Facebook 2023年3月23日 「余呉南越前ウィンドファーム発電事業」に対して、滋賀県の三日月知事が中止をふくむ「抜本的見直しを」という意見書を国(経済産業相)に提出

琵琶湖源流部、「余呉南越前ウィンドファーム発電事業」に対して、滋賀県の三日月知事が中止をふくむ「抜本的見直しを」という意見書を、3月20日に、許可権者である国(経済産業相)に提出したと、21日の記者会見で表明。朝日新聞社、中日新聞社、滋賀夕刊新聞社などもとりあげ、デジタル記事にもなっています。また京都新聞社は3月18日に、「日本イヌワシ研究会」の須藤明子代表が提出した「大規模風力鳥類影響を懸念」という意見書を記事にしています。3月23日。1400文字(また長いです)
12年前の東日本大震災での原発事故やその後の地球温暖化の影響を受け、再生可能エネルギーへの期待が高まっています。滋賀県としても、私の知事時代から太陽光発電の普及を中心に小水力発電などを推進してきました。また大型風力発電についても地元の地権者からの希望等もあり、必ずしも頭ごなしに反対という意見を私自身ももっておりませんでした。ただ大規模に森林開発などを伴う時の森林生態系への影響や土砂災害の懸念などはもってきました。
数年前から計画されていた「余呉南越前ウィンドファーム発電事業」は、高時川源流部で約830ヘクタールを開発し、188メートルの発電装置を39基、建設するという計画です。完成すれば日本で最大規模の風力発電で、この場所にはブナ帯の森林が生い茂り、またイヌワシやクマタカなどの貴重鳥類も生息。琵琶湖への渡り鳥の通路になっている可能性もあります。知事意見でも「説明が科学的根拠に乏しく合理性を欠く。保全措置も重大な影響を回避または十分に低減できるとは考えられない」と指摘しています。
今回の知事判断のプロセスでは、「県環境影響評価審査会の意見や住民らによる公聴会、研究者からの要望・指摘などを総合的に勘案して意見をまとめた。事業者には真摯(しんし)な対応を期待する」といっています。特に昨年8月4日―5日の洪水では、人的被害はなかったものの住宅浸水や農地の浸水、特に霞堤内部の農地浸水は大きな話題になりました。
今回の知事意見以降は県が関与する機会がないため、福井県とも調整し、検討会の設置を要求したといいます。経産相は今回の意見などを踏まえ、5月19日までに事業者に勧告し、それを受けて事業者は評価書を作成、住民への周知を経て認可申請などの手続きを進めるということです。国会での議論も進める必要があります。準備をしていきたいです。
また高時川はもともとアユの生息で有名なのですが洪水以降、濁水が半年以上おさまらず、アユの漁獲にも大きな影響が及びました。その原因として、最上流部のスキー場跡地からの土砂流出が考えられます。そこで地元の漁業者や若い人たちのグループ「すみつなぐ高時川」(子林葉代表)が、「土砂流出防止と森林再生」にむけての意見書を長浜市議会に提出、3月22日に全員一致で採択されたそうです。今回の請願はあくまでも「土砂流出防止と森林再生」にむけての請願ですが、源流部の森林再生は風力発電開発問題と深くかかわっています。
今、環境社会学会での仲間(丸山康司・西城戸誠編)が『どうすればエネルギー転換はうまくいくのか』というテーマで、日本全国だけでなく、ドイツやイギリスの事例もふくめ、メガソーラーや風力発電計画で引き起こされる地域毎の「やっかいな問題」について議論しながら地域エネルギー自治をすすめるための方向を議論、模索しています。皆さんの地域でも同様の問題がおきていないでしょうか。またご意見ください。
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