2022年5月19日法務委員会【確定稿】

○嘉田由紀子君 ありがとうございます。碧水会の嘉田でございます。
一般質問ということで、本日、子供の幸せ、家族の幸せについて引き続き質問させていただきます。

 思い起こしますと、二〇〇六年、私、滋賀県知事に就任したときの県民との約束の一つに、子供の暮らしやすい、子供が生まれ育ちやすい地域をつくろうということで、子育て三方よしという仕組み、生まれた子が幸せ、産んだ親も幸せ、結果として、世間が、社会が幸せという子育て三方よしという政策をつくらせていただきました。そして、子ども・青少年局という子育てに専ら横串を刺すという仕組みをつくらせていただきました。
昨日、参議院の本会議で、ようやく子ども家庭局の議論が始まりました。遅きに失した感がありますけれども、少なくとも動き出したことは歓迎したいと思います。ただ、残念ながら、その中に法制度的なところの項目がほとんど入っておりません。子供のサービス、そして財源、これは大事ですけれども、法制度的なところがほとんど、子ども家庭局の担当者に伺っても、対象になっていないということで、今日はそちらのところを。
まず、子供の立場からということで、資料を出させていただきました。東京都内の教育委員会が主催をした中学校生徒意見発表会発表文集から抜粋をさせていただきました。資料一です。少し長いんですが、四分ほどで終わりますのでお付き合いいただけたらと思います。

20220519【配付資料】法務委員会 出典令和3年度東京都内教育委員会主催 中学校生徒意見発表会 発表文集より抜粋

中学校二年生、「パパもママもの社会に」。
私の父と母は私が三歳の頃離婚しました。その後ずっと母と一緒に暮らしていますが、私は父も母も大好きです。
今回、社会を明るくする運動というテーマを与えられ、母に相談してみました。そうしたところ、母は、日本の社会には共同親権を求める運動があり、このテーマに合っているのではと教えてくれました。
母は弁護士をしていて、子供に会えないお父さんやお母さんのために働くことが多いです。私も幼いときから、母や休みの日に、子供と一緒に住んでいないお父さんやお母さんの方たちが集まる場所に行くことが多かったです。そうした場所では、本当に多くの大人の方が、共同親権や子供と会うことを求めて一生懸命でした。私は幼かったのでそうした活動の意味はよく分かりませんでしたが、そこで知ったことはごく簡単なことで、自分の子供と会いたくても全く会えなかったり、一か月か二か月に一回数時間しか会えなかったりするということでした。そこで会う大人の方は、たまたま会った私と一緒に遊んでくれて、私もとても楽しかったです。幼い頃は何も思っていませんでしたが、今思うと、このような大人の人が自分の子供とは余り遊んでいないなんて、とても不思議な気がします。
母に教わったのは、簡単に言うと、親権とは、子供を育てるために、子供がどこに住むかなどの様々なことを決める親の立場のことです。日本では、親同士が結婚していると、親の両方に認められています。しかし、親同士が結婚していないと、必ず親の片方にしか親権が与えられないということです。これが単独親権というルールです。ほとんどの外国ではこのようなことはなく、親同士が結婚をしていない場合でも、親の両方が親権を持つことができる共同親権になっているようです。そのため、単独親権者になろうと子供を連れて別居して監護を独占し、片方の親が会えなくなるようなことがないように、海外では子の連れ去りが犯罪として禁止されています。
最初に述べたように、私の両親は私が幼い頃に離婚をしています。私は、父も母も好きで、両方と一緒に過ごしたいと願っています。だから、私は共同親権になればよいと思います。
では、何で日本だけはなかなか共同親権にならないのでしょうか。母に聞いてみたところ、いろんな意見があるとのことでした。例えば、こんなことを主張する人がいるようです。まず、共同親権になると、もう一人の親の意見を尊重しなければならず、困ってしまうことがあるということです。この意見は、理解はできたのですが、私は少し変だなと感じます。確かに、親の立場を独占している人から見れば、もう一人の親の意見も対等に扱われると邪魔かもしれないです。でも、それは親権を得られた立場からだけ見た話であって、ルールとしてどちらがよいかという話とはちょっとずれていると思いました。私が将来、親になることができたとしたらと考えます。そのとき、親権が持てるかどうか分からないよりも、自分の子供のことを親として決められると分かっていた方が、私は安心です。学校でも男女は平等で、仕事も対等と習ってきました。これが普通のことだと思っています。家のことだって子供のことだって対等であって、どちらかが独占したり押し付けたりしてはいけないのは普通のことです。
もう一つ、母から聞いたのは、親同士が結婚しているときだけ共同で子供を子育てするべきという意見があるようです。これについては、私の場合、想像しにくいのですが、親同士が結婚して仲よく一緒に暮らしていてくれていたら、私だってうれしいと思います。でも、そうではないときでも、両方の親と一緒に遊んだり、御飯を食べたり、一緒に寝たりすることはやはりうれしいことです。
私は、離れて暮らす父のことが大好きです。父はいつも穏やかで私に優しいです。立川の漫画パークで一日中漫画を読んだり、カードを集めて遊んだり、私の好きなおすしや海鮮丼のお店に連れていってくれたりします。私と父の趣味は合っていて、本当に安心できる良い時間です。
実は、本当はもっと父と会って一緒に過ごしたいです。今はたまに遊びに行くくらいですが、これがもっと多くなったり、香川県の父の実家で一緒に泊まったりできれば最高です。
私の願いが母の言う共同親権でかなうのかどうかは分かりません。法律の仕組みも分かりません。でも、親がどういう関係であっても、父か母かよりも、父も母もがよいです。私のような単純な願いのために、パパもママもを求める活動をすることは、社会を明るくする運動だと思います。
法務大臣、この中学生の作文、少し長くなりましたけれども、御感想、お聞かせいただけたら有り難いです。

○国務大臣(古川禎久君) 父母の離婚後の子の養育の在り方は、子供の生活の安定や心身の成長に直結する問題でありますから、子供の利益の観点から大変重要な課題だというふうに考えています。

父母の離婚後の親権制度につきましては、いわゆる共同親権制度を導入すべきであるとの意見がある一方で、共同親権制度を導入することに慎重な意見もあるなど、様々な意見があるものと承知をいたしております。
父母の離婚後の子の養育の在り方につきましては、法制審議会において様々な角度から幅広く調査審議中でございますが、そのような議論をする際には、自らが未成年のときに父母の離婚を経験した方々の意見にも耳を傾けるということも重要だというふうに思います。今の御紹介いただいた作文も、まさに両親が離婚された、そういう中学二年生のお声でありました。
そのため、法務省では、これまでにも、子に関する実態調査として、未成年期に父母の離婚を経験した方を対象としてアンケート方式による調査を実施し、令和三年三月に公表したところであります。また、令和四年度にもこのような方々を対象としてインタビュー形式による調査を実施する予定でございます。
法制審議会におきましては、こういった調査も踏まえた上で、引き続き、子の最善の利益の確保等の観点から充実した調査審議が行われることを期待しております。
○嘉田由紀子君 御丁寧にありがとうございます。今年はインタビュー調査をしてくれるということですけれども、是非その結果を待たせていただきます。

二点目ですけど、これは言葉の問題なんですが、民法七百六十六条、ここで、面会及びその他の交流という言葉が使われているんですけれども、この親子が出会うのを面会交流と法律の用語から使われているんですけど、ちょっと言葉自身が、ある意味で刑務所の受刑者に対して使用するようで冷たく感じます。私ども共同養育支援の議連では親子交流と言い換えているんですけれども、法務大臣のお考え、いかがでしょうか。
○国務大臣(古川禎久君) 民法七百六十六条一項は、父母が協議上の離婚をするときは、父又は子と、失礼、父又は母と子との面会その他の交流についてその協議で定めることと規定しております。
この面会とは、一般に人と直接に会うことを意味する用語でありまして、刑事施設で受刑者と会う場合のみで使用されるものではありません。例えば、病院に入院患者をお見舞いするときも面会というような言葉を使うわけでございます。
もっとも、現在、法制審議会では、父母の離婚後の子の養育の在り方について幅広く審議中、調査審議中でございますが、調査審議の結果を踏まえて具体的な条文案を立案する際には、御指摘の点に限らず一般に、法制審議会が取りまとめた実質的な規律の内容を適切に表現することができる文言の在り方について、法制的な観点も踏まえて検討する必要があるというふうに考えております。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。法律の文言というのは大変重要な意味を持っておりますので、是非御検討お願いいたします。
三点目ですが、実は昨日、共同養育支援議連の方から、配偶者により子供を連れ去られた方のための共同養育総合的パッケージ概要をお届けさせていただきました。

20220519【配付資料②】法務委員会(提言配偶者により子供を連れ去られた方のための共同養育総合的パッケージ概要)

先ほど法務大臣もおっしゃっておられたように、共同親権、共同養育に慎重な方の意見のかなり強いところに、DVから、夫のDVから逃げられない、危険だという意見が大変強いということも私どもも伺っております。
ということで、まずこの資料の二ですけれども、本文は大変十ページ近く長いんですが、一ページにまとめたもので、子を連れ去られた方、それから真のDV被害者の状況を左側に整理させていただきながら、じゃ、これに対してどういう対策を取ったらいいのかという共同養育総合的パッケージを提案させていただいております。
この中で、特に右側の方の一番上のところに、様々な相談窓口、あわせて、検察における国会答弁を踏まえた運用、これはちょうど昨年の四月十三日です、同居中の父母のうちどちらかが相手の配偶者に無言で了解を得ずに子供の居所を変えた場合に、刑法の二百二十四条の誘拐、略取誘拐罪に当たるかどうかということで御答弁いただきました。そのときの答弁は、上川大臣とそれからあと川原刑事局長からいただきましたけれども、ここの保護法益は、子供の自由が奪われることと併せて監護者の監護権も奪うおそれがあるだろうということで、はっきりと刑法二百二十四条の対象にもなり得るということをお答えいただいております。ところが、現場の警察などではなかなかそのことが理解されていないということで、今、共同養育議連の方では問題とさせていただいております。
それから、継続性の原則、あるいは住民票の写しということで、この総合対策パッケージ、議連から出されたものを今後法務省さんとしてはどう対応策を講じていただけるか、少し時間も迫っておりますので短くて結構です、よろしくお願いいたします。
○国務大臣(古川禎久君) 昨日、委員も所属されております議連から御提言をいただきました。法務省として御提言をしっかり受け止めて、今後の検討、取組に生かしてまいりたいというふうに考えております。

先ほども御紹介しましたとおり、法制審議会で今調査審議が進められておるわけですけれども、今年の夏ぐらいに中間試案が取りまとめられるというふうに聞いております。
法務省としましては、引き続き関係府省庁とも協力しながら取り組んでいきたいというふうに考えております。
○委員長(矢倉克夫君) 時間が参りました。
○嘉田由紀子君 お時間になりましたので、ありがとうございました。
以上です。

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