「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律案」についてかなり悩みながら、同じ会派のながえ孝子さんと相談をして、4月13日の参議院本会議で反対の意思表示をしました。自公ふくめ野党などすべての政党会派が賛成の議員立法でした。私たちの会派だけが反対でした。この後衆議院での議論も始まりますので、その理由をすこし説明させてください。なお、4月15日の京都新聞が記事を書いてくれましたので、それも紹介させてもらいます。「困難かかえるのは男女両方」「憲法の“両性平等”どう捉える?」という見出しをつけてもらっています。4月20日。(また長いです。スミマセン、1800文字)。
「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律案」は、「女性が日常生活又は社会生活を営むに当たり女性であることにより様々な困難な問題に直面することが多いことに鑑み、困難な問題を抱える女性の福祉の増進を図るため、その支援に関する必要な事項を定めることにより、支援施策を推進し、もって人権が尊重され、女性が安心して、かつ、自立して暮らせる社会の実現に寄与しようとするもの」とされています。
今、都道府県や政令市などには、昭和30年代につくられた「売春防止法」を法的根拠とした婦人保護事業があり、「婦人相談所」などと言われ、女性シェルターとも言われています。また最近は大都会では民間でのシェルターもあり、配偶者暴力を受けた人の逃げ場所にもなっています。この法案により、今後は都道府県に限らず、市町村など各自治体が基本方針をつくり、予算確保をして、シェルター施設の強化や、人的な相談員を増やそうというものです。
すでにある施設や制度を強化しようというものですが、家族問題などで困難をかかえる人で、最近は男性の被害者や困難者も増えているようです。実は私が国会に来てから、妻からのDVや妻による子どもの連れ去りなどで、これまでに数十名をこえる男性たちが全国から私の事務所にSOSを発してきました。多くは、「配偶者暴力センターでは男性は相談にのってもらえない」「内閣府の男女共同参画政策の部署でも男性の困難には対応できませんと言われた」という訴えも少なくありません。家族や子育てにかかわる男性の悩みを公的に受け止める政策も施設もありません。
警察庁による統計(2018年)で見ると配偶者間の犯罪の中で、夫が妻を殺人したのは55.6%、逆に妻が夫を殺人したのは44.4%でした。配偶者間暴力では、夫から妻への暴力訴えが約3割であるのに、妻から夫への暴力も約2割あります。社会的に隠し切れない殺人が、実態としての配偶者間の暴力を表しているのではないかと想像します。
というのも、男性というジェンダー役割が、「男は強くあれ!」「泣き言を言うな!」というような性別役割を引きうけさせ、外部に訴えられないということが想像できます。女性はもちろん、男性も、性別役割や性別意識を引き受けすぎて、困難をかかえることから解放されるべきです。
私自身知事時代に子育て中の女性の雇用政策の強化や性犯罪や性暴力に遭った人たちの窓口開設など、全国に先駆けてすすめてきました。自分が女性であるがゆえに、就職や子育ての両立などで大変悩み苦しんできました。また先日のこのFB投稿に、私の母、庄田センが明治民法の「男尊女卑」の家制度の元、結核に罹患し、いかに苦しめられたかを告白させていただきました。男女共同参画(ジェンダー平等)は私の人生の大きな目的であり、嘉田県政でも大事な政策でした。国会にきてからも「両性の平等」に関しての質問などを、法務委員会を中心に何度も行ってきました。
日本国憲法で保障されている「両性の平等」、つまり「真のジェンダー平等」を求めるのが、今の時代のあり方と思います。LGBTQなど同姓婚も社会的に求められています。実は、20年前の「配偶者暴力法」を制定する時も「女性だけでなく男性被害者も想定して“配偶者”という表現にした」ということ。両性の平等を訴える政党なども、今回の「困難女性法案」の名称や内容に疑問をもたなかったようなので、私たちの会派として、あえて問題提起のために反対しました。
皆さんの身のまわりでさまざまな夫婦、親子、家族の悩みを見聞きしていると思いますが、女性だけでなく、男性が悩んでいる例がありましたら教えてください。全国からはもちろんですが、滋賀県選出の参議院議員として、滋賀県の有権者の方のご意見をうかがいたいと思います。