第2回水循環基本法を“動かす”シンポジウム、「健全な水循環を考えるー私達・国民は、どうすれが良いのか」で、基調講演をさせていただきました。
2014年に公布・施工された「水循環基本法」が今年の7月で満8年を迎えます。立法時の附則には「5年後に総合的検討」とありましたが、それがなされずに今に至っています。そこで、「日本水循環文化研究協会」が主催をして、市民、国民の立場から、総合的検討を行うようにという問題提起の会合でした。今回の会合を経て、国会議員として、「法律の運用実績を総合的に評価して、必要な措置をとるように」と問題提起を受け、宿題をいただきました。6月24日。
講演は、グローバルな視点から中村正久国際湖沼環境委員会の副理事長から「日本の水・地球の水を守るために」という講演があり、国連環境計画の今年の会議でようやく、淡水資源としての湖沼管理の決議案がまとまったということです。滋賀県は1984年の世界湖沼会議後に国際湖沼環境委員会をつくり湖沼の国際的価値を発信してきましたが、それが40年近くたってようやく国際的な位置づけをされたことになります。
ふたつ目の講演として、私は「水循環基本法と流域治水の行方―水循環基本法を“動かす”ために」として、「近代化と地球温暖化により増える文明リスクにどう対処するのか?」と講演させていただきました。特に滋賀県での流域治水条例設置の背景には、律令時代からの水共同体による水の災いと恵みをまるごと受け止め、「近い水」として自主管理をしてきた歴史があること。
それが明治以降の近代化と中央政府の管理が強化され「遠い水」となる中で、コンクリート技術による施設整備が先行し、水のリスクに対して地域社会が脆弱化してきてしまった。それを認めた上で、この後、生き物とも共存しながら、いかに流域全体の恵みをいかしながら災いとつきあっていくのか、地域毎の歴史に根ざした住民主体の計画づくりが必要ではないか、と訴えました。
静岡県からは、県議会議員の小長井由雄さんが、「静岡県水循環保全条例の制定をめぐって」として、その条例制定は、リニア新幹線建設で水を失う静岡県として、歯止めをかけるための条例ということです。川勝知事が、JR東海に対して、一貫して問題提起しております。
また後半のシンポジウムでは、元淀川水系流域委員会の委員長だった宮本博司さんが司会をしながら、滋賀県から菜の花ネットワークの藤井絢子さん、静岡県から大井川の水返せ運動をしてきた樫田秀樹さん、三島市の地下水保全活動の大沼倶夫さんたちが地域の報告をしてくださいました。昭和30年代初頭から、上流部のダム開発で大井川が砂漠化して、まさに下流域で水循環が失われてきた歴史を訴えておられました。