20210316参議院法務委員会【確定稿】

令和三年三月十六日(火曜日)


○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
 碧水会の嘉田由紀子でございます。
 上川法務大臣の大臣所信に関わりまして、離婚後の子供の幸せの問題について質問させていただきます。
 朝からもう真山委員、伊藤委員、そして今、高良委員も御指摘になりましたけれども、今回の未成年期に父母の離婚を経験した子の養育に関する実態についての調査・分析、これ千人もの二十代、三十代の男女それぞれの方の経験に即して、回顧法ではありますけれども、八十項目にわたって調査をした。私もいろいろ様々な心理学なりの調査研究見させていただきましたけれども、これほど包括的に調査したのは初めてだろうと思います。今まだ単純集計レベルなので、この後、性別とかあるいは別れた時期など、クロス集計ができると思いますので、そこでもっともっと知見が、子供の目線からの知見が出てくるのではないのかと期待をしております。
 そして、先ほど来、高良議員の質問にも併せて、統計的に多くの方の調査、これはこれで大事ですけれども、個別のケースを深めるべきではないかという御意見もありました。そういうことを私もいろいろやらせていただきながら、ちょうど最近、ある高校生が私のところに、どうしても嘉田議員と話をしたいと言ってこられましたので、一時間ほどズームで直接顔を見ながらお話しさせていただきました。首都圏に住む高校二年生の女子です。
 法務委員会で嘉田由紀子議員が共同親権と言っているのでいろいろ調べてみると、自分もこのことを勉強して、そして実際に自分もそれを実践していると言うんですね。どういうことかというと、その高校生は三年前に両親が離婚をして、家庭裁判所での話合いでどちらかの親を選びなさいと言われた。でも、お父さんもお母さんも好きなので、両方と暮らしたい。それで、三年間、週の前半はお父さん、週の後半はお母さんと、行ったり来たりしているということです。それこそ教科書持って制服持って行ったり来たりして、そして電車で三十分ほどなんですけれども、両方から学校へ通うのは不便がないと。でも、友達は、親が離婚したらどっちかの親を選ぶべきだろうと、両方の親の間を行ったり来たりするのはおかしいと白い目で見られると。
 そこで、私にその女性、女子高校生が、私の考えはおかしいんでしょうかと、海外では共同親権が普通というけれども、なぜ日本では私のように両親の間を行ったり来たりするのがおかしいと思われるんだろう。そこで、その方に、じゃ、今の暮らし楽しいですかと聞いたら、週の前半はお父さん三日間、それこそ、朝早く仕事に出て、お弁当も作ってくれて、夕方も早く帰ってくれて、本当にお父さんと三日間楽しいと。アニメのことなどでお父さんから学ぶこともいっぱいあると。後半の三日間は、弟さんがいてお母さんと暮らしているということで、今のこの両方行ったり来たりの状態を楽しんでいると。経済的にも、お父さんが学費を出してくれて、そして安定をしていると。
 なぜ、じゃ、日本では自分のようなケースが余り見られないんだろうということで逆に質問されたので、少しちょっと、日本の、なぜ単独親権がこんなにいまだに広く広がっているのかということで、百二十年前の明治民法の話をさせていただきました。家制度の下で、子供は家の跡取りとして、ある意味で家の所有物のように扱われていて、なかなか、女性が例えば離婚するときに子供を連れ出すと、家制度成り立たなくなりますので、単独親権というのは家制度を成り立たせるための一つの手段だった。戦後は女性も親権取れるようになったけれども、今度は子育ては女性ということで、今、九割以上が親権を女性。そこで今のような状態になっているんだけれども、実は国際的に見ると主要先進国では日本だけがいつまでも明治民法のような単独親権を保持しているので、ある意味で引き裂かれる状態にあるんだと。
 こういうことを、A子さん自身も今後もっともっと勉強してくださいということで、私が作りました法務委員会の冊子を送らせていただいたら、数日後、読んでいますと、そして、自分の意思を確認しながら、また友達とも若い人と意見を深めていきたいということで、今もやり取りさせていただいております。私は、彼女の話を聞いて本当に涙が出ました。こうして自分の人生をきちんと、世の中とは違うけれども、自分で切り開いていく、こういう子供たちが増えてくれることが日本の期待だろうと。
 ところが、多くの子供たちは、ある意味で、離婚直面して、自分自身でなかなか意見も言えず、今回のこの調査にもありますけれども、自分の意見も言えず、そして誰にも相談できず、一人で泣き寝入りして、そして苦しみを抱えているという子供さんがたくさんおられる。それが今回の千人調査でも出ていると思います。
 そういう中で、例えば今年の二月十七日ですけれども、東京地裁では、現行民法の単独親権は違憲ではないかという訴えに対して、違憲ではないという判断が出ております。そこで、その判断の根拠のところには、父母双方に親権が残ると子供の利益のための判断ができないんじゃないのかという懸念も示されております。
 ここでの大前提は、立法の趣旨に関して、離婚後の父母の関係は必ずしも良好ではないということが大前提になっているようでございます。そうすると、先ほどの真山委員の国別リストを見ると、本当に、単独親権の方が逆に、二十四か国調査で日本、トルコ、インド、ほかは皆共同親権選べるわけですね。そういう中では、日本の、あるいはインドやトルコの父母だけが仲が悪いんだろうか、葛藤が高いんだろうか。そんなことではないだろうと私自身は思っております。
 共同親権に移行できた国では、まさに親が子供のことを思って、そして大人の対応をしてきているということで、言うまでもなく、子どもの権利条約の第九条でも、父母の一方あるいは双方から分離されている児童が定期的に父母のいずれとも人間的な関係をつくっていくことが大事だと規定されております。
 そういう中で、もちろんDVによる児童虐待などがあったら別ですけれども、これはこれでDV防止法の徹底など別の手だてがあります。今回のA子さんのような、自覚、訴えもできず、離婚後の親子別離を当然のごとく受け入れさせられている、受け入れざるを得ない日本の子供たち、毎年十五万人から二十一万人発生してしまうと。四人から五人に一人です。
 そういう中で、上川法務大臣、この調査を指示していただいたことからこの問題の深刻さを深く理解していただいていると思いますけれども、このA子さんのような暮らしぶりというものに対してどういう御意見をお持ちか、ちょっと長くなりましたけれども、御意見いただけたらと思います。


○国務大臣(上川陽子君) 父母の離婚に伴いまして子の養育の問題は、子の利益の観点から行われるべき問題でございます。
 その具体的な内容とか方法につきましては、個々の家庭の実情、また当事者の意向、協議等により様々な在り方があるものというふうに考えますが、今御紹介をいただきましたA子さんのケースということで、御自分のことを十分に意見を述べるということについてしっかりと考え方を持っていらっしゃり、また、親御さんお二人に対しましても、それぞれの関係性ということについての信頼感もしっかりおありになるということでありまして、そうした親御さんが離婚なさったとしても、その後の関係性については、むしろ子供さんがある意味ではしっかりとつながりの役割を果たしながら生活をしていらっしゃるという様子でございますので、非常にそうしたお子さんの声というものを大事にしていくということそのものが今回調査をした趣旨でもございました。今、先ほど来、具体的なケースということもございましたけれども、まさにそうしたケースの大変重要な一つではないかというふうに考えたところでございます。
 冒頭、今回の調査につきまして、千人規模ということで、二十代から五十代ということでありますが、御自分がそういう経験をした子供の時代のことに遡って、ある意味では客観的に自分自身を見詰める余裕がある世代の中で、二十代から五十代ということでありますが、時間の軸もございますので、その中でそれぞれどのように振り返って考えていくのか、またどうあるべきなのかということについての貴重な御意見をこの中に見出すことができるのではないかと私も思っております。
 今、単純集計ということでありますが、クロス集計も含めまして、でき得る限り様々な比較ができるように、あるいは検討ができるようにしていくということが大事かというふうに思っておりますので、そこはこれから詳細な分析をした上で、そのことの結果をオープンにさせていただきながら、また研究者の目線でも検討していただくことができるような、そういうものにしてまいりたいというふうに思っております。
 また、個別ケースにつきましても、委員の皆様から御指摘をいただきましたけれども、丁寧に進めていく必要が改めてあるということを認識しておりますので、ここのやり方につきましては少し検討を要することではありますが、定量調査等、そして定性的な事例の調査というものにつきましてもでき得る限り工夫してまいりたいなというふうに思っております。
 ありがとうございます。


○嘉田由紀子君 御丁寧にありがとうございます。
 私も社会学者として、この定量的な調査、定性的な調査、それぞれにやり方はあるんですけれども、残念ながら、この離婚の問題とかあるいは家族の問題というのは、昔から、子供は黙っとけと言われたり、あるいは女子供は黙っとけと言われてなかなか自分の声も上げられない、声を上げるその習慣がないとなかなか考えもまとめられないというようなことで、この報告書の中にも、ある意味で、子供たちがそのことは考えたくなかった、忘れたかったというような声もたくさんありますので、ここはあなたたち語っていいのよ、どんどん思いを膨らまして、そして本当に自分が幸せになることが家族の幸せ、そして社会に対しても、前向きに生きていけるんだからという生きる力も、こういうところの個別インタビュー調査からもやっていただけると有り難いなと思います。
 そういう中で、大臣の所信、そして法制審議会に諮問を出してくださいましたけれども、この理念、既にもう語っていただいていると思いますけれども、家族法の見直しに関する理念について少し語っていただけたら有り難いです。


○国務大臣(上川陽子君) ちょっと一つ訂正をさせていただきたいと思います。
 今の調査の対象でございますが、二十代から三十代の千人ということで、ウエブでのアンケート調査ということでございます。私何か五十代と言ったようでありまして、大変失礼いたしました。
 父母の離婚に伴う子の養育に当たりましては、何といっても子の利益が最も優先されるべきことでございます。現行法にもその旨の規定が存在するということで先ほども御紹介をさせていただきました。
 その上で、私自身、所信におきまして、子供の目線に立って、チルドレンファーストの観点から検討を行う必要があるということを申し上げてきたところでございますが、子の利益が最も優先されるという、様々な理解の仕方があろうかと思いますけれども、いろんな思いを込めてその表現をさせていただいたところでございます。
 特に、父母の離婚に伴う子の養育の在り方の検討に当たりまして、私自身、特に強調したい点は今委員とやり取りをさせていただいた点でございまして、離婚の当事者であります父母の意見あるいは立場を考えるのみではなく、父母の間にいるこの子供、子供を中心に置いて、子供の視点あるいは子供の意見を大事にすること、こういったことが極めて重要であるというふうに考えて今般の調査もしている状況でございます。
 子供の年齢に応じまして、お父さん、お母さんが離婚した年齢が本当に赤ちゃんのときから、その成長の段階によりまして多分いろんな思いを重ねていくものだというふうに思いますので、その置かれている状況とか心情を受け止めるということにつきましても子供の年齢に応じた捉え方ということが不可欠ではないかというふうに思っておりまして、このアンケート調査におきましても、いつという時期も含めまして、また、先ほどのお話のようにクロスの分析も、その離婚のときの年齢がどうなのか、その後の生活の中でどうなのかという、育ちのステージを比較しながら見ることができるようにしていくと、分析することができるようにしていくということにつきましても指示をしてきたところでございます。
 私からは法制審議会に諮問を行っている状況でございまして、これに先立つ家族法の研究会の議論におきましては、子の養育をめぐる問題について子の意思や意見を反映させるための方策も検討されたと承知をしております。法制審議会におきましても、そのような点を含めまして、幅広い観点から充実した調査審議がなされていくものと期待をしているところでございます。


○嘉田由紀子君 ありがとうございます。チルドレンファーストと、まさに子供目線でということでお考えいただいております。
 自治体の実務を担ってきた立場からいたしますと、離婚、協議離婚が特に子供への配慮なしに形式的に離婚が成立してしまう、それも九割もの離婚が判こ一つで、これからはもう判こも要らなくなるという形で、それこそ養育費も親子交流の約束事もなしでということが現場で起きておりますので、この辺りを、これはまたこの後議論が展開されると思いますけれども、協議離婚が認められる要件として共同養育計画の策定の義務化なども共同養育議連の方でも議論をしておりますので、こういうことを具体的に法制審議会でも議論していただけたら幸いでございます。
 そして、この法制審議会の言わば進め方やスケジュールですが、もちろん、諮問なさって、審議会に主体性があるわけですけれども、日々子供は生まれ、そして、今の生きづらいという状態、特にここのところ、コロナの後、心配しているのは、子供たちの自殺、五百人近い、去年などは今までに一番多い、しかも、例えば十代の子供の死亡率の一番高いのが自殺だというようなことで、本当にこれは何としてもスピード感を持って当たらないといけないと思うんですが、この法制審議会の、諮問を受けながら、民法改正についての進め方やスケジュール感について何らかの御意向がありましたら、言いにくいとは思いますけれども、御意見いただけたら幸いです。お願いいたします。


○国務大臣(上川陽子君) この父母の離婚に伴う子の養育に関する法制度の見直しにつきましては、先月十日でありますが、私から法制審議会に諮問を行ったものであるということでございます。
 どのような議論を進めていくのかということにつきましても、まずは法制審議会の御判断に委ねたいというふうに思っております。
 もっとも、法制審議会におきまして充実した調査審議が行われるためには、事務局を務める担当部局が必要な事務を適宜適切に遂行するということが極めて重要であるというふうに思っておりまして、私といたしましてもその点については引き続き留意をしてまいりたいというふうに思っております。
 また、今、お話の中で出てきております実態調査、こうしたことにつきましても、今般の子供さんの目線でという調査に加えて、様々な検討、取組も考えているところでございます。できるだけ実態に基づいたファクトベースの御議論がスムーズにいくように工夫をしてまいりたいというふうに思っております。
 引き続き、調査審議、大事でございますので、しっかりと支えてまいりたいし、また、議論のしっかりとした、充実した審議を期待をさせていただきたいというふうに思っております。


○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
 法務行政というのは本当に幅が広くて大変だと思いますけれども、何よりも、この国の未来を担う子供たちが自信を持って、この国に生まれてよかった。子供は、生まれる国も時代も、そして親も選べません。
 最近、「子どもたちをよろしく」という映画を見せていただきました。寺脇研さんと前川さんが企画をなさった。そこは、二つの家族の中で、親のアルコール依存症やギャンブル依存症や、そこで苦しみながら、子供たちが自分もいじめの加害者になり、あるいは被害者になりながら必死に生きているんですけど、本当に、子供に何の責任もない、みんな周りの、親が、大人がということでございますので、私たち、それは公共性を担う政治家としても、また行政、社会人としても、ここは、未来に向けて思い切った民法改正に向けての議論をしていかなければいけないと思っております。
 法務大臣、どうもありがとうございました。
 以上です。

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