Facebook 2021年10月2日 琵琶湖博物館企画展示「湖国の食事」

緊急事態宣言が解かれ、琵琶湖博物館企画展示「湖国の食事」にようやく伺うことができました。琵琶湖をぐるりと山やまが囲んだ湖国・滋賀県には、山から田畑そして湖まで、土地土地でとれる旬の食材を、 おいしく頂いたり、冷蔵庫や冷凍技術がない時代、長く保存したりする様々な知恵や技が息づいていました。特に滋賀の食事は、神さまや仏さまの行事とも深く繋がっているところが特色と言えるでしょう。10月1日。
「つくる」「たべる」「つなぐ」という三つのコンセプトに従い、湖北、湖東、湖南、湖西という、琵琶湖をぐるっと囲む地域ごとの食文化。湖北の焼畑から生まれる山かぶからはじまり、湖東の赤こんにゃく、湖南の菜の花漬け、湖西のトチモチやサバのなれずしなど地域の皆さんには馴染みのレシピが並びます。
なれずしだけでも、有名なフナズシだけでなく、うぐい、もろこ、わたか、はす、大あゆ、小あゆ、びわます、おいかわ、こい、どじょうと10種類もあります!私の現場感覚では、「なんでもなれずしに!」と漬け込むのが近江人の根性のようです。草津の知り合いの漁師さんは、ブルーギルまでなれずしにして、「骨が硬くてうまくない!」と大笑いしながら「やっぱり外来もんはなれずしにならん!」と。
少し振り返って見ると、「湖と人間」の関わりを巡って、研究、展示、交流を促す琵琶湖博物館の企画が動き始めた1990年代初頭、「食と遊び」が人と環境の関わりの二大切り口と直感的におもいました。理屈抜きに「人も生き物も食がいのちの原点」と思ったからです。
ただ、食文化論の専門家など採用できず、1996年に琵琶湖博物館が開館して25年、ようやく「食事(くいじ)」をテーマとする企画展示が実現しました。この展示会の何よりも大きな特色は「滋賀の食事研究会」という住民団体の皆さんや滋賀県庁の関係者が、琵琶湖博物館を軸に協働で実現できたということです。企画展協力者の数も半端なく多いです。
「滋賀の食事文化研究会」は、農文協が「聞き書き滋賀の食事」を編集、出版した1980年代末に出発して、今につながっています。この時、全国47都道府県で食事聞き書きシリーズが発行され、全国各地にグループがつくられたのですが、地元の食文化本の出版などを通じて今まで継続されているグループは全国的にも珍しいということを農文協の担当者から伺いました。関係する皆さんのご努力のおかげと思います。
琶湖博物館での展示は11月21日までです。滋賀の食事文化の豊かさに触れ、今とこれからの食事を考える企画展示です。湖国独特の個性あふれる食事文化をお楽しみください。
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