3月8日、参議院法務委員会で古川禎久(よしひさ)法務大臣に今国会はじめての質問をさせていただきました。3月3日の法務大臣の所信表明時の「父母の離婚に伴う子の養育のあり方」に関連して、下記の2点について質問しました。①共同親権実現に向けた嘉田の思いについて、②国際的な子の連れ去り問題への対応について。添付のYOUTUBEアドレスで4時36分以降のところをごらんください。
嘉田:「共同親権実現に向けた嘉田の思いについて」。まず嘉田事務所に直接相談をいただいた北陸地方にお住まいのAさんの事例を紹介しました。4歳とゼロ歳の子ども二人を妻の家族に連れ去られてしまい、月1回出会う程度で、大変不健全な状態で、子どもが不憫だ。嘉田に議員としての意見を聞かせてほしい。子どもと会えない父親、子どもと会えない父親について、古川法務大臣の意見を伺いました。
古川:私の身近なところにも類似の事例がある。人生の中での夫婦の不和は現実あるが、子どもに罪はない。子どもにとって将来の可能性をそぐような、傷を残すようなことにならないよう、制度の見直しが必要だ。
嘉田:言われるように、父と母が離婚しても子どもには罪はありません。離婚後の子どもの暮らしを経済的、精神的、社会的に安定させる「共同養育計画」のようなものがつくれるような法制度的な努力をお願いします。
嘉田:「国際的な子の連れ去り問題への対応について」。去る1月23日、エマニュエル米国駐日大使が着任されました。エマニュエル大使は、昨年10月20日の米国上院外交委員会のヒアリングで、メネンデス議員が、「475人以上の合衆国の子ども達が日本に連れ去られている。合衆国は、日本を国際的な子の連れ去りを犯すワースト・スリーに挙げている」として、「日本政府に、条約を遵守しなければならないことを理解させることを、大使の優先事項の一つとする」ように求めたのに対して、「その点を強調する」と答弁されています。
国際的な子の連れ去り問題は、日米間だけの課題ではありません。これまでの日本政府の対応に対しては、従来から、EU議会やEU諸国の大使からも強い懸念が表明されております。そこで、「世界の中の日本」という視点の大切を強調され、「共生社会の理想の追求」を掲げる古川法務大臣にお聞きします。国際的な子の連れ去り問題の解決に向けて、法務大臣として、どのような御決意をお持ちでしょうか?また、国際的な子の連れ去り問題が、日本に対する国際的な批判を高めていることについて、どのように認識なさっていらっしゃいますでしょうか?
古川:エマニエル駐日大使の発言だけでなく、2020年欧州議会での子どもの連れ去り問題での言及もあることは承知している。しかし、日本は、2019年以降、ハーグ条約不履行の国と分類されていない。現在ハーグ条約には適切に対応している。今後、外務省とも連携しながら、適切に対応している。
嘉田:次回以降、この件についてはより具体的な例を示していきたい。海外から後ろ指をさされないようにしていただきたい。古川法務大臣は、3月3日の法務委員会における所信表明で、「父母の離婚等に伴う子の養育の在り方」について、「制度の見直し」についての検討とともに、「運用上の対応」にも取り組んで行かれるとおっしゃいました。「制度の見直し」は、何時くらいまでに、どのような内容で見直すことを検討なさっているのでしょうか?また、「運用上の対応」とは何を想定していらっしゃるのでしょうか?
古川:制度の見直しは、法政審議会、家族法政部会で調査されている。今後、今年の夏頃、中間試案をとりまとめると聞いている。運用上の取り組みは、養育費の不払い解消にむけて、地方自治体とモデル事業を実施、安全・安心な面会交流にむけて、民間の支援団体にむけてのガイドラインなどを準備している。
嘉田:運用上の対応としてよく「安全安心な面会交流」と枕言葉がつく事が多い。中には面会交流で事件が起きたりしているが、本来、父、母が別れても、父子、母子の関係は切れないはずだ。離婚にともなって「共同養育計画」をつくり全体的に、父、母が離婚しても、「あなたの暮らしに不安はない」ともっと大人が、そして社会が制度的に子どもの暮らしを支えてあげる必要がある。そのためには離婚後の単独親権を規定している民法819条をかえて、法的に変えることで、精神的、文化的に、日本の子どもにとって未来がひらけるような方向にむけてリーダーシップを、古川法務大臣にとっていただきたい。