「滋賀県高時川出水被害報告(その6)」。「川の濁りがいつまでも消えない、大変困っている」という訴えを聞き、高時川漁協の阪田光雄組合長さんを訪問してじっくり高時川中流部の苦悩を伺いました。2017年に組合長に就任してから6年目。毎年7月中旬から9月末までの、7年間の合計520日間の「天気」「入川可否」「朝5時水位」「最大水位」「氾濫警戒レベル」「濁り状況」「河川状況」という河川データを丁寧に記録しておられます!!写真記録もたくさんあります。すばらしいデータです。8月24日。(1100文字です)
高時川中流部は、高齢者や女性もアユ釣りを楽しめる「優しい川」ということ。「入川(にゅうせん)基準」の水位は75cm以下で、「泥濁り」「青濁り」がなく「笹濁り」以下の透明性が求められています。2016年以降、入川できなかった日の割合は、2017年は、8月8日の台風5号の影響で「濁り日」は49%。それ以外の年は20-30%の濁り日でした。ただ、今年は8月5日の豪雨以降、まだ一日も入川できず、収入ゼロの日が続くという。
河川漁協の収入は釣り券とおとりアユの販売です。コストは放流用アユの購入とおとりアユ購入代金です。漁協記録をみせていただくと、2016年から昨年までで収入が支出を上回ったのは2021年の一年しかありません。このままいつまで泥水が続くのか、大変悩ましいという。特にここは岐阜県や愛知県など県外からの遊漁者が多く、「いつになったら濁りがひくのか?」という問い合わせに答えられないのもつらいという。
阪田さんはもともと中学校の理科の先生で、「泥濁りの発生原因、および長期化の原因を知りたい」と強く願っておられます。河川管理者の県としても、また流域治水を標榜する県としても、森林地域からの流出も含めて、本格的に調査する必要があると思います。
午後には、8月8日に訪問した上丹生の笠原新吾さんを再訪問し、やはりいつまでも濁りがひかない状況と、川沿いのスギ林の破壊状況を見せていただきました。笠原さんは、最上流部で放置されたままのスキー場からの土砂流出を心配していました。笠原さんは昭和10年生まれの88歳。「水って、すっごい力だ!こんなひどいのは見たことない!」と言っておられました。