Facebook 2023年3月29日 始めて本会議の檀上に立たせていただき、予算採決前の最終討論をさせていただきました。

3月28日、滋賀県の皆さんに参議院に送っていただき、始めて本会議の檀上に立たせていただき、予算採決前の最終討論をさせていただきました。10分という短時間の中に、令和5年度の114兆円という過去最大の巨額予算に、国民民主党・新緑風会を代表して「反対討論」の理由を詰め込ませていただきました。ポイントは「国家としての財政規律」「賃金があがる経済」「少子化政策」の3点が不十分です。以下、長文ですが、反対討論全文をそのまま掲載させていただきます。ただしまだ「未定稿」段階です。ご了承下さい。皆さんのご意見をお寄せ下さい。(3000文字です。長くてスミマセン)。3月29日。
 =3月28日 参議院本会議から=
 国民民主党・新緑風会の嘉田由紀子です。私は、会派を代表いたしまして、令和五年度予算三案に反対の立場から討論を行います。
 予算編成は、その基本となる国の在り方を決める法律改正や価値観、意識の改革とセットであるべきです。しかし、令和五年度予算案は、日本の根本的な社会問題への本質的な対応が十分とは言えないまま、巨大な財源を投資しようとしております。
 我が国は、「長期にわたり停滞する経済」「止まらない少子化」という深刻な問題に直面しています。国民の希望と日本の未来に資するには、失われた三十年の原因となった政策体系から転換し、給料が上がる経済、人づくり、人育てに寄与する仕組みづくりが必要です。
 残念ながら、岸田総理が主張した異次元の少子化対策には、子育て関連予算の倍増と言いながら、規模や時期などは示されておりません。賃上げに関連する政策も過去の焼き直しが多く、これまでの傾向を転換する効果が十分にあるとは言えません。
 物価高騰対策についても、現下の厳しい状況に鑑みれば不十分です。そして、防衛増税は、政府からの説明も、国民の理解得られる内容には全くなっておりません。そういうところから、以下、具体的に三点深掘りをいたしまして予算案反対の理由を示します。
一つ目は、財政規律の問題、二つ目は停滞する経済、そして三点目は止まらない少子化です。
まず、一つ目です。今年度予算、新型コロナウイルス感染症対策など合計五・五兆円の予備費が計上されております。令和四年度には十一兆円を超える予算案が、予備費が計上されていますが、使い方に対する検証は行われておりません。基金の設立も相次いでおります。令和四年度には十兆円を超える基金設立がなされ、執行状況、残高も十分な検証が行われておりません。
政府は、常にEBPM、エビデンスに基づく政策立案と言っておりますが、この予備費そして基金、十分な検証がなされないまま巨額の予算が計上され、そして、更に問題なのは、国会による厳格な審査を回避する、そのような予算編成になっているのではないでしょうか。まさに国会軽視です。財政規律が損なわれ、将来世代に過重な負担を転嫁する結果となることが懸念されます。今回の予算に賛成できない最初の理由は、この予備費含めて財政規律の問題です。
二点目は、停滞する経済です。岸田総理は、新しい資本主義というスローガンの下、成長と分配の好循環を提案しています。成長により原資を稼ぎ出して分配が可能となるという基本の下、需要が増加するとともに、成長率が、成長力が強化されると言っております。
私たち会派は、賃金が上がる経済を目指し、今、春闘の中で大企業はそれなりの賃金確保がされつつありますが、中小企業の賃上げがどうなるかはまだ分かりません。持続的に賃上げを可能にする支援制度が何としても必要です。中小零細の赤字企業、事業者が賃上げ原資を確保できるよう、法人税に加え、法人事業税や固定資産税も含むよう支援を修正するべきです。長期的、持続的に賃金を上げるスキームが見えないことが、予算案に反対する第二の理由です。
賃上げの問題は、実は三点目の止まらない少子化とつながっております。我が会派の伊藤孝恵議員が示してくれました、賃金上昇と出生率の間には高い相関関係がある、これは重要なエビデンスです。そういう中で、新しい資本主義に期待が持ちにくいのは、誰がこの仕組みを担っていくのかという人育てが見えないことです。
 岸田総理が「こども家庭庁」を発足させることは評価します。自公政権、遅きに失した、民主党政権時代、批判をしていたことから考えますと遅きに失しておりますが、異次元の子育て政策を構想すること、これは大変歓迎します。三つの柱、「経済的支援」「サービス支援」「働き方改革」の成果は期待したいですが、今のままでは出生率上昇にはつながらないのではないかと懸念をいたします。
 具体的には、経済的支援といえば、国民民主党・新緑風会では、矢田わか子元議員を中心に、一貫して所得制限の撤廃を主張してまいりました。この撤廃に踏み切るという報道が流れております。国会の説明の前に報道にというのもおかしな話ですが、三月末の自民党の原案提示、期待をしております。
経済的支援には、教育に関わる各種支出、給食費、医療費、そして高等教育の授業料なども含むべきです。多額の奨学金で苦しむ若者世代への経済支援も重要です。奨学金返済が結婚や子供を持つことに歯止めを掛けているという実態もあります。
 二点目のサービス支援については、保育に欠ける児童の福祉的措置であったサービス、未就学児全体のサービスに切り替えるという、誰でも保育所、これは社会政策として歓迎をいたします。ただ、サービス支援でこれまで見過ごされてきたのが、子育てと仕事を両立させるための家事サービスやベビーシッター支援、また、課題を抱える夫婦の心理的カウンセリング支援などでございます。
 三点目の働き方改革も重要な領域です。育休時の収入が減らないよう、給付の方針が出されたことは歓迎しますが、とはいえ、働くことを善とする日本の労働文化の中で、本気で男性の子育て参画が果たせるのか。
 私はここで、被雇用者への福祉としての「育児・介護休業法」ではなく、子育てを社会全体で支える社会政策としての「育児・介護参画法」と名称を変えるべきではないかと提案をしております。特に、休業法を参画法にという法案の名称変更は、三月三日の予算委員会で岸田総理に直接提案をいたしましたが、育児休業の用語は国民の間で既に普及、定着しているから変えられないという(総理の)答弁でした。
 異次元の子育て政策というなら、定着している価値観を変える、それくらいの意気込みが必要です。特別に大きな財源は要らないんです。名前を変えたらいい。思い切った判断は総理にしていただきたかったです。今後、理念法などを含めてお考えいただけたら幸いです。
 先進国の中で、日本の最も大きな特色は、女性の政治•経済領域への参加率の低さです。OECDの諸国では、女性の経済参加の低い国は経済成長率が低く、そして出生率が低いんです。今の日本です。
 背景には、子供を産むことが女性の人生に大きなリスクになっているからです。例えば、正規雇用の女性が出産により非正規を迫られ、あるいは職場での地位を失う。女性の逸失所得は、大学卒の場合、生涯で最大二億円に上ります。女性にとっては、子育てへの財政支援以上に、人生の逸失所得をカバーする制度が必要です。まさにフランスのシラク三原則です。これも特別な財源は不要です。日本的雇用慣行を変えたらよいのです。
 さらに、日本の出生率の低さには、婚姻率の低さがあります。婚姻率を高める背景には、男女共に仕事と子育てを両立できるようにすること、あわせて、幸せな家族を増やすことです。乳幼児期の父親の育児参画は思春期での自己肯定感の高い子供が育つという研究結果もあります。幸せな家族を経験した人の婚姻率は高くなっております。これもデータがあります。
 日本の子供の幸せ感は、残念ながらユニセフの調査では先進国三十八か国中三十七位です。特に自己肯定感の低さが課題となっております。子供の幸せは家族の幸せと連動しております。
 G7広島サミットでは、是非、日本の社会制度が海外並みになるように、LGBTQ法案が議論されておりますが、海外から「ハーグ条約」や「子どもの権利条約」違反という汚名を着せられないよう、家族法の改正なども含めて、我が国の少子化問題を規定する大きな構造問題、取り組んでいただきたいです。岸田総理の前向きな対応を期待しております。
 国民民主党・新緑風会は、困難な問題から目をそらさず、「対決よりも解決」の理念で、対症療法ではない構造変革を含む新しい政策を積極的に提言、提案し、日本を再生する政策づくりに全力で取り組むことをお約束して、会派を代表しての討論とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
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