Facebook 2023年4月19日 現在の単独親権を規定している民法を改正して「共同親権導入へ」という一定の方向がでたようです。

2023年4月18日は、親の離婚で親から離れ離れにされてしまった日本の子どもたちにとって(毎年約20万人と推測されます)、また離婚により子ども(や孫)と会えなくなった日本の親や祖父母の皆さんにとって、記念すべき決断の日となるでしょう。現在の単独親権を規定している民法を改正して「共同親権導入へ」という一定の方向がでたようです。しかし、真に「子どもの利益」が実現できるような制度設計にもっていくためには、今後の緻密な法案づくりの議論にかかわり続ける必要があります。なお、2019年7月に嘉田由紀子は参議院に送りだしていただいてから、民法819条の離婚後単独親権を、「真に子どもの福祉を高めるために共同親権にするべし」という主張とその歴史的、社会的、児童心理学的根拠等を示しながら、法務委員会や予算委員会で48回に亙って主張してきました。まだまだ道半ばですが、立法府として本格的な法案づくりに貢献していきたいと思います。皆さんのご意見をお寄せください。4月20日。また長いです(2200文字、すみません)。
上川陽子法務大臣(当時)による諮問を受けて、2021年3月からようやくはじまった法制審議会の家族法制部会が、延々と議論を重ね、2023年4月18日の第25回目の部会で、「共同親権導入の方向」を決めたようです(議事録はまだ未公開です)。2022年11月には「中間試案」が示され、2023年2月17日までパブコメがなされました。公式発表はありませんが、法務省によるとパブコメで寄せられた意見は8000件もあったという。この通常国会(第211回)で法務省として法案を提出してほしい、と超党派の国会議員の議員連盟で繰り返し要望をしてきましたが、パブコメの整理に時間がかかり、今国会で法案が提案できないということです。担当の皆さん、ご苦労さまでした。ただ、子どもは日々成長しています。一刻も時間の猶予がありません。スピード感をもって法案提出をしてください!
4月18日の法制審議会に事務局が提出した「資料25」は14頁ですが(https://www.moj.go.jp/content/001394798.pdf)、いつものようにもってまわった言い方で、決してわかりやすいとはいえません。新聞記事をみると、短文の中にエッセンスが詰め込まれていて、見出しも含めて、新聞記者さんってすごいな、と改めて感心しています。それだけに、それぞれの新聞のスタンスや評価(価値観)が見出しに微妙に反映されています。まず各新聞社の記事の掲載面と見出しを並べてみます。文字数からして最も充実していたのは毎日新聞です。毎日新聞では山本将克さんの記者名も掲載されています。
*東京新聞(一面 中ほど) 「父母合意で「共同親権」も」「離婚後養育法制審部会で議論」
*朝日新聞(一面 中ほど) 「共同親権 導入の方向」「法制審が確認 制度設計議論へ」
*読売新聞(一面 中ほど) 「「共同親権」認める方針」「法制審部会 制度設計議論へ」
*日本経済新聞(一面 左下) 「共同親権 導入の方向 離婚後養育 制度設計を議論へ」
*毎日新聞(一面 トップ) 「離婚後共同親権導入へ議論」「法制審部会合意 方向性絞る」
*産経新聞 4月19日、20日、掲載なし
*共同通信新聞社 4月19日、20日、掲載なし(ということは全国の地方紙は掲載なしか?)
いくつか資料25の内容を紹介します。
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・昭和22年の改正当時の 指摘が現在の全ての父母に当てはまるとはいえず、そのため、離婚後の親 権者を父母の一方のみに定めることを一律に必要とする現行民法第81 9条は、その合理的根拠を失うに至っているとの再反論がある。
・単独親権を支持する立場からは、DVや虐待への懸念にも 適切に対応する必要があることを前提としつつも、離婚する全ての事案 にDVや虐待があるわけではないことが指摘されており、パブリック・コ メントの手続においても、DVや虐待の懸念がある事案が存在すること は、そのような懸念のない事案にも一律に離婚後の親権者を父母の一方決める必要はない。
・DVや虐待の懸念がある事 案への対応策として、例えば、親権停止や親権喪失の仕組みによって対応 することや、そのような事案では離婚後の親権者を父母の一方のみとすることもできる。
・共同親権を支持する立場からは、離婚後の親権者を父母の一方のみに定めなければならないことが、父母間での「親権争い」を激化させる原因となっており、また、親 権を得ることを強く希望する父母の一方が、この「親権争い」を有利に進めることを 企図して、他の一方に無断で子を連れて別居する事案が生じているとして、このよ うな「親権争い」を回避するためにも現行民法第819条を見直す必要がある。
・父母双方を 親権者とする旨の合意をしたときはその双方が親権者となるものとし、そ の一方を親権者とする旨の合意をしたときは当該一方が親権者となるものとすることが考えられるが、どのように考えるか。
・現行民法第819条を見直し、離婚後の父母双方を親権者とすることができるものとする規律を導入するに当たっては、1離婚後の父母双方が親権者 となる場合の親権行使の在り方をどのように規律するか、2離婚をする父母 間において離婚後の親権者の定め方についての意見対立がある場面や、裁判 上の離婚をする場面などにおいて、親権者の定め方をどのように規律するか、 3離婚後の親権者を変更すべき場面に対応する規律をどのように定めるかな どの様々な論点の検討を含め、その具体的な規律の在り方を引き続き検討す る必要があると考えられる。
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長くなりました。いよいよこれからが、法務省から提起される法案原案を、立法府として議論する舞台です。幸せな日本の子どもと幸せな日本の家族を求める、私のライフワークのひとつとして、エネルギーを注いでいきます。
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