2月20日の長崎県知事選挙で、石木ダム中止やカジノ見直しを訴えた宮沢よしひこ候補は、自民党与党が現職と新人に分裂する中での、メディアジャックのような二極化報道ラッシュの元、世論に訴える機会も少なく、大きく負けてしまいました。長崎県内だけでなく、全国から、石木ダム計画の不条理さに心をいため、12年間も座り込みをつづける13世帯50名の「こうばる」地区の皆さんの住まいと農地を水底に沈めたくない、と共感くださり、支援を下さった皆さまに、選挙態勢を組み立ててきた私たちの非力をお詫び申し上げます。2月22日。(1500文字、長いです)
東京でパレスチナからの輸入食品会社を経営する宮沢よしひこさんは、「よそものがなぜ?」と怪訝に思われながらも「こうばる」地区の皆さんが、公共事業の美名のもと、土地や住宅を奪われる理不尽さに怒りをもち、かつ皆さんが安心して温かい家に永久にとどまれるように、とたちあがってくださいました。
1月8日にみやざわさん自ら、大津の私の事務所におこしくださり、パレスチナ難民支援をしてきたその思いを、まさにダム難民のような「こうばる」の皆さんの姿に重ねて、涙ながらに「知事選挙に挑戦します」という決意を語ってくださいました。その思いに深く共感をし、1ケ月半、知事選挙の裏方準備から表の街宣活動まで、大きなエネルギーを入れさせていただきました。私の県外での活動にご理解いただいた滋賀県の皆さまに感謝いたします。ただ、結果は有効投票の1割にも届かず「惨敗」です。
石木ダム反対を貫いてこられた「いしきを変えよう」の応援団の皆さん、全国でダム反対運動を貫いてこられた皆さんから「大負けして、相手にダム推進のおすみつきを与えるようなリスクはとるべきではない」とかなり忠告をいただきました。それでも、このまま座りこみを続けるだけで先がみえるのか、少しは突破口を開こうと、地元の市議、町議の中心スタッフとボランティアの皆さんの力を借りて、知事選挙に挑戦しました。
今回の選挙の結果を受けて、「こうばる」で座りこみを続ける皆さんに申し訳ないと、昨日から今日、筆がとれずに沈みこんでいました。ただ、「石木川まもり隊」の松本美智恵さんが、今回の選挙状況をHPでまとめてくださり、こうばるの方が「どがんちゃなか!(どうってことない!)」と言ってくださっているのを知って、この文章を書く気力がわいてきました。選挙中、全精力をかけて、絵文字を描いてくれたほずみちゃんにも直接電話をして、「今回できた“ワクワク長崎”のネットワークを次につないでいきましょう!」と勇気をいただきました。何よりも、こうばるの皆さんが、次の希望を見出してくれているのが、私たちにとっても、何よりの救いです。石木川まもり隊のHPにつながせていただきます。
また『人新世の「資本論」』を書いてくれた斎藤幸平さんが、資本主義に覆いつくされたこの地球規模の環境破壊や、格差の拡大の危機を乗り越えるために必要なのは、「3.5%」でいい、そこから始まると勇気の出る数値を示してくれています。長崎県民130万県民で、宮沢さんに投票してくれた46794人は、まさに3.5%!!環境破壊と人権無視の、必要性の低い公共事業の代表のような石木ダム問題を、長崎県政の争点に押し出した宮沢さんの勇気と、それを支えてくれた長崎県内、また全国の皆さんに深く感謝いたします。「ワクワク長崎号」は住民手づくりの手こぎ舟ながら、次の港にむかって漕ぎ出しました。