Facebook 2017年12月31日

いよいよ大晦日。今年の政治分野での女性活躍の紹介、最後に熊本市議の緒方ゆうかさんのその後を紹介させてください。12月31日。(また長いです・ごめんなさい)

熊本市議会で11月22日、赤ちゃん連れで議場に入り、テレビ映像でその場面が流れ、賛否両論、議論をよんだ緒方ゆうか(夕佳)市議。「子育てしやすい社会にするために、子育て世代の切実な声を届けたかった」「子育ては個人の責任といわれるが、本当は社会全体でするものではないか」と問題提起。

私自身いろいろな人の意見を聴いたが、“感情的違和感”をとなえる人は男女ともに多かったが、特に男性に多かった。その理由は主に次の三点。①は話あいの余地なし、論外と否定。②は話あいをして調整するべき、突然すぎる。③そもそも子育てに関する主張が無責任。

1 、議会は神聖な場であり、その原則を犯すべきでない。論外の行動だ。話あいの余地はない。
2 、突然議会に子どもを連れてくるのは極端。議会の内部で事前に調整をして話あいをするべきではなかったか。
3 、子育てはそもそも親の責任、個人の責任、社会全体というのは無責任。

賛成意見の中には、

1 、政治や議会に女性参画を求めるなら、妊娠・出産・子育て中の議員が当選することを前提に議会のルール自体をかえるべき。日本はそれが全くできていない。対極の例で、たとえばアイスランドの国会議員の半数は女性で、女性議員が授乳しながら登壇、質疑応答をする事も許されると。そもそも女性が職場に赤ちゃんを連れてくることは当然の権利として認められている。

2 、子どもが生まれなければ社会は継続できない。かつて、子どもに老後の面倒を見てもらうという意味もあり子どもを産む動機は強かった。今や介護や年金が社会化され(2000年介護保険法)、子どもが生まれなければ社会保障の担い手も増えず、社会の継続もない。子育ては社会で最大限支え・担うべきではないか。安倍総理もこの10月の衆議院解散の理由の「国難」に子育てをあげているほど、日本にとっては国難ではないか。

そこで、緒方さんに直接お話しを伺いたいと、熊本県山都町に講演に行った折、山都町議会議員の吉川美加さんの紹介で、12月16日に熊本市内にお住まいの緒方ゆうかさんを訪問させていただきました。短時間でしたが、以下のようなお話を伺ってきました。

1 、まず市議会議員になった動機ですが、公約は、「子育てしやすい社会にするために、子育て世代の切実な声を届ける」ということ。当選以来、議会にも、市に対しても様々な提案をしてきました。でも全く聞き入れられなかったという背景があります。例えば市民のために、市役所のロビーにベビーベッドを置く提案には「スペースがない」。子育て中の市民が傍聴できるよう、議会に託児所を設ける提案も「無理です」と即却下といった具合です。何を言っても「子育ては個人の問題、親の責任」という意識を、議会や市の幹部の発言一つ一つに感じました。

2 、今回の議会でも、事前に議会事務局長に、二番目の子どもは母親といっしょにいる方が精神的に安定しているのでできるだけ離れたくない、それに短時間の議会なので、といろいろ相談させてもらったが、全くとりあってもらえなかった。事前に交渉をしなかったわけではない。交渉しても声が届かなかった。

3 、本当は子育ては社会全体でするもの。それが個人だけの責任にされてしまったことから、少子化や虐待など様々な問題が表出しています。子育て世代の悲痛な声が、私のところにはたくさん聞こえています。その声がかき消されてしまう前に、見える形にしたかった。私が赤ちゃんと座る姿を見せることで、目に見える形でそうした声を体現したかった。政策決定の場にいる方々、議員や市の幹部に見てほしいという思いでした。そういう環境は私たち次第で実現できるんだ。法律、仕組み、職場の雰囲気、すべて私たちが作っている。みんなにとっていいものに作り替えましょうよ。そういう提案をしたいと思っています。

4 、つまり、社会の仕組みを作る市議会の中ですらも、子育てと仕事の両立は個人の問題(自己責任)とされ、また1人会派であるゆえに、議会運営委員会にも参加が認められていません。子育てと議員活動が両立できる環境づくりについて声を発しても、改善されない、その延長上に実社会での子育てと仕事の両立に悩む現状の放置を私たちは危惧しています。

緒方さんは、熊本で生まれ育ち、熊本高校を卒業後東京外大で英語を学び、その後アメリカの大学院で紛争解決学の修士号をとり、国際平和をめざして国連機関で働き、世界35カ国をまわってきた、という。そのような経歴でなぜ熊本に戻り、結婚をして市議会議員になられたのか、個人的な思いを伺いました。

5 、海外で仕事をしていると大変貧しい国でも家族を大事にしている。特に最後の赴任国のイエメンでの家族の絆の強さをみて、自分も家族をもちたい、と熊本に帰り、結婚をした。また日本人はもともと心やさしい、あたたかい国民性をもっている。だからこそ、その感性をいかして、皆が幸せな社会づくりに貢献したい、と市議会に挑戦しました。

この話をうかがっている間、自宅でSEの仕事をしているという旦那さんは子どもさんをふたり、二階で面倒をみてくれていました。また緒方ゆうかさんは、私の長男の妻と熊本高校で同級生で、本棚から卒業アルバムをだしてくれて確認してくれました。頼もしい熊本女性、ふんばれ、がんばれ!!

緒方さん、急にご多忙のところ、私たちをご自宅に迎えてくださってありがとうございました。これからもいろいろ連携していきましょう!

先頭に戻る