Facebook 2022年5月30日 トチノキは残った!

「トチノキは残った!」。関西の水源地、長浜市旧木之本町土倉地域で、2014年から2018年にかけて、業者による伐採の危機に瀕していた樹齢数百年のトチノキ巨木群。滋賀県だけでなく、下流の京阪神の皆さんからの「巨木トラスト」のご寄付をいただき、伐採をまぬがれました。そのトチノキ巨木群を、トラストの中心となって下さった「日本熊森協会」の皆さんと訪問。写真を中心に報告いたします。5月29日。(また長いです、1500文字、スミマセン)
5月の青空の元、新緑いっぱい、300年以上もの悠久の時を埋め込んできたトチノキ巨木群に出逢えて最高の一日でした!地元では「もりのもり」グループの北川勇夫さん、武田典基さん、子林葉さんの三人が、急斜面の道づくりやルート案内にご尽力下さいました。私の脚力、体力をサポートしてくれたのはこの道の導師、小松明美さん。皆さんに深く感謝です。
「土倉トチノキ巨木ツアー」、旧土倉鉱山跡の情景と合わせて、今後一層ニーズは増えそうです!
「日本熊森協会滋賀支部」(村上美和子代表)の主催、「琵琶湖源流の森林文化を守る会」(嘉田由紀子代表)共催で開催。京阪神をふくめ、まさに老若男女19名が参加くださいました。私自身、何度も土倉ツアーは参加してきましたが、谷にかけられた木橋や、尾根筋に新たにつくられた道づくりのおかげで、どうにか、老体に鞭打ってトチノキ巨木群の谷筋往復ができました。小林さんいわく、「道づくりの時にどの根を切って、どの根を遺すのか、森の自然をできるだけ傷づけないよう、気を使いました!」。納得です。尾根道を歩きながら、小林さんのその配慮を感じました。
また北川さんには、リュック背負いや写真撮影を協力いただきました。ありがとうございました。武田さんも道案内。小松さんが準備してくれた飲み物で体力の消耗をふせげました。
振り返ってみると、滋賀県知事現職時代の2009年、高島市朽木地区のトチノキ巨木が業者によって伐採され、金になる中心部だけヘリコプターで運び出され、後は放置。その惨状に心を痛め、歯止めをかけたいという滋賀県林業職員の強い思いとともに、地元の皆さんも、かつては重要な食用となっていたトチノミの価値などを再認識するようになっていました。
そこで2010年、「トチノキの巨木1本守れないのは行政を担っている価値がない」と知事としての決意を表明し、巨木保全の仕組みをつくりはじめました。保全木への協力金支出と、保全団体の創設・支援です。財源は「琵琶湖森林づくり県民税」です。2010年以降、熊森の皆さんや、「巨木と水源の森を守る会」(小松明美代表)が中心となって、高島市で、先駆的な事業成果があがってきました。
そんな折、2014年に長浜市木之本地区で、40本のトチノキ巨木の伐採許可申請が業者から出されたことを契機に、「琵琶湖源流の森林文化を守る会」を学者や弁護士などとつくり、保全方法を模索してきました。2016年には伐採業者からトチノキの所有権争いが提訴され、大津地裁、大阪高裁で2年あまりの裁判闘争を経て、2018年の和解提起を経て、1000万円を超える支払い要求に応える必要がありました。この時、協力いただいたのが、日本熊森協会や、総合アウトドア企業のモンベルの辰野勇会長でした。
伐採を免れたトチノキ巨木群と、明治時代から昭和40年まで銅などを生産していた土倉鉱山の跡地が、遺跡として注目されはじめています。コンクリート施設に入り込み、伸び続ける木々のチカラ。不思議空間で、エコツーリズムツアーも増え始めています。地元の金居原集落の皆さんも、逆に、関心を持ち始めてくださっています。今後の展開は、まさに今日ご案内いただいた「もりのもり」の皆さんのご活躍に期待したいです。源流の郷の未来に希望のもてる一日でした。ご準備いただいた皆さんに深く感謝です。
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