Facebook 2023年2月16日 「参議院資源エネルギー・持続可能社会に関する調査会」での参考人質疑に委員として参加

2月15日「参議院資源エネルギー・持続可能社会に関する調査会」での参考人質疑に委員として参加をして短い質問をさせていただきました。3人の参考人(大橋弘・東大教授、山下ゆかり・日本エネルギー経済研究所常務理事、大島堅一・龍谷大学教授)のそれぞれの問題提起を聞いた後、10分の質問時間をいただきました。時間が短いので、私は大島教授に、立法府の役割として、内閣の政策をチェックし国民に説明すべき責務がある国会議員としての意思表示のための基本的知識について環境経済学者としてのご意見を伺いました。2月16日。(また長いです、1700文字)。
まず一点目の質問は、昨年7月の参議院選挙時の自民党の公約には「再生可能エネルギーの最大限の導入、安全が確認された原子力の最大限の活用を図ります」とありますが、運転期間の延長やリプレイス(新規原発の建設)などの記述はありませんでした。それ以降、内閣が選んだメンバーだけで、急速に方向を決めたことの是非について伺いました。
大島教授は、参議院選挙直後の7月21日にGX実行会議(経済社会システム全体を脱石油化するための大変革を図るグリーン・トランスフォーメーション)を開始し、12月22日の第5回会合でGX基本方針(今後10年を見据えたロードマップ)を決定したプロセスは国会や国民への説明もなく「異例づくし」だと批判。そして閣議決定後、GX束ね法案と予算案も提出し、原発の運転期間の延長やリプレイスを決めたやり方は極めて乱暴だと指摘していました。
特に原発の価格、安全性については、大島教授は福島の事故前は、原発は「安全で安価でクリーン」といわれてきたが「安全ではないことは福島事故でわかり、その事故処理費用をいれると決して安価ではなく、またクリーンでもない」という。たとえば2011~2020年度の原発の発電コストは1㎾アワー52円でどの電源種よりも高いという。つまり経済性からみても安全性からみても原発に合理性はないという。
また2021年に策定された「第六次エネルギー基本計画」は閣議決定されて国の政策になっているがそこには原子力発電所の新設や運転期間の延長も含まれていない。この政府の決定を、国民に対する説明や理解ぬきに変更するのもおかしいと大島教授は言う。今回の国会において、是非とも議論をすすめてほしい、国民が直接参加できるような機会を増やしていただきたいと強く主張しておられました。
また運転期間の延長で、2月15日午前の衆議院の予算委員会で、枝野衆議院議員の質問に、60年超えについては、「利用側からこれが必要なんだ」という。技術的な安全性の説明を岸田総理は何もしなかった。橋でもあるいは道路でも50年、60年でコンクリートが劣化、老朽化するのに、放射性物質を高温で燃やしている炉が60年以上もつのかという技術的な不安を持っています。『原発ゼロ社会への道』(原子力市民委員会編)という報告書にも技術的な懸念が示されていますが、この書籍の編集にも関わられた大島教授にその背景を伺いました。
大島教授は、どんな建造物であっても、交換できない部品もある。そもそも原子炉格納容器など交代できない。それを踏まえて2012年の原子炉等規制法の改正では40年と決めた。それが今回、運転期間の延長が利用側からされたということは大変深刻な問題という。福島事故のあと、国会事故調査委員会報告書が提出された。そのときに「原発事故の本質的な原因は規制のとりこ、すなわち利用の側から規制がされていた」ということにあったという。今回利用が先にあって規制が後に来た。運転延長の問題が、原子力規制委員会の管轄から経済産業省側に移るということになり「新たな規制のとりこ」ができるのではないかと、大変懸念しておられました。
また大島教授の発表のなかに2020年のNature Energyの論文が紹介されており、世界123ヶ国の25年間のデータ分析により、原子力発電量の多い国はCO2排出に負の影響を与えない(削減)されない。逆に再エネ導入量の多い国はCO2排出に負の影響(削減)をもたらすという。つまり原子力発電に熱心な国は再エネ導入量が少なく、再エネに熱心な国は、原子力発電が少ないという。両者の逆相関の関係も示されました。
これから滋賀県を中心に各地をまわりながら、皆さんの意見を聞いていきたいと思います。皆さん、ご意見よろしくお願いいたします。
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