Facebook 2021年9月5日 「なぜ今、政治への女性参画が必要なのか?」のタイトルでzoom講演

働く労働者の組合「連合」の近畿ブロック女性リーダーの皆さん、70名に「なぜ今、政治への女性参画が必要なのか?」のタイトルでzoom講演をさせていただきました。企業経営者はもちろん、労働者側も「ジェンダー平等」こそ日本社会の健全性を維持するのに重要だということにようやく気付いて、動き出しました。皆さん、熱心に聴講いただきありがとうございました。現場からの質問も切実でポイントをついていました。9月4日。(また長いです。2000文字)
国際的な男女平等ランキングは、「経済」「政治」「教育」「健康」の4項目で指標化されていますが、日本のスコアは、教育と健康は国際水準並みですが、経済と政治は極めて低く、国会議員数は140位(154ケ国中)で、政治分野の女性参画が特に遅れています。経済でも、例えば大企業の女性役員比率はフランスが43%をこえているのに日本は5.3%、韓国が2.4%でOECD諸国での下二か国が韓国と日本です。
平成にはいって日本経済の国際的地位がおちていることはすでに皆さんご存じと思います。そのひとつの指標が実質賃金の低下です。1997年から20年間の実質賃金の推移の国際比較をみると北欧やヨーロッパ諸国は30-40%あがっていますが、日本は逆に90%弱とおちています。私自身は女性の労働参加度の低さが働く納税者を減らして企業経営もガラパゴス化し、国家財政も悪化させている、同時に出生率も低くしていると考えています。
女性が仕事に出るから子どもが生まれないのでは、と考える人が多いかもしれませんが、国際的データは逆です。女性の労働参加度の高い国のほうが出生率が高いのです。なぜ?女性が仕事か子育てかと二者択一をせまられず「仕事も子育ても」と両立を支援する社会的仕組みが整っているからです。同時に男性の働き方改革も進み、家事育児参画もそれらの国は整っています。
女性の労働参加度が高く出生率が高い国の中でフランスをとりあげ、具体的な家族生活のイメージを日本人でフランス人と結婚しフランスで暮らしている友人家族を紹介しました。フランスは1980年代に1.3までさがってしまった出生率をあげようと1990年代に「シラク三原則」をつくり、①子どもをもつことで新たな経済的負担にならない、②無料の保育所などを整備、③出産・子育て後の復職を不利にしない、という三点を実践し、出生率は2.0近くまで回復しています。
そのフランスでも政治的参画は1990年代までは日本並みでした。1997年に憲法を改正して、男女同数の候補者を義務化する「パリテ法」をつくり政党に男女同数の候補者を義務化して大きくかわりました。今、国会議員の女性割合は40%近くになっています。日本も2018年に女性の政治参画をすすめる法案を制定しましが理念法泊まりで、女性の数や割合を義務化していません。反対が強いのは自公与党です。今回の衆議院選挙でのひとつの争点にしてほしいテーマです。
なぜ女性の政治参画が必要なのか?かつての高度経済成長期時代には、道路や鉄道などインフラ整備が重要でした。しかし今、人口減少時代、子育て支援や教育、福祉政策など、人びとの生活支援が政治の重要な役割となっています。高齢男性だけが意思決定する政治では丁寧で効果的な子育て支援政策などは実現しにくいです。
このあと、滋賀県ですすめてきた女性の経済、政治参画の紹介をしましたが、長くなるので割愛します。
70分の講演後の質問は現場の切実な声に満ちていました。「連合」とし大学などに就職相談にいくと、「お母さんも専業主婦だったので専業主婦になりたい」という意見がかなり強いという。また仕事の現場では「女性リーダーのような草だらけの険しい道を歩くのはいやだ。苦労して仕事と家庭の両立などあまり考えたくない」という意見も多いとか。
それに対しては以下のようにコメントしました。
1 高度経済成長期のように大企業で終身雇用で一生安定した収入が確保できる男性(たとえば専業主婦の夫である父親)は、今はどんどん数が減っている。「白馬の王子様」を探そうとしてもそもそも無理で、女性も自力で稼ぐことを考えないと女性一人貧困の将来危機があることを知らせてあげてください。
2 特に寿命が長い人生、80-90年間をどう生きていくか。今は親が裕福でいわゆる「パラサイトシングル」は快適かもしれないが、親も亡くなり、親の家や年金もなくなり、そして独身で非正規雇用で収入も少なく、暮らし続けられるのか?
3 女性がフルタイムの仕事をつづけた場合には平均3億円近い生涯所得が確保できる。子育てなどで仕事を途中でやめると生涯所得は5000万円ほどでその差額の大きさを若い人に知らせてほしい。できるだけ長くフルタイムの仕事を確保する努力が老後の安定した年金など一生の経済的安心につながる、と今から強く広めてほしい、とお願いしました。
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