{滋賀県高時川氾濫被害報告}(その1)。まず、ご自宅が浸水被害に遭われた皆さん、また水田や畑に水がはいり被害を受けられた皆さんに心からお見舞い申し上げます。長浜市の発表によると、8月5日19時現在で、床上浸水が5軒、床下浸水が16軒ということです。幸い人的被害はありませんでした。6000人を超える市民の皆さんにいち早く避難指示を出して下さった浅見のぶよし長浜市長はじめ、避難体制の整備にあたってくださいました行政の皆さん、また水防団や消防団、地域の防災リーダーの皆さんに感謝です。何よりも、我が身を守る行動をいち早くとってくださった長浜市民の皆さんに感謝です。8月7日。(また長いです。2000文字です)。
5日の早朝から全国ニュースで滋賀県長浜市の「高時川氾濫」が流され、私も国会開催中で委員会や本会議の合間をぬって、高時川の河川カメラ(上流部の川合と、下流部の高時川と姉川の合流点の難波橋)の水位が10分おきにかわるのを食い入るようにみていました。午前10時すぎには川合で、難波橋も午後には水位がさがりはじめました。5日は急ぎ大津の自宅に戻り、6日午前中、長浜市選出の大橋みちのぶ県議に案内をしていただき、中流部の雨森、古橋、川合、大見の4地域の氾濫現場を訪問させていただきました。明日以降には最上流部と、下流部を訪問させていただきます。
「滋賀県長浜土木事務所木之本支所」がまとめられた被災箇所の図をまずアップします。道路の被災箇所が3ケ所です。最北端の中河内が椿坂地先の土砂崩れで一時孤立してしまったようですが、6日には仮復旧しているようです。菅並の河川沿いの道路も仮復旧したようです。古橋の道路欠損はつい半年ほど前完成した歩道部分が河川の屈曲部で破壊されてしまいました。回り道で移動が可能です。
河川の被災箇所は二ケ所で、古橋の屈曲部の浸水と馬上(まけ)の浸水はいずれも「霞堤」です(県提供写真添付)。「霞堤」(かすみてい)というのは堤防のある区間に開口部や低い部分を設け、洪水時には本流の水を水田などに逃がして、下流に流れる洪水流量を減少させます。洪水が終わると湛水した水を排水します。戦国時代から日本では各地で霞堤がつくられており、滋賀県でも高時川や天野川、愛知川、日野川などの大河川で多くみられます。伝統的な「流域治水の知恵」と仕組みともいえます。非常に合理的な機能と言われています。
また近年は霞堤部分が河川生物の待避所として生息場所の提供をしているという新しい役割も注目されています。伝統知に込められた生物多様性の機能や、グリーンインフラの醸成という点に期待が込められています。滋賀県立大学の瀧健太郎さんたちがこの分野での最先端の研究をすすめています。
また京都新聞(写真)や、各種のTVのヘリ映像で氾濫がひろがっている高時川と姉川の合流部は、もともとの河川敷に濁流がひろがったところです。東側の旧虎姫町柿ノ木や西側の旧びわ町錦織(にしごおり)や難波の集落部には濁流は流れ込みませんでした。このあたり「天井川」ですので、「よくぞ堤防がふんばりしのいでくれた」としぶとい堤防に感謝です。
雨森では、河川敷のグランドゴルフ場が水につかり、共同で泥だしをしておられる皆さんにお礼を申し上げました。また川合地区ではいつもFB上で友人として山や自然の話題を交わしてきた吉田治子さんと偶然の出会いでした。川沿いのご自宅もご長男さんのお宅も、嵩上げがしてあったので、浸水には遭わなかったということす。吉田さんは、急流をさけて泳ぐアユをつかまえて、夕食のおかずにしたという!!大見では、河川カメラで写っていた釣り橋を道路から確認。周辺の家も嵩上げがなされていて浸水には遭っていません。
また今回の雨量は最上流部の中河内観測所の記録で、8月4日の午前10時からの24時間で305ミリとなっています。高時川流域(杉野川も含む)の明治以降の被害の歴史をみると昭和47年や昭和50年よりも降水量は少ないですが、短時間集中が問題だったようです。森林からの流出特性の研究者や、河川工学の専門家の人たちも交えて、今回の降雨・氾濫パターンと被害の状況を精査して、今後の流域治水を柱とした政策づくりにつなげていく必要があります。
今、高時川と姉川の河川整備計画の全体予算80憶円を20年に分けて、毎年4億円を河川掘削や堤防強化、樹木伐採等にいれておりますが、もっともっと集中的な投資が必要です。「丹生ダムを止めた前知事として責任をとれ」という声も聞こえています。もちろんその覚悟です。ダム計画は1050憶円の予定でした。そのうち3割の約300憶円近くが、京都、大阪、兵庫県民の負担が予定されていました。公共投資の費用・便益という納税者に説明がつく政策議論も必要です。
ここ数日以内に最上流部の中河内から、最下流部の旧びわ町地域まで、また現場調査にでかけさせていただき、次に報告させていただきます。写真提供いただきました大橋みちのぶ県議と吉田治子さんにお礼申し上げます。