2022年4月19日法務委員会【確定稿】

○嘉田由紀子君 ありがとうございます。碧水会の嘉田由紀子でございます。少数会派にも時間を割り当てていただき、感謝申し上げます。

私は、児童虐待の問題についてこれまでから進めておりますけれども、今回、まず最初に、保護者以外の関係者による虐待への対応についてお伺いさせていただきます。
と申しますのは、児童虐待防止法の第二条で、児童虐待とは保護者がその監護する児童にということで、これ主体を保護者としているんですね。そうすると、現場では、例えばお母さんの交際相手の方がかなりひどいことをやっていても踏み込みができないということが現場ではございました。
それで、具体的には、例えば二〇二一年、昨年八月ですけど、母親と交際相手が男児に熱湯を掛けて死亡させたという本当に痛ましい大阪府の摂津市の事案、あるいは、翌月、二〇二一年九月には、母親と交際相手が女児を身動きできないようにして押し入れに閉じ込めて死亡させた岡山県の例、保護者以外の関係者が関わった虐待死の事件が続いております。
統計的には、三月二十九日の法務委員会でお配りしました資料に、子供虐待による死亡事案の検証結果、第十七次報告ですが、実父母が四七・四%、一人親が二七%、再婚家族が四・四%、内縁関係が八・一%となっております。
そこで、厚生労働省と法務大臣にお聞きします。
児童を養育している母あるいは父との交際相手など、言わば法的にも保護者と言いにくい保護者以外の関係者による虐待への対応についてどう考えておられるでしょうか。それぞれに、厚生労働省、法務大臣、お願いいたします。
○副大臣(佐藤英道君)

ただいま委員から具体的な事案について御指摘をいただいたところでありますけれども、昨今の痛ましい虐待死の事案におきまして、親の交際相手等による加害の実態やその加害を放置する親のネグレクトも指摘されており、適切に関係者が対応していく必要があると考えております。
このため、昨今の事案も踏まえ、父母の交際相手等への対応について整理した通知を昨日、十八日に発出したところであります。具体的には、交際相手等について、週に数日や日中、夜間のみなど、定期的に児童のいる家庭に滞在し、児童の養育に一定の関与の下、監護を行う者等について、児童虐待防止法上の保護者に該当し、児童福祉法に基づく調査、指導を行うべきこと、また、交際相手等が保護者に該当しなくとも、例えば、交際相手等が虐待を行い、実親など保護者によるネグレクトとされるケースなどの場合には、保護者への児童福祉法に基づく調査、指導はもとより、その一環として交際相手等に対し児童の安全確保の観点から必要な対応を行うことについて、児童相談所や市区町村に対し通知をさせていただいたところでございます。
本通知の内容が全国の児童相談所や市町村等へ浸透するよう周知徹底し、児童の安全を確保するためしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
○国務大臣(古川禎久君) 私の方からは、法務省関係機関の対応についてお答えをさせていただきます。

まず、検察当局におきましては、児童を虐待した者がその児童の保護者であるか、それ以外の者であるかにかかわらず、刑事事件として、事態の実態に即して法と証拠に基づき厳正に対処しているところでございます。
また、法務省関係機関が提供し得る資源、ノウハウのうち、子どもの人権SOSミニレター等による人権相談、あるいは法務少年支援センター、少年鑑別所ですけれども、法務少年支援センターにおける地域援助、これも虐待をした者が保護者であるか否かにかかわらず広く活用され得るものと考えております。
法務省としては、関係省庁との連携を更に強めまして、提供できる資源、ノウハウをアウトリーチで積極的に提供することなどを通じて児童虐待の根絶に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。

厚労副大臣様、今回の、昨日ですか、タイミング的には、保護者以外の交際相手の加害をここまできちんと自治体に調査研究、そして対応するようにと出していただいたのは大変有り難いことでございます。
また、法務大臣の方は、言わば定義に関係なく、実態として加害をしたその加害者はきちんと検察も、また検察庁も対応してくださるということ、大変有り難いことでございます。
そういう中で、昨日の今日というと、ある意味ではこの質問がとってもタイミング的には重要だったかと思うんですが、この後、現場で具体的に徹底していくために少し資料を出させていただいております。
資料一と二ですけれども、要保護児童対策協議会、要対協と言っている、そこが連携の核になるんですけれども、その活用状況と死亡事例における関係機関の連携状況、また虐待死を起こしてしまった事案についての情報共有とか、ここのところが実は、例えば資料一で見てみますと、第十七次報告ですけれども、心中以外の虐待死が五十六件ありながら、関係機関の連携というのは、なしが三七%、つまり六七・三%もあるんですね。後ろの資料二ですけれども、要対協の場面をよく活用しているといいながらも、連携なしというところが心中以外で二十六件あります、三十七件のうち。
ですから、なかなか実態として、実効性を持って連携するというのが難しいというのがこのデータから言えると思うんですが、厚生労働省さんにお伺いしたいんですけど、三月二十九日の当法務委員会で、警察庁は、児童虐待が疑われる事案の情報を全て児童相談所に通告し、また情報提供を行っていると答弁なさったんですが、警察から受けた事案の情報、児童相談所はどのように取り扱っているのでしょうか。厚労省さん、お願いします。
○政府参考人(岸本武史君) お答えいたします。
児童相談所が虐待通告を受けましたときは、通告元を問わず、必要に応じて、児童相談所職員又は児童相談所が依頼した者により、原則四十八時間以内に子供を直接目視することによります安全確認を行い、子供の安全確保のため必要と認められるときは一時保護を行う等の対応を取っているところでございます。
特に、警察から通告される虐待事例等につきましては、一般に保護の緊急性が高い場合が多うございますので、厚生労働省といたしましては、即日、緊急の受理会議を開催するなど、特に迅速かつ柔軟な対応を求めているところでございます。児童相談所におきまして、事案に応じて適切に対応していただいているものと認識しております。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。警察からの通報はより緊急性が高いと判断をしていただいているということでございます。
市民感覚からいきますと、通報する、どこに通報するか、これは児童相談所直接なのか、県庁なのか、市役所なのか、あるいは関係の組織なのかということで、市民的な感覚からいくと、実はこの通報の問題が意外と壁がございます。
私は、常々、知事時代から、児童相談所などは警察と連携することによってよりリスクを阻止できるというところで、多分滋賀県は全国でも大変最初の段階で警察と連携をさせていただいたと思うんですけれども、実は、NPO法人シンクキッズ後藤啓二様が、昨年の八月、大津で六歳の女児が十七歳の兄に殺されてしまったという事案がありました。その後、三日月大造知事に、警察との連携をもっとしっかりしてほしいというところで四つの問題を提起しておられます。
一つは、福祉や教育の現場では警察との情報共有に後ろ向きの感覚が根強く存在する、これは私も感じておりました。ですから、ここのところ、心理的バリアがあるということですね。それから二つ目は、児童相談所と警察との全件共有の連携が全国半数程度の自治体で既に実施しているけど、残り半数は実施できていないと。全件共有はスタートにすぎない、縦割りを解消して、児相と警察が互いの業務に敬意を払い、信頼関係を確立して、それぞれの業務の利点を生かしてベストの力を発揮して、何よりも子供ファースト、子供を守ることに集中する。そのために、ワーキングトゥギャザー、関係機関が一緒に頑張ろうの理念こそ子供を守るためには必要だと言ってくださっております。
関係機関の縦割り解消に向けた法務大臣の見解について、お願いできますでしょうか。
○国務大臣(古川禎久君) 委員御指摘のとおり、児童虐待を根絶していくためには、関係機関がやはり緊密に連携をして協力をして取り組んでいくということは非常に重要なことだというふうに考えております。
連携強化のためにどうすればよいだろうかと、これ一般論として申し上げますと、異なる立場にある関係機関や関係団体の間で連携を図っていくためには、まずはやっぱりネットワークを構築すること、これが大事だと考えます。ネットワークが構築されることによって、相互に、お互いの顔が見える関係の中で情報共有も進んでいくのではないかと。そして、具体的なケースについても、その取り組む事例が増えていく、それが積み重なっていくことによって、この関係、ネットワークのですね、機能がより高まっていくのではないかと、こんなふうに考えております。
この要保護児童対策地域協議会は、まさにこのようなネットワークを形にしたものだと言うことができると思います。地域の実情にも応じ、関係機関が連携して個別のケースに対応していく、対処していく、そういう仕組みが設けられているものだというふうに認識をいたしております。
法務省としましても、この要対協に積極的に参画をしていくとともに、提供できる資源やノウハウを他の関係機関にも積極的に活用いただくように努めたいと思います。このようにして緊密を連携に取って、児童虐待の根絶のために力を尽くしてまいりたいと考えております。
○嘉田由紀子君 法務大臣の決意、ありがとうございます。
最後に一つ、これは通告していないので意見なんですけれども、先ほど来、厚労省さんが、言わばこれまでの保護者以外の方たちに対して、今朝見せていただいたんですけど、本当に五ページほど詳しく通知を出していただいております。これは、世間的には、保護者以外の交際相手の方が例えば新聞など事件で出ているから当然国も動いているんだろうと思っていたと思うんですが、逆にそこが入り込めなかったところ、ここ大きな第一歩だと思います。
その大きな第一歩を厚労省さんと副大臣にもしお伺いできたら有り難いんですが、今、こども家族庁、こども家庭庁でしょうか、その中で、母親、父親の孤立化を防ぎ児童虐待を防止するために、共同養育、離婚後の単独親権というのがかなり孤立化に向けておりますので、共同養育を担当する部署など設置できたらと、意見なんですが、もしそこにコメントがございましたらお願いいたします。
○委員長(矢倉克夫君) 時間が過ぎております。
○嘉田由紀子君 もう私の方はこれで終わります。
○委員長(矢倉克夫君) 時間が過ぎておりますので、また次の機会でお願いできればと思います。
○嘉田由紀子君 では、結構です。また申し入れさせていただきます。
昨日の地方自治体への、ありがとうございます。感謝申し上げます。

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