Facebook 2023年3月3日 参議院予算委員会での岸田総理と斎藤法務大臣との質疑

3月3日、参議院予算委員会での岸田総理と斎藤法務大臣との質疑を嘉田個人が文字おこしをした未定稿をお伝えします。確定稿ではありません。途中経過の記録であること、ご理解ください。また資料1-資料7まで画像を添付します。3800文字です。むっちゃ長いです!すみません。3月4日。(京都新聞紹介記事も、3月4日)

嘉田;岸田総理が「日本の国難」と言い、異次元の少子化政策に本気に乗り出したことは、遅きに失したとはいえ、評価をさせていただきます。ただ、予算確保が課題です。今日、私は、特別の財政措置なしに、総理の政治的決断による法律改正で、少子化政策の価値観をかえる政策を二点、提案いたします。時間が8分しかないので、結論から申し上げます。
ひとつは、男性の育児参画をすすめるために「育児介護休業法」を「育児介護参画法」と名称をかえる事です。勤労をよしとする価値観から、子育て参画に価値を置く意識変革をめざす法改正です。二点目は、男女がともに前向きに協力して子育てにかかわれるように、離婚後の単独親権を共同親権にかえる民法改正です。
男性の育児参画がすすまない要因のひとつに、社会的な抵抗意識があります。私も現場で随分すすめてきましたが、やはり「休業」への抵抗感が当人にも職場にも大変根強いです。国難といわれる子育てに参画することを国民として推奨して、それも楽しくかかわれる「社会参画」と言い換えたらどうでしょうか。
具体的には、「育児休業・介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の名称を、「育児参画・介護参画等育児又は家族介護を行う労働者の社会参画に関する法律」に改めるように提案致します。ここには特別に大きな財政的負担は必要ありません。岸田総理、この提案、どう判断されますか?
岸田:委員提案の趣旨は、育児休業ではなく育児参画とより積極的に表現すべきと理解しました。ただこの法律は雇用関係の法律上の用語で、国民の間に一定定着している。ひとつの提案として受け止めたい。社会全体の意識をかえていくという方向は同じ。昨年からの産後パパ育休の地域啓発などにより、男性の育児参画すすめている。これからも政府も政策も充実していくなかで委員の考え方、とりいれさせていただく。新しい理念法という提案もあるようですが、今の政策の具体化の中で考えていきたい。
嘉田:実は10年前にも、全国知事会から同じ提案をしましたが、当時は雇用の問題だけで、全く前向きの答弁はありませんでした。今日は少し、前向きになっているようです。実は10年前に、関西アーバン銀行(今未来銀行)で、当時の頭取が、私のアドバイスをとり入れ、育児参画制度と名称をかえました。そして今、男性の育児参画が7割にすすんでいます。名称を変えて前向きにトップが発信することで、実績があがっています。参考にしてください。
資料1をごらんください。「子育て三方よし滋賀モデル」の図です。私が滋賀県知事に就任した2006年には、滋賀県の合計特殊出生率は1.4だったのが、9年後の2015年には1.6まで回復しました。全国二位となりました。これは「福祉政策」としての子育て支援にプラスして「社会政策」として、女性や若者の雇用政策などを支援することで効果をだしたものです。
(資料1 滋賀県による子育て三方よし政策)
政策全体を「子育て三方よし」としました。生まれた子どもが幸せに感じ、子どもをうんだ親も満足をし、そして世間によし。「世間によし」には、高齢者の抵抗があったので、子どもが増えることで年金に頼る高齢者にも現役世代の増大により年金財政の安定化という効果があります。岸田総理、「子育て三方よし(滋賀モデル)」について、どう評価なさいますか?
岸田:近江商人の「三方よし」を応用した、「子によし」「親によし」「世間によし」興味深くきいた。子どもの健やかな成長、個人の幸福追求を支援し、経済社会の持続可能性の維持につながる、子ども子育て政策を強化するために、子ども、保護者、経済社会、後押しする、子育て三方よし、大きな方向性は同じです。
嘉田;大きな方向性について、ご理解いただきました。知事時代にどうしてもできなかった事が民法改正です。(母子家庭の貧困や虐待問題に直面して)たとえ離婚をしても子どもの暮らしに父母ともに前向きにかかわれるよう、民法の819条、単独親権を共同親権にかえることです。資料2をご覧ください。今日本では婚姻家族の3組に一組が離婚をしています。離婚後のひとり親への手厚い支援という「福祉政策」も大事ですが、一人親という状態をできるだけ避け、子どもへの悪影響を緩和するのが「社会政策」です。
(資料2 離婚数の増大と片親ロスに直面する子ども数の増大(1950―2017))
親の離婚に直面する子どもは、最新データで推測しますと毎年20万人です。2022年に産まれたこどもの数は80万人を切っている。つまり80分の20,4人に1人です。振り返ってみますと戦後間もなくの昭和20年代は270万人産まれていました。その時、親の離婚に直面する子どもは8万人です。270分の8です。一クラスに1人でしょう。今は、80万人のうちの20万人と4人に1人、つまり一クラスに10人ほどが親の離婚に直面させられています。内閣府さん、子どもの貧困について、家族形態別に示して下さい。
内閣府から資料3のデータを示してもらう。全国家庭行動調査により、OECD基準による大人ふたりで6.7%、一人親では54.3%です。
(資料3 世帯形態別の子どもの貧困率)
一人親で貧困になる恐れが高い、資料3のように8倍のリスクです。単独親権下で、しかも親権確保をする9割以上が母親で、女性の賃金水準が低い日本では、避けがたい社会的事実です。さらに親による子ども虐待は、大変悲しい事件です。子ども虐待の究極の悲劇は親による子ども虐待殺人です。厚生労働省さん、「子ども虐待による死亡事例」のデータを、家族形態別に示してください。
厚労省から資料4のデータを示してもらう。
(資料4 家族形態別の親による子ども虐待(子ども殺人))
2019年国民生活基本調査によりますと、児童のいる世帯全体は1122万世帯、一人親世帯は72万世帯、6.5%のシェアのところで、内縁関係もいれると35%の子ども殺人がおきている。これは大変に深刻な問題と思います。それだけひとり母親が困難な子育てに直面させられているということのあかしといえます。
(資料5 共同養育支援議員連盟による法案の早期提出を求める決議書(2023年2月24日))
資料5をご覧下さい。先日2月24日、超党派の共同養育支援議連により「DV法の改正とあわせて、共同親権の実現に必要な法案を一刻もはやく今国会に提出するよう」決議書を斎藤法務大臣にお渡ししました。
日本の場合、離婚の9割を占める協議離婚で、養育費や親子交流の決め事は不要で、ハンコひとつで離婚できます。世界中、先進国でこんな国はありません。共同親権にかえるための「立法事実」(必要性)は今みたように、子どもの貧困と虐待被害の阻止です。「子どもの最善の利益」です。
資料6をみてください。2月28日、東京新聞では「共同親権導入の民法改正案、今国会の提出見送りへ」とあります。東京新聞社に問い合わせました。この情報は法務省から得たということです。斎藤大臣には、その直前、2月24日に(資料5の)決議書をお渡ししました。斎藤大臣、2月24日に決議書を受け取り、その直後に「今国会の提出見送り」という指示を法務官僚にだしたのでしょうか。真偽のほどを教えてください。
斎藤:父母の離婚後の親権制度のありかた、法制審議会で調査審議中で、法案の提出時期は未定です。法案の提出時期について私が担当部局に対して何らかの指示をしたという事実は一切ございません。
嘉田:大臣が指示していないなかで、法務官僚が勝手に記者レクをしたとしたら、公務員法違反ではありませんか。情報提供をした官僚の処分が必要ではないですか。もし法務省が「法案提出見送り」といわないのに、東京新聞が先走りをしたとしたら、フェイクニュースといえないですか。東京新聞社を法務省記者クラブ入室を禁止するほどの問題と思います。斎藤大臣、いかがですか。
斎藤:報道のひとつひとつについてコメントは差し控えたい。一般論として、家族法制のあり方について、国民の関心も高い事項であり、丁寧でかつ正確な報道を期待したいです。
嘉田:岸田総理、今国会で、共同親権の実現に必要な法案を提出するよう、斎藤法務大臣に指示していただけますか?1年で20万人、一日で550人もの子どもが親の離婚に直面し、貧困や虐待で苦しんでいます。その子どもたちの悲劇をすくえるのは岸田総理の政治的決断です。何としても前向きに決断してほしいです。
なお資料7として、共同養育計画づくりを義務化した時の予算措置案を示しています。時間がありませんので、この件については次回、解説させていただきます。総理大臣のご決意をお願いします。
岸田:離婚後の親権制度の在り方について、議論を重ねることは重要であると認識。法務大臣からありましたように、法務審議会で調査、審議がすすめられている、その中で、具体的な指示をすることはひかえたい。引き続き、法制審議会での充実した調査、審議がスピード感をもって行われることを期待したい。
嘉田:是非前向きにお願いします。子どもたちがまっております。
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