ウクライナから届く戦闘場面に心をいためる日々。原油価格が米市場で1バレル100ドルを超えたという。ウクライナ侵攻があらわにしたのはエネルギー供給におけるロシアの存在感とロシア依存のリスクです。天然ガス生産量は世界2位、石油は世界3位。国際決済網からのロシアの排除により、エネルギー全体が高騰するのではないかと世界は身構えています。もちろん日本も他人事ではありません。だからこそ、エネルギーの自給率を高めようという呼びかけは、地球温暖化への対応だけでなく、まさに国家の存立基盤である「エネルギー安全保障」にも通じます。そのためにもタイムリーな会合を大津市のNPO法人HCCグループが開催してくださいました。名付けて「滋賀で実現する再エネ100%」。旧友の環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也さん、また滋賀県で一緒にエネルギー関係の仕事をした中嶋洋一さんなどが発表してくださるということで半日参加をしてきました。報告します。3月12日。(1300文字です)。
飯田さんの講演は、「再生可能エネルギー100%の実現可能性について」。結論は、できるかできないかではなく、やるしかない!という決意表明とその道筋の提案。夢物語ではなく、圧倒的な技術革新と価格低下の元にある太陽光と風力による創電と、これも価格低下の蓄電施設で、化石燃料にとってかわる動きが世界で出始めていると丁寧に解説。特に南オーストラリアやアメリカ、デンマークは大きく進んでいるという。それに比べて日本は3周から4周おくれている、と。
しかし、日本各地にある「ご当地エネルギー」には希望があるという。再エネの太陽光や風力を振興する地域と抑制する地域をゾーニングし、建物などへの太陽光設置に加えて、森林や農地などの環境破壊、景観破壊を起こさない方法があるという。たとえば農地に縦の仕切りとなる太陽光壁やお茶畑など技術的にも十分有効だという。地域での「近いエネルギー」を実現することで、「自然エネルギーは自由へのエネルギー」という。日本各地での先例が示唆的です。
滋賀県庁の中嶋洋一さんは、「CO2ネットゼロ社会づくり」にむけた条例・計画類の見直しについて、最新状況を解説くださいました。3月県議会最終日に条例通過の見通しという。2011年3月に私自身知事時代に「2030年CO2半減」の条例をつくりましたが、一部継承しながら「2050年CO2ネットゼロ」を目指す道筋を三日月知事が先導して示してくれました。「事業活動」「自動車等」「日常生活」「再生可能エネルギー等」「建築物・まちづくり」「森林・農地等」などの領域で、令和4年度には64憶円の予算化をしています。
個別の住民活動については、「再エネ住宅」づくりについて吉本智さん、FEC(食、エネルギー、ケア)自給圏ネットワークについてディーガン美佐子さん、伊吹山スロービレッジの活動を嶋野美知子さんと山根祐輔さんが解説下さいました。また最後のディスカッションは、南村多津恵さんがコーディネーションをして、会場との質疑応答を仕切ってくださいました。