「滋賀県高時川氾濫被害報告」(その3)。8月8日に「霞堤内部での農作物被害」を受けられた長浜市旧高月町の馬上(まけ)のヨコタ農園の横田圭弘さんを訪問。「霞堤」で、下流への洪水を緩和する機能をはたしてくれた農地ですが、多量の泥をかぶる大豆と、また出穂したばかりの稲穂をみせていただき、心が痛みます。まさに社会的に貢献くださった農作物被害には確実な補償が必要です。横田さんのFBから【高時川氾濫被害当事者が思うこと】をシェアさせていただきます。冷静でやさしいお言葉の中に、これほどの被害をうけても農業を続けていかれる横田さんの覚悟が埋め込まれています。同様の被害を受けた皆さんも同じお気持ちと思われます。政治家としての私自身の覚悟を促してくれます。「流域治水協力金」(仮)のような新しい制度づくりのために働かせていただきます。10月からはじまる臨時国会が正念場です。8月10日。(また長いです2000文字)。
【高時川氾濫被害当事者が思うこと】―( )は嘉田が追記
人は、助け合い、認め合い、尊重し合って、生きていくもの。
所有者さんのご先祖さんから受け継がれている農地を預かって農業を営んでる担い手農家です。小作料も所有者さんに支払いしてます。所有者さんは固定資産税も水利維持費も負担され、お支払いされてます。(ヨコタ農園は20年ほど前から地元の土地所有者と借地契約をしています)
その農地は、高時川増水時には「一時遊水池」として下流の氾濫を最小限にとどめるための役割を果たしている事を知りました。(河川用語としては「霞堤」と言われています。あらかじめその役割を知らされていなかったようです。昔からの地元の人は知っていたはずですが)
高時川が増水したら、一気に浸水し、減水したら一気に水が引く。
今回の農地の浸水は多少なりとも下流の氾濫を防ぐこと、下流の人の命や財産を守ることに役に立ったに違いないと思います。(今回の水害では、高月町の下流では住宅浸水はゼロです)
しかしながら、汗水流して作り上げたお米や大豆が一瞬にして駄目になること(お米は助かるかもしれないけど)を目の当たりにすると、悔しいし、とても辛いです。
ブロッコリーとキャベツの作付はこれからなのに土が乾かず作付が遅れる事は必然的です。適期に作付しないと収穫量にも影響してきます。(滋賀県は野菜の自給率が低いので水田野菜づくりを推奨しています)
浸水時に農地に流れ込んだ漂流物は想像もしない程の量。我々農家負担で、泥に被った稲穂や駄目になった大豆を見ながら、哀しくも収集作業に追われてます。
この農地が下流氾濫を最小限にとどめる役割の「一時遊水池」としての役割を担うことの理解も出来ます。
しかし、先祖さんから受け継がれてきた、この農地を守り抜くことは農家の使命だと思います。(すぐ横の山はかの有名な小谷山、信長・秀吉の時代にはできあがっていた古い村落です)。
ただでさえ、今の肥料や燃料高騰など経営に苦しむ中、浸水して何の支援もないとなると農業経営は成り立たなくなります。(肥料、燃料価格の高騰で今、多くの農家が苦しんでいます)
国、県、市はどうか見捨てないで欲しいです。(霞堤を含む、流域全体で洪水をうけとめる、という「滋賀県流域治水推進条例」は、2014年3月に嘉田が知事時代に制定しました。2021年4月には国でも流域治水関連法案が制定されました。ただ、細部の政策はこれからです)。
予め、この農地は下流の氾濫を防ぐために浸水させる役割を果たしてるのに、農家が自ら高い掛金や積立金を使って農業共済の収入保険でということは疑問も感じます。(その通りです)。
被害の支援は何もない事に疑問を感じます。(当然です)
流れ込んだ漂流物も農家が拾って作業することにも疑問を感じます。(大量の漂流物もあつめ、整理していただきました。ありがとうございました)
再度、言います。どうか、どうか国、県、市、見捨てないで下さい。(もちろんです。今、国際的にも、農業の自給率が極度に低い日本の農業の大切さが注目されています。「農は国のもとなり」です。農業の基盤確保のためには、民主党時代の個別所得補償制度の復活が必要です。)。
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横田さんの率直なお言葉に涙がでます。河川から洪水が溢れることを織り込み済みとして「流域治水」を提唱してきた元知事、現職国会議員として横田さんの願いに応えるのは当然の仕事、義務です。