大西暢夫さん著『和ろうそくは、つなぐ』(アリス館)が発行されました。大西さん、和ろうそくのあかりとしての奥深い魅力と、つくる過程でのモノの循環する価値を引き出していただき、ありがとうございました!いよいよ完成しましたね。この絵本が出来上がる途中をFBで見せていただき楽しみにしていました。大西さんいわく「読者の方々が、育ての親になってくださるだろうと信じています」と。育ての親の一人として、私なりに紹介をつづらせていただきます。2月25日。(長いです、1500文字)
実は日々、夜お風呂に入る時の和ろうそくのゆれるあかりで、昼間の疲れを癒してもらっています。お気にいりの和ろうそくは、大西さんと同名の高島市今津町の大西巧(さとし)さん手づくりの「大輿(だいよ)」の和ろうそくです。職人さんのお店がどんどんなくなる中、1914年(大正3年)創業で、四代目の巧さんが、そのアイディアやデザイン性で、コロナ渦の今でも海外からの需要があり、安定したお客さまがついてくれているということです。「大輿」さんの和ろうそくはハゼの原料とともに、お米を活用している「お米ろうそく」がオリジナルです。花柄の絵が描かれた「絵ろうそく」はプレゼントに最適!
さて、大西暢夫さんの『和ろうそくは、つなぐ』の展開は意外です。材料がはぜ、という植物で、芯は和紙で、というところまでは私も知っていましたが、その製造プロセスで出される、あるいは出てくるモノが徹底的に次の職人さんのモノづくりにつながっている。それを日本中でおいかけて取材する、そのモノの循環、再利用、活用、そしてモノに息吹をふきこむ職人さん同士のつながりが、まさに今回の「つながり」なのだ、と理解しました。地図をみてください。取材先は11ケ所。
はじまりは①愛知県岡崎市の松井さんの和ろうそく工房。材料のハゼは、②長崎県島原市。ロウをしぼった後のカスは、③福岡県広川町の藍染職人さんの甕の保温燃料に。藍染の途中でできた灰は④大分県日田市の小鹿田焼の釉薬に。藍染の素材のスクモは⑤徳島県上板町の製藍所から。スクモを発酵させるムシロは⑥佐賀県東与賀町のムシロ織農家へ。和ろうそくの芯の材料の和紙は⑦岡山県美作市のミツマタ農家へ。
和紙すきは⑧岡山県津山市の和紙職人の工房へ。灯芯の芯は、灯芯草という植物で、⑨奈良県の安堵町へ。灯芯草からちょっと寄り道は⑩奈良市の墨づくりの老舗。ここで菜種油の煤をあつめて墨になる。そして最後は⑪滋賀県米原市の真綿づくり工房の北川さんへ。北川さんと大西さんの出会いは、『お蚕さんから糸と綿と』(アリス館)で紹介済みです。・・・・・・・・つなぎました。ふう!たどりました11ケ所!!
大西さんが、愛用のあのバイクでこれらの場所をまわっている姿を想像しながら、くれぐれも交通事故にはお気をつけて!と祈る私。
大西さんの手から離れ、旅立って行った『和ろうそくは、つなぐ』。皆さんの馴染みの本屋さんで、あるいはネットで、あるいはお近くの図書館などに「購入希望」をだしてください。絵本なので子どもさんむけ、と思われるかもしれませんが、大人も十分楽しめる充実ぶりです。