Facebook 2022年11月24日「トチノキサミット」開催!!~トチノキの森を守る3団体交流会~

11月23日は「新嘗祭」「勤労感謝の日」。Wカップサッカーでの日本チームの逆転勝利!実は琵琶湖源流の巨樹・巨木保全、特にトチノキ保全を2010年から過去12年に亘り、エネルギーを注いできた仲間にとっては大きな出来事の「トチノキサミット」でした。生態的重要性に加えて、縄文時代からの日本人の主食としての歴史的重要性、トチ蜂蜜の供給、クマなどの生息を確保し、水源ともなる奥山保全の重要性、しかし過疎問題や温暖化に伴うシカ害の増大まで、複合的なテーマが奥深く存在します。京都府綾部市から、また県外の研究者も参加してくださり、いっそこのあたりで「日本トチノキ学会(仮)」のような交流の場をつくったらという意見まで出ました。また長くなりそうですが、紹介させてください。11月24日。(長いです。2000文字です)
トチノキの森を守る活動3団体による滋賀県(自然環境保全課)主催の「トチノキサミット」に参加。3団体とは (1)「巨木と水源の郷をまもる会」(高島市朽木)、(2)「高時川源流の森と文化を継承する会」(長浜市余呉)、(3)「金居原の歴史と森を守る会」(長浜市金居原)です。(1)は会長の小松明美さん、(2)は会員の水田有夏志さん、(3)は北川勇夫さんがそれぞれに、会の成立ちや活動内容などを紹介下さいました。
(1) は、2008年から2009年にかけて海外からの銘木需要が増えてきてトチノキの巨木伐採が始まり、それに危機感をもった地元住民や自然愛好者、研究者などが2010年10月に発足させた団体です。巨樹の計測、保全看板の設置、歩道の整備、観察会や理解者をひろめる祭りイベントなど。伐採業者からの胃が痛くなるような裁判を経て、トラスト基金も集め、過去12年間、着実に展開。県との協定木は154本、それ以外の巨木も含めて合計550本確認という。若い世代も育っています。
(2) は2010年に高時川源流部に幹回り9.8mの滋賀県下最大のトチノキを発見し、地元でもだんだん関心が高まり2013年に地元の方を中心に発足。しかし、丹生ダム建設予定地にあり、地元でも動きにくかったが、2014年にダム中止の方向が決まり、ダム建設のため廃村となっていた集落の歴史や文化も発掘しながら、巨木調査や観察会を進めてきました。活動内容は水田有夏志著『トチノキ巨木の森を守る』(工房森のしずく、2018年)に詳しいです。「小原かご」のような、竹ではなくイタヤカエデを使ったかごづくりは日本海側のブナ帯文化の特色を継承しています。県との協定木は241本で、未登録の巨樹もたくさん残っています。
(3) は2019年に県との協定木164本を確定して発足しました。「もりのもり」という若い人たちのグループといっしょに活動。杉野川源流部の金居原地域には明治時代から昭和40年まで操業をしていた土倉鉱山という「天空のラピュタ」のようなコンクリート遺跡が残り、巨樹の自然とのハーモニーが不思議空間を構成しています。ここは「ながはま森林マッチングセンター」の橋本さんたちからの応援もいただき、新しい時代のエコツアーの提案もしておられます。
朽木で業者による巨木伐採が始まった時、私自身も知事としてそれまでの森林政策の枠組みを超える政策づくりに心を砕きました。森林税を活用して「巨樹・巨木の森整備事業」を2011年に創設し、その時汗をかいてくれた当時の課長が水田さんです。県と住民グループが協力をしてようやくここまで来ました。途中には、伐採業者からの所有権争いの裁判も2013年に朽木で、2016年に金居原で、と二回にわたり提起されました。所有権を確保するために、多くの皆さんの協力により、巨木トラスト基金に貢献いただきました。モンベル会長の辰野勇さんも大きな力を貸してくださいました。
今日、何よりもうれしかったのは、金居原で代々森林経営をしてこられた山田洋さんが、「巨木を点のように守るだけでは不十分だ。600haの地域全体を保全域として指定をして伐採されないようにしてほしい」という声を上げて下さったことです。2014年、最初に出会った時、「なぜトチノキなのか?」と巨木保全へは懐疑の言葉を発しておられたのですが、ここまで決意表明してくださり、本当に感動でした。涙が出ました。山田洋さん、ありがとうございました。自然環境保全課や長浜市の皆さん、ながはま森林マッチングセンターの皆さん、地元杉野地区の地域リーダーの松本長治さんはじめ、皆さんのご尽力に感謝です。
トチノキ巨木を中心に奥山の巨樹や生態系、また森の文化やくらしぶりを未来世代につなぐためにも、「住民」「行政」「研究」という三位一体の「日本トチノキ学会(仮)」というアイディアもだされました。今後、いろいろな皆さんの声を聴きながら、煮詰めていけたらと願います。
会合の前には雨の中、土倉鉱山跡も見学。鉱山時代の息吹がわかる掲示もつくられ、外からのツーリストも楽しめるようになっています。
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