20210427参議院法務委員会【確定稿】

令和三年四月二十七日(火曜日)

○嘉田由紀子君 碧水会の嘉田由紀子でございます。少数会派にも十五分というお時間いただきまして、ありがとうございます。
 私は、引き続き、離婚に関わる子供の幸せづくり、どうしたらいいかということで質問させていただきます。
 本日も、真山議員、また伊藤議員が既に御質問くださっておりますけれども、まず最初に離婚届の書式変更について、本日、伊藤孝江議員が先ほど具体的に御指摘くださいました。
 今日、資料一として、その離婚届が変わった、変更されたものをコピーで出させていただいております。面会交流及び養育費に関するチェック欄に、養育費の分担について、取決め方法、括弧、公正証書、それ以外、を追加した経緯につきまして、質問をまずさせていただきます。

○政府参考人(小出邦夫君) 民事局長通達で定めておりますこの離婚届の標準様式につきましては、平成二十三年の民法改正を受けまして、協議離婚時の面会交流や養育費の取決めを促進する観点から平成二十四年に様式を変更して、面会交流及び養育費のそれぞれについて取決めの有無を尋ねるチェック欄を設けたところでございます。
 養育費や面会交流等の子の監護について必要な事項につきましては、一般に子の利益を図る観点から父母の離婚時に必要な取決めがされることが望ましいと考えられます。
 そこで、今般、離婚を考えている方がこれらの事項に関する法的知識や相談機関等の情報を入手しやすくするとともに、それを通じて必要な取決めの更なる促進を図る観点から、民事局長通達で定める離婚届の標準様式を変更することとしたものでございます。
 委員御指摘の養育費の取決めに関する部分につきましては、現状では、取決めに当たり、口頭による方法、公正証書による方法あるいは公正証書以外の書面による方法等が用いられているわけでございますが、将来的に養育費の不払が発生した場合に強制執行することまで念頭に置くと、養育費の取決めについてはできる限り債務名義となる公正証書によってすることが望ましいと考えられます。
 そこで、離婚時の養育費に関する取決めを公正証書によってすることを検討していただくきっかけになるように、その情報を提供するとともに、その活用状況を把握する観点から取決め方法に関するチェック欄を新たに設けることとしたものでございます。


○嘉田由紀子君 四月十六日に法務大臣が記者会見をしてくださいまして、かなりニュースも取り上げていただきましたので、広がりつつあると思います。そこには、先ほど来話題となっております動画など丁寧に御説明いただきまして、また、相談をするにはどうしたらいいのかということで、法テラスなどの記述もございます。かなり前進したと思います。
 常々申し上げておりますけれども、本当に、離婚の危機に入って初めて、養育費、あるいは面会交流、あるいは単独親権、共同親権、あるいはその親の義務ということに気付く人が多い、ふだんそういうことはほとんど考えないという中で、今回少しでも改善をしていただいて、大変有り難いことでございます。
 これと関連しまして、実はこれ、地方自治体の窓口がどう対応するかというのが大変重要でございます。市区町村千七百二十四、あるいは地方六団体、どうこの書式の変更あるいは離婚前後の情報提供ということを徹底しておられるでしょうか。お願いいたします。


○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 今回の離婚届の標準様式の変更につきましては、戸籍事務を取り扱う全国の市区町村に対して十分な周知を図り、その趣旨等を御理解いただくことが必要であると考えております。今回の変更に合わせて、四月十六日付けで全国の法務局、地方法務局宛てに通達を発出し、管内の市区町村長に周知するよう指示したところでございます。
 このほかにも、市区町村の戸籍事務担当者向けの戸籍専門誌に様式変更をお知らせする記事を掲載するなどして、戸籍事務を取り扱う市区町村への周知を図ってまいる所存でございます。
 また、今回変更した離婚届の標準様式を国民の皆様にも広く周知する観点から、法務省のホームページに掲載したほか、今後も法務省で提供している離婚を検討している方々に向けたウエブサイトでその趣旨を説明することなどを予定しております。
 今後とも、地方公共団体等への周知を含め、必要な対応について検討し、実施してまいりたいと考えております。


○嘉田由紀子君 最近、プッシュ型情報提供と言うらしいんですけれども、情報提供する側が力を入れて、そして国民の皆さんが単なる受け身ではなくて理解していただけるような、そういう方向で是非お願いいたします。
 本日の二点目の質問は、四月八日に審議会の在り方についてお伺いいたしました。先ほど来からこの民法改正について、法制審議会あるいは法制審の家族法制部会の構成がどうなっているのかということでお伺いしました。
 そもそも、これ、ちょうど世紀替わりの頃です、平成十一年の四月二十七日に、審議会等の整理合理化に関する基本的計画ということで閣議決定された指針がございます。それについては、審議会というのはそもそも行政への民意の反映の観点から原則として民間有識者から選ぶものとすると。ここには、国会議員や国務大臣、国の行政機関職員、地方公共団体又は地方議会の代表等は、当該審議会等の不可欠の構成要素である場合を除き、つまり、当該審議会等の不可欠の構成要素であるのは例外として認めるという、そういう文脈です、それは認めると。なお、国の行政機関職員、地方公共団体又は地方議会の代表者である者を属人的な専門的知識及び経験に着目して委員等とするとあります。
 そこで、法制審議会、法制審議会の各部会、四月八日にリストを配らせていただきましたけれども、大きく三つのカテゴリーで委員会が構成されております。委員の方が二十四名、幹事が六名、それから事務局ですね。その委員の二十四名の中に四名の行政の言わば担当者がおられるわけです。これ、例えば小出民事局長さんが入っているの、個人的にどうこうではないんです。これ構造の問題ですし、組織の問題ですから。
 その行政の方が入っている、そこに対して、審議会の不可欠の構成要素である場合とはどのような場合を想定し、属人的な専門的知識及び経験とはどのようなことを意味するんでしょうか。ここもお願いいたします。

○国務大臣(上川陽子君) ただいま委員から御指摘いただきましたこの審議会等の組織に関する指針におきましては、国の行政機関職員等は、当該審議会等の不可欠の構成要素である場合を除き委員等としないものとされているところでございます。ただし、国の行政機関職員等である者を属人的な専門的知識及び経験に着目して委員等とすることは排除しないものとするとされております。
 法制審議会及び部会は、民事法、刑事法その他法務に関する基本的な事項につきまして調査審議することを目的としているものでございます。このような調査審議を行うためには、そうした基本的法律の立案やとりわけ運用等に関する専門的知識や行政事務の経験を有する委員又は幹事が不可欠でございます。
 法務省職員等を委員又は幹事に任命しているのは、このような属人的な専門的知識及び経験に着目をしたものというふうに考えております。


○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
 四月八日も同じ答弁をいただきました。民事法なり刑事法なり、基本的行政を扱う、特に立案プラス運用のところで経験が大切だということの答弁をいただきました。
 私自身、知事をやったりしながら、この審議会を言わば諮問をする大臣が、言わば指揮監督するその行政職員さんに、実は委員というのは議決権があります、二十四人のうちの四人の方。その場合に、議決を行うに際しては、議事について諮問を行った法務大臣の指揮監督から外れると考えてよろしいのか。議決には、議案の賛否の決定、大臣の下で働く行政職員ではなく個人としての裁量を有するのか。ここも法務大臣の御見解、お願いいたします。


○国務大臣(上川陽子君) 先ほど申し上げたとおりでございますが、法務省職員は、基本的法律の立案やとりわけ運用等に関する属人的な専門的知識及び経験を有することから、法制審議会又は部会の委員に任命をされているところでございます。
 そのため、議決権行使につきましても、その専門的知識及び経験に基づいて行われるものでございます。法務大臣の指揮監督を受けるものではないというふうに承知をしております。


○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
 大変明確に、法務大臣の指揮監督を受けるものではなく、言わば属人的な専門性で委員として判断していただくということですね。
 その場合に、私、これまで法制審なり審議会の議事録いろいろ見てきて、発言のときの発言者を公表するものとしないものがあるようでございますけれども、今回、この法制審議会家族法制部会というのは、大変、まあある部分の人たちかもしれませんが、大変生殺与奪の権を言わば支配するほどの重要な法案です。
 先ほど来、真山議員も質問していられましたけれども、本当に親子が分離される、もう家族破壊というようなところですので、ここの発言者名を議事録に公表していただきたいんですけれども、そこのところの方針はいかがでしょうか。


○政府参考人(金子修君) お答えいたします。
 一般的に、国の行政機関に置かれた審議会につきましては、平成二十三年四月に決定されました行政文書の管理に関するガイドラインにおきまして、行政機関における意思決定に至る過程等を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、発言者等を記載した議事の記録を作成するものとされています。
 法制審議会では、平成二十三年六月に開催された第百六十五回会議におきまして、このガイドラインの趣旨等を踏まえ、法制審議会及び部会の議事録には発言者名を記載し、さらに、原則として発言者名を明らかにした議事録をインターネット上に公開することを決定し、以後、現在までこれに従った運用をしております。この方針については今後も変わりがないものと認識しております。


○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
 発言者名はもうインターネットまで公開すると、透明性を担保していただく大変大事なことだと思います。
 もう時間迫っておりますので、最後に、令和二年十二月に法務・検察行政刷新会議報告書がございまして、ここには、法務省における政策決定過程がかなり旧態依然だと、社会の変化に付いていってないというような批判に対して、激変する社会動向、世界動向への感度を大きく引き上げ、迅速かつ果断に制度、運用の変更を行えるダイナミックで若々しい組織に変貌を遂げられるよう政策決定過程のイノベーションを起こすべきであるという指針があります。
 法務省さん、この辺、どのようにお考えでしょうか。お時間迫っていますので、短くて結構です。お願いいたします。


○国務大臣(上川陽子君) 法務・検察行政刷新会議におきましては、今委員が読み上げていただきましたとおり、非常にビビッドに取り組むようにという御示唆をいただき、様々な御意見も頂戴しております。
 法務行政の政策プロセスにつきましては、こうした様々な御意見、しっかりと受け止めさせていただく、特に社会情勢は刻々と変わっているということもございまして、鋭敏にそれを捉えていく、また未来志向でこれを政策に的確に反映させていくと、こうした使命もございます。
 EBPMという、エビデンス・ベースド・ポリシー・メークがございますし、またPDCAのサイクルをしっかりと回していく、こうしたことも極めて重要であるというふうに思っておりまして、こうした政策立案のプロセスの新しいこうした取組につきましても、この法務省の中の組織風土にしっかりと根付かせるように取り組んでまいりたいというふうに考えております。


○嘉田由紀子君 ありがとうございます。大変力強い法務大臣の御決意をいただきました。 私、今、日本の中で一番の弱者は子供たちだと思います。声を上げられない子供たち、チルドレンファーストで、是非法務大臣に、その法務省の、また法務行政の改革、イノベーションに取り組んでいただけたらと期待を申し上げ、これで終わります。
 以上です。

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