Facebook 2017年4月4日

びわ湖ホールで入学式、びわこ成蹊スポーツ大学、374名の新入生、8名の大学院生をお迎えしました。思いきって「琵琶湖周航の歌」のフレーズを披露。新入生を迎え、キャンパスの李(すもも)の花も開きはじめました。4月3日。

まだまだ肌寒い日々、恒例の入学式。おごそかな中にも華やかさを演出し、びわ湖ホールの声楽アンサンブルの皆さんに、校歌と琵琶湖周航の歌を披露いただきました。びわ湖ホールならではの演出です。

学長式辞の中では、目の前に広がるびわ湖と比叡山にちなみ、私自身座右の銘にしてきた比叡山の開祖、伝教太子・最澄の教え「一隅を照らす」と「忘己利他」(もうこりた)、己を忘れ他を利する、の言葉をお贈りしました。

今から約一二三〇年前の西暦七八八年に伝教太子が、人びとの苦しみを救い幸せを願う意味をこめて薬師如来像をおさめ、仏教の学びの場としたのが延暦寺の始まりです。伝教大師・最澄は琵琶湖辺の坂本生まれと言われていますが、彼が記した『山家学生式』(さんげがくしょうしき)に「一隅(いちぐう)を照らす」という言葉があります。

お金や財宝は国の宝ではなく、家庭や職場、学校など、自分自身が置かれたその場所で精一杯努力し、明るく光り輝く人こそ、何物にも変えがたい貴い国の宝であり、今流に言うと「人の心の痛みがわかる」「優しさや思いやりがもてる心豊かな人」こそ国の宝であると説いております。

さらに『山家学生式』では、「悪事を己に向え 好事を他に与え 己を忘れて 他を利するは 慈悲の極みなり」といい、「忘己利他」をといています。悪事とは人の嫌がる、手間暇のかかる仕事です。好事というのはその反対で、やりやすい、楽な仕事です。「しやすい仕事を他の人にまわし、自分は骨の折れる仕事を自ら進んで引き受ける心がけを持ち、他人を思いやることの出来る人になりましょう」とといています。

さらに、ちょうど今から百年前の大正六年、一九一七年に、入学生と同じ世代の小口太郎さんが「琵琶湖周航の歌」をつくり遺してくれたことを紹介しました。「われはうみの子、さすらいの・・・」と歌いだす歌は琵琶湖風景の変遷に寄り添いながら人生の機微を歌い込んだ”スポーツ抒情歌”とも解釈されます。そして大学が立地する比良・近江舞子は「赤い椿の森影に はかない恋に 泣くとかや」という恋心を歌った場所でもあります、とフレーズつきで紹介しました。

キャンパスでは、成蹊大学の建学の精神である「桃李」のすももが花をひらきはじめました。いよいよ新学期です。5日からは琵琶湖辺でのフレッシュマンキャンプがはじまります

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