20210409参議院東日本大震災復興特別委員会【確定稿】

令和三年四月九日(金曜日)
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。碧水の嘉田由紀子でございます。少数会派にも十五分という時間をお与えいただき、ありがとうございます。
 まず最初に、本当に十年という時間振り返りますと、それぞれの個人、御家族、地域社会にとって大変長い、重たい時間だったと思います。特に、最初に子供たちのことをお伺いしたいんですが、子供にとって、五歳の子は十五歳、そして十歳のお子さんはもう二十歳と、成人していらっしゃいます。
 実は私、滋賀県知事時代に、福島県をカウンターパート支援ということで、頻繁に職員も送り、また私自身も訪問させていただきました。そのときに、佐藤雄平知事が小学生たちの作文集を見せてくださいました。そこには、自分は大きくなったら福島の地元の復興のために働きたいと口々に言っておられました。それが印象深かったんですけれども、福島の子供たちのこのような震災、特に復興への経験、地域への思い、復興大臣としてこれからどう支援していかれるでしょうか。大臣にお伺いいたします。
○国務大臣(平沢勝栄君) 原子力災害を含む東日本大震災を経験した福島県の子供たちが、主体的にふるさとの復興を担いたいと思っておられるお子さんが大勢おられるわけで、私もそういったお子さんに福島でお会いしましたけれども、その発表も聞きましたけれども、本当に涙が出るようなすばらしいスピーチでございました。
 いずれにしましても、そうした子供たちに更にこういった復興の気持ちを強く持ってもらって、それで地域を愛する、そして人との触れ合いを大事にする子供に、あっ、大人に育ってもらいたいなと思っております。
 そういった意味で、復興教育を進めるということは極めて大事でございまして、復興の基本方針においても、ふるさと創造学といった地域とのつながりを深める特色ある教育への支援などにより、魅力ある教育環境づくりを進める旨、示しているところでございます。
 引き続き、関係省庁と連携しつつ、子供たちのふるさとの復興を思う気持ちに応えられるような事業をしっかりとやっていきたいと考えております。
○嘉田由紀子君 御丁寧にありがとうございます。
 実は、先回も私、琵琶湖・淀川水系の治水のお話をさせていただいたんですけど、それがこの復興の問題とどうこの委員会で関わるのかと少し疑念があるようでございますので、説明させていただきます。

 今日、資料一でお出しさせていただいておりますけれども、日本ほど災害の多い国はございません、これ、世界中で見て。それで、津波もそうです。その上、水害、そして今や原子力災害というようなことが、災害、直面しているわけでございます。
 日本の災害史を見ますと、私自身は水の災害史を過去五百年、千年たどってきたんですけど、大事なのは人なんですね。人がどうやって立ち直っていくか。個人だけではなくて、地域共同体のレジリエンスという立ち直りです。
 先ほど来、舟山議員の質問、あるいは今の紙議員の質問、私はここ十年、もちろん復興、振興、それぞれ皆さん頑張ったと思うんですけど、余りにハードに頼り過ぎたんではないでしょうか。ですから、三十八兆円入れて、それである意味で道路は良くなった、町はできた、でも人が帰ってこない。そして、住宅は、ある意味で建物だけで、中に人がいない、魂が入っていないという。そこのところが実は災害対策でもそうなんです。
 温暖化の中で確かに水害が増えております。そういう中で、私は、今この国土管理の上で、もうこれ以上コンクリート化は控えて、自然をいじめることを控えて、まさに自然とともに災害復興を進めていくグリーンインフラ、そこには魚も蛍もいます、人の気持ちもあります、そういうところを大事にしてほしいというのがこの今日の質問のポイントでございます。
 資料一に、四十年間、私は琵琶湖研究してまいりまして、今、大戸川ダムというのが問題になっております。実は、大戸川ダム、この資料一に出しておりますけれども、琵琶湖自身は大変な治水効果があります、下流に対して。一メートル琵琶湖で水をためると六億五千万トン、日本で最大の徳山ダムほどの水がためられるんです。それを進めたのが琵琶湖総合開発です。
 今、大戸川ダムというのが計画が始まっているんですけれども、これは琵琶湖にとっては三センチです。琵琶湖の三センチの分を、一千億円ほど入れて、そしてダムを造ることの意味ということを私自身は滋賀県知事時代に疑問に思いまして、そして、これは下流に効果があるからということで、大阪府と京都府が一千億円の費用のうち三割、直轄負担金で三百億円負担していただくということで始まっていたんですけれども、当時の橋下知事、山田知事、そして私どもが、これは緊急性、必要性低いんじゃないのかということで、一旦ダムは中止、凍結を要望させていただきました。
 今日、井上局長お越しいただいていますけれども、井上局長はそのときちょうど近畿地方整備局の調査官でおられまして、長いお付き合い、ありがとうございます。
 その中で、今日もう時間がないので、大戸川ダムと併せて、今回、流域治水、大変すばらしい政策に転換していただいたと思います。川の中で閉じ込め切れない水を、土地利用や建物規制、そして避難体制というところでソフトを強化しようと。その一つの中に、今ある施設、ダムを、多目的ダムの利水部分を三日ほど前に事前放流をして治水に使おうという、これは大変すばらしい仕組みだと思います。
 そういう中で、まず最初の質問でございますけれども、既設ダムの有効活用というところで、大戸川ダムが今計画をしておられますけれども、このダムはどこまで必要なのか。一方で、実は川上ダムというのが資料二と三にあります。これは木津川という方なんですけど、同じ淀川には集まってきます。この川上ダムが二年後には完成するんですけれども、川上ダムが二年後に完成したときに、例えば淀川で毎秒五百トン水位が低下できると。そして、川上ダムの治水容量で五百トン、利水を転換したらプラス五百トン。そうすると、大戸川ダムの分は川上ダムの治水の、言わば利水容量の治水活用で対応できないでしょうかというのが最初の質問でございます。

 朝日政務官、よろしくお願いします。
○大臣政務官(朝日健太郎君) お答え申し上げます。
 嘉田先生には前回も御質問いただきまして、ありがとうございます。
 事前放流による利水容量の活用は浸水被害の防止や軽減につながるものと考えており、淀川水系においても、二十五に上るダムについて、昨年五月、利水者等と治水協定を締結をいたしまして運用を開始をいたしました。川上ダムにつきましても、完成後には事前放流に関する治水協定を締結をいたしまして、利水容量を更に活用できるように対応してまいります。
 なお、本日御質問にありました淀川水系は大変広い流域を持っておりまして、その水系内のどの辺りに雨が降るかは非常に予測が困難な状況でございます。川上ダムで洪水調整ができるのはその上流にございます木津川に限った雨を対応するということになりますので、今後とも淀川水系流域全体で対応していくというような考えでございます。
○嘉田由紀子君 おっしゃるとおり、ダムはダムの上に降った水しかためられません。大戸川ダムもそうです、大戸川ダムの上に降った水しか。ですから、大戸川ダムの有効性というときに、三十三パターンのうちの一パターンだということを二〇〇八年、二〇〇九年、議論させていただきました。

 それで、今回、資料五ですけれども、大戸川ダムができると、淀川水系で四千八百ヘクタール、九兆円の被害軽減が可能ということを国土交通省さんが大阪府さんに示して、大阪府の吉村知事は、こんなに被害軽減できるんだったらということでダムのゴーサインと伺っております。
 この九兆円の被害軽減の根拠、教えていただけますか。
○政府参考人(井上智夫君) お答え申し上げます。
 大戸川ダムは、現行の河川整備計画を策定した際に操作のルールというものを決めております。これは操作規則ではないですけれども、計画に当たっての操作のルールでございます。
 委員御指摘の約九兆円は、淀川水系において計画規模の洪水が発生し、淀川の左右岸でそれぞれ一か所の計二か所で堤防が決壊することを想定した場合の大阪府における被害額です。大戸川ダムをルールに基づき操作することにより、この約九兆円の被害は回避されることになります。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。

 私が知事時代は、資料六を御覧ください、大戸川ダムができたら十九兆円の被害軽減があるというデータが出されておりました。そして、その十九兆円の根拠が、資料七の一ですけれども、計画規模という、堤防に線が引かれていて、その線を一センチでも越えると堤防が破れるという想定、一センチでも低いと破れないという。そういう何か想定しなきゃいけないから想定というのは分かるんですけれども、資料七の一と七の二を見ていただきますと、当時、二〇〇八年、二〇〇九年は、堤防の上に三メートル余裕がありながら、この大戸川ダムができたら十九センチ水位が下げられるんだということで、余りに非現実的な想定だったので、このことを当時の橋下知事も山田知事も、これおかしいじゃないかと、それで三百億円も負担金出すのかということで疑問を持っていただいたんですけど。

 今回のその九兆円というのも、やはり計画規模一センチでも越えたら堤防が破れるという、そういう想定だと理解してよろしいでしょうか。(発言する者あり)
○政府参考人(井上智夫君) 申し上げます。
 まず、河川の水位が上昇しますと堤防内や基礎地盤に水が通りやすくなり、計画高水位を超過すると、堤防から水があふれる前であっても堤防が決壊するおそれが高まり、実際に決壊に至った事例もあります。このため、計画高水位を越えた場合に堤防が決壊することを想定することは、住民の生命や財産を守る治水対策の立案においては適当であると考えております。
○嘉田由紀子君 委員から、森委員から被災地に失礼じゃないかと。私は最初に申し上げました、災害対策をどういう視点でやるか、これは基本的な哲学の問題だと思います。それで、東日本大震災でおいても、東日本大震災においても、言わばどこまでがハードで対応できるのか。津波の防潮堤の問題もあります。私は十分に関係していると思っております。(発言する者あり)
○委員長(杉尾秀哉君) 不規則発言はおやめください。
○嘉田由紀子君 時間的にもちょっと過ぎておりますので今日はここで終わりますけれども、大変大事な、東日本大震災においても大事な私は基本哲学だと理解をしております。
 以上、終わります。

 

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