Facebook 2023年3月9日 ①「経済・財政・雇用」②「社会保障•少子化対策・教育」③外交•安全保障」のみっつの領域で、専門家の意見を聴く「公聴会」

3月9日、参議院の予算委員会には、専門家の意見を聴く「公聴会」という制度があります。今日は①「経済・財政・雇用」、②「社会保障•少子化対策・教育」、③外交•安全保障」のみっつの領域で、専門家の意見を聴いて、議員が質疑をする会合がまる一日ひらかれました。予算委員会の②「社会保障•少子化対策・教育」で、嘉田は直接専門を行いました。そのエッセンスを短く紹介します。3月9日。(1800文字です)。
「社会保障•少子化対策・教育」の1人目の公述人は恵泉女学院大学学長の大日向雅美さんです。大日向さんは、少子化対策として現金給付や財源確保の議論の前に、「子育てを社会全体で支える」という基本哲学の重要性を主張。同時に、「子育ては女性で」という既成概念をこえて、母親になることの意義にくわえて、自分の人生も追及したい、という女性の声を受け止めてほしいと主張。
そこで、女性の人生を子育てや就業が曲折するなかで「生涯就業力=分かち合いのリーダー」として女性の役割を高める大学教育を進めるとともに、「理由なしで保育園を利用できる」地域子育て拠点、あい•ぽーとステーションの活動を紹介いただきました。あい•ぽーとステーションにはシニアの女性にプラスして、会社人間だった時代の高齢男性の個性や特技を生かせるように、地域全体として子育て支援にはいってもらっているということ、画期的です。
二人目の公述人は、東京大学教授の本田由紀さんです。教育社会学者として、日本の教育システムの本質的問題を永年にわたって指摘してきました。特に今日は、日本の教育の問題点を3点に集約。①教職員の増員と少人数学級によるきめ細かい公教育の実現、②学校選抜による「学校歴社会」から「学習歴社会」へ、③子育てと子どもの教育に関する保護者の経済的、精神的な責任・負担の軽減、という3点です。今の日本の子どもたちが失っている自己肯定感や、社会としての少子化や活力不足は、この3点の改善から出発できる、という提言です。大変包括的で、また重たい提言です。
お二人の提言にはそれぞれに大変深く共感しました。大日向雅美さんには、ふたつの質問をさせていただきました。2013年、10年前、知事時代、滋賀県まで講演にきていただいたお礼を申し上げ、まさに知事として、「保育に欠ける措置」としての福祉政策ではなく、女性活躍とセットとなった子育て政策を滋賀県として追及してきたことを紹介しました。そして知事を終わって、びわ湖成蹊スポーツ大学の学長として、女性の生涯就業力を大学として追及していく姿勢を全国の大学にどう広げていったらよいか、という質問です。大日向さんは、やはり「教養学」という分野を大学で復活する必要があるだろうということです。人文学や人生学を軽視してきた日本の大学の仕組みの問題です。
大日向さんへのもうひとつの質問は、貧困や子どもの自己肯定感が弱くなるなかでの、親の離婚に直面した子どもの問題をどう考えるか、ということです。日本の単独親権制度は、離婚後の母子を社会から孤立、分断するが、ここは共同親権にする必要があるのではないか、ということを質問しました。大日向さんは、離婚後の親子、夫婦関係は本当に個別、多様で個別の事例に丁寧に向き合う必要がある、というご意見でした。
本田さんへの質問は、教育費の確保です。知事時代に、少人数学級を実現したい、とダムや新幹線駅など公共事業の予算を節約して、教育費にむけた。8年かけて、小1から中3まで、40人学級から35人学級まで財源確保したが、財源不足で30人学級までもっていけなかった。このことについては、本田さんは、教育費の国費負担は、2000年代にはいって後退しており、ここはひとえに財務省の認識不足というご意見でした。防衛整備に5兆円いれるなら、今35人学級から30人学級は3600憶円で可能。高等教育の無償化は2.1兆円で実現可能。防衛費5兆円いれるまえに、少人数学級の実現や高等教育無償化に予算をいれるべきではないか、という主張でした。私は与野党あげて、この問題の共有化をしましょうと訴えました。
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