20210518参議院法務委員会【確定稿】

令和三年五月十八日(火曜日)


○嘉田由紀子君 碧水会の嘉田由紀子でございます。少数会派にも十五分という時間をお与えいただきまして、ありがとうございます。
 まず、今日午前中から森議員が村木厚子さんの事例を御紹介くださいまして、検察の取調べ過程で客観的な事実と全く違う調書があちこちから出てきて、しかも、その間に整合性があることに村木さん自身が大変驚いたと言っておられます。それを整合性をつくるということは、ある意味で組織的に村木さんの冤罪をつくり出したということになるのではないでしょうか。本当にこれは法務行政の中でも大変大事な問題だと思います。
 それから、清水議員が今日、少年法、そもそも審議をした審議会の、法制審議会の部会のメンバーリストを出していただきました。五一%が行政系のメンバーであると。そうすると、この審議会から出てきた大変大事な答申というのを私たちは立法府としてどう受け止めたらいいのか、国民はこれをどう評価したらいいのか。公平公正であるべき審議会の、言わば本来の客観的な在り方に疑問が出てまいります。このことは、四月以来、私、家族法制審議会のメンバーの問題、清水議員が本日指摘してくださいましたように行政系のメンバーが多い。当事者の方、ここにおられます。私は個人的にどうこう言っているのではありません、組織がそうなっているという。
 しかも、二点目は判検交流。つまり、裁判官が検事の、言わば行政職になって大事な局長などを、役割を果たしていただいている。そして、法務大臣に伺いました、この判検交流で来られた局長あるいは審議会のメンバーは法務大臣の指揮監督の下にあるのですかと伺いました。法務大臣は私の指揮監督の下にはありませんということでございましたので、そうすると、そもそも法務大臣が国民の意識を反映しながら本当に頑張ってチルドレンファーストで今回の法制審議会も諮問いただいたと思うんですけれども、既にどこかで組織的に動いているのじゃないのかということが一つの疑念としてあります。
 これは、国民にそのような疑念を抱かせないように、特に今回、家族法制部会では、毎年二十万人もの子供が片親親権によって経済的、精神的、社会的に片親を失っている。これ、全世界的に見ても先進国では日本だけです。他の国は、三十年、四十年の間に子供のためということで共同養育、共同親権つくり出してきているんです。日本だけがガラパゴスで取り残されているのは、私はこの法制、法務行政の構造的在り方と関係しているのではないのかと思っております。
 そういう中で、まず最初に御質問させていただきますが、前回取り残してしまったんですけれども、私自身、DV問題には大変心を痛めてまいりました。虐待、DV、知事時代、二〇〇六年から二〇一四年です。それで、知事として滋賀県警察の生活安全課の人員を強化して、特に女性警官を増やしまして、児童相談所などに正式に出向してもらうよう手配をいたしました。児童相談所に警察官を正式に出向させて、警察と児童相談所、協力体制つくったのは滋賀県が初めてということですけれども、最近もずっとこの人事交流はなされて、そして、現場では警察官の方が大変サポートして力強いということも子ども・青少年局というところから聞いております。これはコメントでございます。
 四月十三日の参議院の法務委員会でも、家族問題に刑事罰を持ち込むことにちゅうちょがあるかと上川法務大臣にお尋ねしました。特に実子連れ去りの、刑法二百二十四条、未成年者略取誘拐罪の構成要件に該当するかということで、上川法務大臣また川原刑事局長、刑法二百二十四条の保護法益、未成年者の自由と安全、監護側の監護権の言わば侵害ということでの保護法益があるとはっきり御発言くださいました。
 この実子誘拐が刑事罰の要件にもなるということで、今、理不尽な実子連れ去りの悲劇、本当に各地から報告ございます。もちろん、連れ去った側の言い分があると思います。その大きな一つがDVということで、私はそのDVをかねてから厳罰化ということは申し上げております。
 そういう中で、何よりも当事者、声を上げられない子供たちの声を代弁する、そういう、あるいはそれをサポートする法制度の改革が何としても重要だろうと思います。五月五日のこどもの日にあるシンポジウムがございまして、そこで皆さんが新しい、こどもの日の、子供の声を代弁する組織を立ち上げたということでございます。
 そこで法務大臣にお尋ねしますが、チルドレンファーストを挙げて法制審議会に離婚後の法制度の在り方について諮問なさいました。このような上の報告、ちょっとくどくどと私自身説明長くなりましたけれども、現在の法務大臣の御認識、お聞かせいただけるでしょうか。


○国務大臣(上川陽子君) 父母の離婚等に伴います子の養育の在り方につきましては、本年二月に法制審議会に諮問をいたしまして、現在、法制審議会の家族法制部会で民事法の観点から現在審議中であるということでございます。
 離婚後の子の養育に関する様々な課題がございます。これは、子供の生活の安定また心身の成長に直結する問題でございまして、子供の利益の観点から大変重要な課題と認識をしております。
 私自身、かねてより申し上げてきたところでございますが、この問題につきましては、チルドレンファーストの観点からファクトベースで議論されることが重要であるというふうに考えておりまして、法制審議会におきましても調査審議が充実したものとなるように、未成年期に父母の離婚を経験した子を対象とした実態調査、また、海外の法制度やまた実務の運用を把握するための実情調査などを実施してきたところでもございます。またこれからも、そうしたいろんな観点からの調査等もファクトベースで法制審議会の調査に付するように取り組んでまいりたいというふうに思っております。
 法制審議会におきましては、こうした結果等も踏まえまして、子供の目線また心情への影響にも十分配慮しながら充実した検討が行われることを期待しておりまして、できる限り早期に議論の取りまとめがなされることを期待をしているところでございます。


○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
 何度も同じことの答弁をいただき大変失礼ですけれども、ファクトベースで、海外等の調査結果も生かして、そして何よりも子供時代に離婚を経験した当事者の声を反映していただくというところで是非お願いいたします。
 今、この少年法の議論でございますので、少年法につきましてかなり様々な質疑ございましたけれども、私自身はやはり一番気にしているのは、少年院はそれぞれの子供たちを言わば矯正教育をして、そして立ち直りをする場所であるということでございます。そういう中で、この少年の立ち直りに果たす役割、課題についてどのようにお考えでしょうか。お願いいたします。


○政府参考人(大橋哲君) お答え申し上げます。
 少年院在院者は、非行の背景にそれぞれ多様な資質上及び環境上の問題を抱えております。少年院におきましては、非行を犯した少年の立ち直りに向けて、安心、安全な生活環境の下で、法務教官との深い信頼関係を基盤といたしまして、個々の特性に応じた教育を計画的に実施しております。これらの矯正教育は、担任による個別指導と小規模の集団指導を組み合わせ、余暇時間を除く起床から就寝まで行っておりまして、再非行防止に一定の効果を上げているものと認識しております。
 在院者のニーズに対応した処遇を展開する上では、少年鑑別所のアセスメント機能を強化するとともに、出院後の社会適応や再犯、再非行の状況を把握し、処遇の効果を検証して行っていくことは重要であると認識しております。
 また、今般、新たに民法上成年になり、自律的な権利主体として積極的な社会参加が期待される立場となる特定少年に対しましていかに効果的な矯正教育を行っていくかも課題の一つでございます。
 これまで少年院が培ってきた知見やノウハウをしっかりと基盤として維持しつつも、個々の特性に応じた適正で有効な矯正教育を実施できるよう不断の見直しを行い、再非行防止に向けて少年院における矯正教育の更なる充実に努めてまいりたいと考えております。
○嘉田由紀子君 御丁寧にありがとうございます。
 少年院の中で言わば立ち直りを自ら経験して、そして今日も真山議員が、収容二年間で自分が変われたという戦慄かなのさんの新聞記事、先回同じ記事を私も出させていただきましたけれども、とってもリアルな形で、これまで自分の話をきちんと聞いてくれる親が、あるいは大人がいなかった、少年院に入って初めてそういう内省と、大人との関係がつくれた。ということは、本当に生育歴、家族環境、周辺が問題だったということで、ここは何としても少年院の皆さんの御活躍を期待したいと思います。
 そして、少年院の生活から社会生活への円滑な移行を図る、これが本当に十八歳、十九歳でどうやって、親御さんも不安定な中で、家族が不安定な中で、ここにはどのような課題があるとお考えでしょうか。
○政府参考人(大橋哲君) 少年院在院者につきましては個々の少年が複雑な課題を抱えておりまして、社会復帰に向けた課題は様々でありますが、社会生活への円滑な移行を図る上では、非行の反省とともに、特に社会に自らの居場所と役割を得ていくための基盤となる修学及び就労先の確保、出院後に直面する困難や課題について相談できる支援者等のサポート体制の構築が課題であると認識しております。
 これらに対し、少年院におきましては、修学支援として進路指導の提供や高等学校卒業程度認定試験などを実施しております。また、多様化する雇用状況に対応し、進路選択の幅を広げるために、少年院と通信制高校の連携を図る取組についても本年度から複数の施設で試行を開始しているところでございます。就労支援といたしましては、ハローワークとの連携や矯正就労支援情報センター室等を通じた就労内定に係る取組を進めておりまして、それらの情報は保護観察所等とも共有し、出院後の指導、支援の継続に配慮しております。
 支援の内容ごとに協働する組織、機関は多様であるため、少年院の入院後早期から、出院後の生活環境の調整に向けて、保護観察所を始めとする関係機関や民間協力者等との連携協力体制の構築に努めているところでございます。
 引き続き、出院後の社会適応や再犯、再非行の状況を把握しつつ、在院者それぞれの立ち直りに資する社会復帰支援を実施できるよう不断の見直しを行い、在院者の改善更生及び円滑な社会復帰に努めてまいりたいと考えております。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
 まだ幾つか追加の質問をお願いしていたんですけれども、時間ですので、また次回に回させていただきます。
 これで終わります。ありがとうございました。

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