Facebook 2022年12月6日 「離婚後の子どもの養育に関する民法改正」(その1)

「離婚後の子どもの養育に関する民法改正」(その1)。2021年2月に上川法務大臣が「法制審議会家族法制部会」に諮問をしましたが、2021年3月から2022年11月まで合計20回に及ぶ会議を実施。ようやく「中間試案」がまとまり、12月6日から、パブリックコメント(意見公募)がはじまりました。来年2月17日までの予定です。ご自身やあるいは親族・知り合いが関係していて、離婚後の子どもの生活条件などに関心のある方は、是非ともパブリックコメントで意見を提出してください。日本の子どもの未来を決める大変大事な法案審議です。法務省の公式HPを見ていただき意見を出してください。ただし、残念ながら法務省のHP内容は大変わかりにくいです。12月6日。
法務省の公式HPのアドレスは下記です。
「家族法制の見直しに関する中間試案」という16頁の文書に対する意見公募が主な目的です。また「補則資料」が96頁分あります。参照条文は3頁、「中間試案の概要」が5頁、そして最後に「参考」として、4頁のまとめが添付されています。ここでは最後の「参考」をアップさせていただきます。
2006年から2014年まで滋賀県知事時代に私が直面してきた子どもの問題で、①貧困、②虐待、③精神的苦悩 ④社会的不適応が大きな課題でした。しかも自治体として根本解決できないのは家族のあり方を決める民法改正や女性の給与を決める雇用政策です。
2019年7月に参議院に送っていただいてから、国会議員として私自身が最も多くの時間とエネルギーを注ぎ込んだのは、「離婚後の子どもの幸せづくり」を求めての民法改正です。具体的には民法819条の離婚後の単独親権規定を共同親権にかえることです。参議院では法務委員会で45回に亘り質問を積み重ねてきました。
今、日本では3組に1組の夫婦が離婚をしており、統計的にみると、親の離婚に直面する未成年の子どもは、年度により差はありますが、毎年20万人ちかくにのぼります。1年に80万人しか生まれない少子化の時代、毎年20万人もの未成年の子どもが、親の離婚に直面している、というのは大変大きな社会問題です。小学校の1クラス35人としたら9人弱が親の離婚を経験していることになります!
そして私が知事時代に直面した4つの問題の背景に、親の離婚による影響が大きく響いているということを統計的にも把握してきました。離婚後の「片親親権」は、親の離婚により子どもは片親を失うことになります。先進国で、今だに離婚後の片親親権を墨守しているのは日本だけです。130年近く昔の明治民法時代、家の跡取り確保の必要性から家長だけに親権を認めるという家制度の名残です。
もちろん国により離婚制度には差がありますが、日本の離婚制度のもうひとつの特色は、ハンコひとつで親の都合だけで離婚が可能な「協議離婚制度」です。国際的にも大変異例です。協議離婚制度は、離婚をしやすくして女性の再婚をしやすくして子どもを産みやすくする、という目的も隠されていたようです。これも明治民法の名残です。一方、協議離婚制度では、離婚後の子どもの養育費の分担や子どもの住まい方、暮らし方など、何の約束事もなくても、離婚が可能となりました。子どもは「無法地帯」に置き去りにされることになります。
離婚後の親権制度の議論には、子どもの貧困や虐待、子どもの精神的満足度を高める工夫が必要ですが、法制審議会での議論では、共同親権に賛成派も反対派も、「子どもの最善の利益」と抽象的に言うだけで、ほとんど具体的な内容には踏み込んでおりませんでした。この点は(その2)で続けていきたいと思います。
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