Facebook 2023年2月7日 「オーガニック給食」で日本を先導する千葉県いすみ市を訪問しました。

「オーガニック給食」で日本を先導する千葉県いすみ市を訪問しました。2015年の11%から毎年増やして2019年には100%の供給量を確保。野菜も少しずつ有機で補い2022年で2割供給という広がりも達成しています。東京から特急で1時間ほどの、里山と水田と小さな河川(いすみ川)、そして太平洋に面した町ですが、有機米給食が魅力となり、2019年の「住みたい田舎ベストランキング」でも「自然の恵み」部門で一位になっています。訪問記録を紹介します。2月7日。(長いです。2400文字)
今回の視察をご準備いただいた山田勝彦衆議院議員(長崎県選出)に感謝です。川田龍平参議院議員、長崎県から五島市議会議員の中西大輔さん、島原市議会議員の松坂まさおさん、本田みえさん、長崎県で昨年2月の知事選挙で一緒に汗を流した議員さんが参加くださいました。うれしかったです。
まず最初の太田洋市長のご挨拶では、始まりは2011年6月、兵庫県豊岡市の影響で、関東にコウノトリを復活させようという自治体市長の集まりからという。コウノトリは一旦飛んできたが、「それでどうなの?」と市民から言われ、生き物のにぎわいを活かす市民生活が先だと気づき、食の安全の無農薬米作りを2014年から始めた。最初は一反あたり1俵と惨憺たるものだったが、有機農業の専門家を呼び込み指導を受けて、だんだん安定してきた。そこで生産者から「安全なお米は子どもに食べてほしい」と給食に焦点をおいて今に至っている。
有機米給食がきっかけで「健康で環境にやさしい町」というイメージも広がり、今では若い父母から人気が出て、移住相談も増えて、市長としてはたいへん喜んでいるという。この成功のカギは、「農家生まれでない、先入観のないドシロウトの担当者の熱意」ということで、担当者の鮫田さんが説明をつないだ。
鮫田晋さんは埼玉県生まれ。サーフィンが好きでいすみ市によく通っていた中で、2015年に移住を決め市役所職員になり市長命令で有機農業担当に。環境保全型農業の普及を豊岡市から学んだが、民間稲作研究所の稲場光圀さんから「なんのための有機か?」と問いかけられ、生産者からも「子どもたちに安全なお米を食べさせたい」という声をきいて給食に力をいれてきたという。
今は有機の野菜農家も増やしつつあるが、給食センター方式なので、サイズや等級のそろった野菜を大量に供給するニーズに直面しながら、農家とセンターの栄養士、センター責任者などとこまめに調整しながら、10日前までの変更を受け入れ、今ようやく2割供給まできたという。これから生産者と給食センターの調整をしながらできるだけ多くの地元有機野菜の給食供給を実現したいという。「できない理由」ではなく「どうしたらできるか」と前向きに取り組む姿勢が重要という。重要なヒントです。
元々高校の理科の先生だった手塚幸夫さんは、「有機農業と生物多様性は二輪車のようにお互いが支えあっている」という。堂本あきこさんが千葉県知事時代に「生物多様性戦略」を千葉県がつくり、いすみ市もその流れに呼応して「いすみ生物多様性戦略」をつくり、里山里海の生物多様性が有機農業を支えるという理念の元、環境教育冊子をつくり、小学校4年生に環境教育。田植えから稲刈り、そしておくどさんで炊いた「いすみっこ米」を直接に食する経験もいれているという。教育ファームとして、「食と農と環境教育」が見事につながっています。
最初は生き物屋さんとして太田市長に疎まれていたが、今はとっても仲良く、環境学習を市長も支援してくれるようになったという手塚さんの言葉。この相互歩み寄りのプロセス、よくわかります。そこがひとつのポイントです。
また主要な生産者である農事組合法人「みねやの里」の峰谷集落の矢澤喜久雄代表理事が、圃場をご案内くださいました。25戸の集落のうち農家は22戸、水田は15ha で一戸あたり0.6 haという小規模の農家が多い。それで圃場整備をするときに6-7反を1筆にまとめて、水利や雑草管理のしやすい圃場をつくり、草を生えさせない工夫をしながら、有機の技術を習得、定着してきたという。有機農業をはじめた最初のきっかけは「昔田んぼにいたメダカや赤とんぼや、夏の蚊帳に飛び込んできたホタルを取り戻したい」という思いからだったという。
コウノトリの里豊岡市から学ぼうと2013年から有機農業に挑戦したが、最初の年は1俵という収穫で散々だったが、専門家の知恵をいただきながら「除草」ではなく「抑草」という方針で進めた。何よりもせっかくのお米を子どもに食べさせたいと市長に申し出て、それなら、と生産者の数も増えてきて、2015年の4トンから2019年には42トンへと生産賞もふえ、給食用のお米は100%有機米でまかなえるようになったという。
また集落内には、菜の花(時期をずらして3期にわける)や柿など、米以外の収入も増やして、通年仕事ができるようにしているという。農事法人は、農地所有者には地代(年貢)を払い、仕事をした人が従事分量で給与を受ける。年度末には清算をするが、最新の時間給は1250円まで確保できているという。
最近は「子どもが給食で食べているお米を食べたい」という希望が町中だけでなく外からも求められていて、「いすみっこ米」とブランド化した米は道の駅などでもよく売れているという。
実は知事時代から私自身、琵琶湖の生物多様性を意識した環境保全型農業を企画、実践してきましたが、市町村主体である学校給食となかなかつながらず悶々としてきました。答えはいずみ市にありました。いすみ市は人口3万人あまり、市長、担当者、農家、生物研究者、そして子どもと親たち、「顔の見える近い関係」だったからこそ、短時間の間に、安全な給食を子どもに、有機栽培農家に安定した収入を、という需要と供給をつなぎ、同時に地域の生物多様性と環境保全につながる仕組みが生み出されました。感動的です。
いすみ川は、圃場整備や道路建設など、近代化の荒波の中でも、曲がりくねった流路と川べりの河辺林を維持しながら、河川の生息魚類種類が88種という。ミヤコタナゴが象徴です。単一河川での生物多様性からみると木曽川についで二番目という。まさに今にいきる「グリーンインフラ」です!
いすみ市からの学びはさっそく、本日協議をした、国民民主党の子育て方針に反映をしていただきました。うごきのはやさはうれしいです。
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