な問題を抱える女性からの電話相談などに休日及び夜間を含めて対応する婦人相談所の体制を整えるための財政支援を行っており、引き続き相談体制の整備に努めてまいります。(拍手)
   〔国務大臣小倉將信君登壇、拍手〕
○国務大臣(小倉將信君) 緊急相談体制を有する都道府県及び財政的支援についてお尋ねがありました。性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターは、被害直後からの医療的支援、法的支援、相談を通じた心理的支援などを可能な限り一か所で提供する機関であり、現在、全ての都道府県に設置をされています。内閣府の運営する性暴力被害者のための夜間休日コールセンターの利用を含め、全国のワンストップ支援センターにおいて、夜間、休日を含め、被害に遭われた方々が相談できる体制となっています。
 また、ワンストップ支援センターへの支援については、センターを設置する都道府県等に対し交付金を交付することにより、センターの運営の安定化や、運営の安定化や被害者支援機能の強化等を支援しているところです。引き続き、被害に遭った方が全国のどこでも夜間、休日を含めて相談ができ、適切な支援が受けられるよう、交付金による支援を含め、必要な取組を行ってまいります。
 離婚後の子供の生活問題についてお尋ねがありました。離婚した家庭の子供も含めて、誰一人取り残さず、子供の健やかな成長を社会全体で支えていくことが重要だと考えています。こども家庭庁では、現在、一人親家庭については、子育て・生活支援、就業支援、養育費確保支援、経済的支援の四本柱に基づいた支援を行っており、現下の物価高、物価高騰対策においては、低所得世帯に対して、子供一人につき五万円の給付も行っているところです。
 さらに、先般お示しをしたこども未来戦略方針の素案では、一人親を雇い入れ、人材育成、賃上げに向けた取組を行う企業に対する支援の強化、資格取得を目指す一人親家庭に対する給付金制度の対象資格の拡大、養育費に関する相談支援や取決めの促進といった施策の充実に取り組むこととしています。こども政策担当大臣として、様々な子供や子育て家庭に対し、切れ目のない包括的な支援ができるよう、しっかりと取り組んでまいります。
 日本の家族制度及び若い世代の方への支援についてお尋ねがありました。まず、家族制度、親権制度については法務省の所掌になります。父母の離婚後の親権制度の在り方については、現在、法制審議会家族法制部会における調査審議が進められているものと承知しており、法務省においてしっかりと検討が進められるものと認識しています。
 次に、これから結婚をし、親になる若い方に対しては、希望どおり結婚をし、希望する誰もが子供を持ち、安心して子育てができる社会、そして、子供たちがいかなる環境、家庭状況にあっても、分け隔てなく大切にされ、育まれ、笑顔で暮らせる社会の実現を図ることが重要だと考えています。
 このため、先般お示しをしたこども未来戦略方針の素案では、ライフステージを通じた子育てに係る経済的支援の強化や若い世代の所得向上に向けた取組、全ての子供、子育て世帯を対象とする支援の拡充、共働き、共育ての推進、子供、子育てに優しい社会づくりのための意識改革の柱に沿ってこれまでにない思い切った施策のパッケージを盛り込んだところであり、こども政策担当大臣として、これらの施策をしっかりと推進してまいりたいと考えています。(拍手)
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