20210323東日本大震災復興特別委員会【確定稿】

令和三年三月二十三日(火曜日)

○嘉田由紀子君 碧水会の嘉田由紀子でございます。少数会派にも時間配分いただきまして、ありがとうございます。
復興特として、特に私、河川政策について質問させていただきたいと思います。
御存じのように、日本の国土、数万年を取りますと、七割が洪水でできている。ですから、もちろん津波も怖いですけれども、洪水はどこでも起こり得るわけです。
そういう中で、今日、今資料を二つ配付させていただきますけれども、一つは、今こそ流域治水をということで、ふりかえる淀川水系流域委員会の提言を出させていただきました。
実は、一九九七年の河川法改正を受けて、二〇〇一年の二月、ちょうど二十年前に淀川水系では流域委員会というのができまして、四百回を超える現地調査と会議で、そこでは、川の中だけに水を閉じ込めることはできないんだということで、流域治水の基本政策を提言をしました。ただ、そのとき、流域治水という言葉は使っておりません。その後、二〇〇六年に、私はこの淀川水系流域委員会の提言を具体的に実現したいということで二〇〇六年に滋賀県知事に立候補させていただき、そこでマニフェストの中に流域密着型治水と言わせていただきました。そして、八年掛けて二〇一四年の三月に全国で初めての流域治水推進条例を作らせていただいたわけです。
実は、今回、この流域治水を国の方が束ね法案として、名前は少し分かりにくいんですけれども、特定都市河川浸水被害対策法等一部改正案、これもまとめて流域治水関連法案と言わせていただきますけれども、閣議決定を二月二日にしてくださいました。本当に、川の中だけでは閉じ込め切れない、もう気象災害大きくなっている中で、国民の命を守ると大きな転換をしていただいたこと、深く感謝を申し上げます。今日から衆議院の方で議論が始まるんでしょうか。その辺のところも、今日、担当の井上局長さんお越しでございますので、大いに議論していただきたいと思います。
そこの中に一つ、既設ダム機能の有効活用という項目が入っております。具体的には、例えば河川法五十一条に、既設ダム、つまり電力やあるいは農業用水あるいは水道用水、そういうところの利水の容量を治水に使うという方向を示していただいております。これは大変大きなコペルニクス的転換だと思います。私、知事時代から、川の中だけでは閉じ込め切れないから、是非利水を治水に転用あるいは活用とお願いしていたんですが、なかなかこれが法的にできなかったんですけれども、今回は、菅総理大臣が官房長官のときに、縦割りに横串を刺すということでこの方向を出していただきました。大変歓迎すべきだと思っております。
そういう中で、資料の二ですけれども、

宇治川・木津川・桂川水系の洪水調節可能容量という資料を出させていただきました。琵琶湖・淀川水系の川の関係が分からないと少しこの川の名前が細か過ぎるかもしれないんですけれども、実は今、一方で、大戸川ダムという滋賀県内のダムが建設、私は知事時代に建設の緊急性、必要性低いということで凍結させていただいたんですけど、それが今よみがえろうとしております。この大戸川ダムは二千万トンの計画なんですが、これをはるかに超える八千三百八十二万トンが既存のダムから転用活用しようという動きになっております。新しいダムを造る前にまずは既存ダムの活用が、財政的にも、また環境保全的にも合理的だと思います。
そこで、国土交通省さんにお伺いしたいんですが、治水に活用できる容量、洪水調節可能容量をどのように評価をして河川整備計画に位置付けるのでしょうか。お願いいたします。
○大臣政務官(朝日健太郎君) お答え申し上げます。
事前放流による利水容量の活用は、河川水位を下げる効果があり、浸水被害の防止や軽減につながるものと考えております。一方で、事前放流で確保した空き容量を最大限有効に活用するためには、ダムの操作方法を変更することで更なる効果が期待ができます。
こうしたダム操作方法について、今後、具体的な実績の積み上げに基づき検証をした上で、操作方法の見直しや必要に応じて放流設備の改造を行うなどを整理し、関係者と調整が調ったところから河川整備計画に位置付けることとしています。
淀川水系の宇治川、木津川、桂川における事前放流による治水に活用できる容量は、委員おっしゃったとおり約八千万立方メートルとなっておりまして、昨年五月に利水者と治水協定を締結し、運用を始めているところでございます。
ただし、この約八千万立方メートルの約七割は木津川上流部に、ダムのよるものであり、特に木津川に対しての効果がある一方、大戸川ダムの下流の大戸川や宇治川、琵琶湖に対する治水の効果は限定的であり、大戸川ダムの代替によるものではないというふうに考えております。
○嘉田由紀子君 朝日政務官、ありがとうございます。
具体的に、大戸川ダムの効果というのは枚方地点なんですね。ですから、枚方地点で毎秒何万トンの治水効果があるのか、その数値はお持ちですか。
○大臣政務官(朝日健太郎君) 淀川水系では、平成二十五年台風、そして平成二十九年の台風二十一号、そして、引き続いて大変大きな水害被害が発生しており、近年の気候変動による激甚化、頻発化を踏まえれば、待ったなしの状況だというふうに考えております。
委員御指摘の淀川、宇治川など、延べ七十キロ以上の区間の水位を引き下げ、その水位低下量は、淀川本川の枚方地点では約二十センチと推定をされております。
淀川、宇治川においては、水位低下の越水の回避や、また堤防の負荷軽減による決壊のリスクの軽減など、そういったことが期待されるというふうに考えております。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
大戸川ダムについては下流七十キロまで二十センチ水位低下の効果があると、木津川の上流の例えば高山ダムやあるいは川上ダムや青蓮寺ダムは効果が限定的だと。このことについて、私は現場を知る人間として納得をできないんですが。
ですから、たとえ木津川上流であっても枚方への効果は推定でき、そして、単に限定的と言えない。つまり、片方は二千万トン、片方は八千万トンです。ここのところはどうですか。
○政府参考人(井上智夫君) 先ほど朝日政務官がお答えしたとおり、この木津川のダム群の利水容量を活用するということ、これについては、操作の方法を見直さないといけないので、実際どの程度効くのかがはっきりしておりません。
それから、気象予測ということに依存している事前放流になっておりますので、この大戸川ダムの効果と簡単に比較するということはできないというふうに考えているところでございます。
○嘉田由紀子君 もう今日のところは時間迫っておりますのでこれ以上御質問しませんが、流域治水、菅総理大臣が、それこそ総理大臣の就任のときに、自分は縦割り打破をして横串を刺したと、実績として挙げられているようなそういう大事な政策転換。しかも、今、国民的にもコロナ禍で財政的にも大変厳しい。そういうところで、今あるダムを有効に使うことを、最大限利用せずに、頭ごなしに新しいダムが必要だと、古いダムを使うのは限定的だと、そう決定することに対して、私自身は少なくとも国民の皆さんに、あるいは財政負担をする県民の皆さんに説明が付きませんので、これはまた次回、述べさせていただきます。
時間のようでございますので、ここで終わらせていただきます。
どうも、井上局長、また朝日政務官、ありがとうございました。

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