Facebook 2021年9月27日 『奇跡の二つの吊り橋』『尺鮎の涙(なみだ)』出版記念会に参加して

アユ話が続きます。熊本県球磨川水害被災者調査で知り合った、日本一の清流川辺川アユ漁師の田副雄一さん達に誘われて、人吉市での出版記念会に参加(川辺川は球磨川の上流部の支流です)。真夜中2時から仕掛けたアミにかかった川辺川アユの塩焼きを昼食に!絶品でした!田副さん曰く。「アユが一番おいしいのは太陽が昇り始めて餌を食べる前の真夜中のアユ」。いわば「真夜中どれ」の川辺川のアユ!田副さん皆さんありがとうございました!9月26日。(中くらい長いす。1100文字)
出版作品は『奇跡の二つの釣り橋』(岐部明廣編著)と、『尺鮎の泪(なみだ)』(原作:岐部明廣、イラスト:田副雄一)の二冊です。「奇跡の釣り橋」とは川辺川ダム建設計画地の上と下にかなり老朽化した釣り橋が二つあるが、昨年7月4日の豪雨を経ても、ふたつの釣り橋が無傷で残っているのを田副さんはアユ漁をしながら発見。国土交通省は川辺川ダムができていたら3000トンの水量減量効果があったという。この二つの橋の下を果たして3000トンの洪水が流れたのか?釣り橋の高さと横幅から、流速10メートル以上ないと3000トンは流れないと推測。それをイラストでわかりやすく示しています。
『尺鮎の泪(なみだ)』は、もし川辺川ダムが、「穴あきダム」として建設されたら、そこで暮らすアユやヤマメは生きていけるのか?たとえ流水型でもダムにはヘドロが蓄積する。また100メートルもの暗い穴を果たして魚や昆虫が動けるのか?ナマズのおじさんやカラスさんやシカさんが出てきて、過去数十年間、広葉樹の山をスギ・ヒノキに変えて、森林破壊をしたことが洪水のひとつの原因である、と解説。全体が田福さんのイラストでわかりやすい。
講演は、書籍の解説を田副さん、岐部さんがなさる。その後、「清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会」事務局の緒方紀郎さんが、川辺川ダムが穴あきダムで建設されると、これまで日本で建設された穴あきダムでは例がなく巨大なものとなり、果たして土砂や流木などがその穴を通りぬけるのか。割りばしと楊枝の模型実験で、流木は水上に浮くから心配ない、という行政側の報告が信用できず、もし穴がつまったら結局、ダム上部から緊急放流されることになり、下流への危険性が増すのではないかと問題提起。
最後に私は飛び入りで、今編集中で11月に出版予定(農文協)の『流域治水がひらく川と人との関係―球磨川水害から学ぶー』の内容を紹介。この本は、卵に例えるなら、地元の被災者が自らの経験に基づき報告するとこが黄身であり、その周囲の白身を、河川工学の島谷幸宏さんや大熊孝さん、今本博健さん、宮本博司さんや環境社会学の私が取り囲む、前例のない画期的な著作であり、今後、日本中で地域に根差した、本来の意味での流域治水を広めていく参考書にしてほしいとお知らせさせていただきました。
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