Facebook 2021年6月4日 地域木材を活かした建物づくりの英知をあつめた「林業会館」が4月に完成!

滋賀県の林業家さん、森林組合さん、木材業者さん、そして建築業者さん、大工さん、地域木材を活かした建物づくりの英知をあつめた「林業会館」が4月に完成!木を植え、森を育て、木材の個性を見極めて、建物に仕立てていく。これまでは構造的にも困難といわれていた中規模事務所を規制サイズの木材を組み立て、安価で完成させることができたということ。ようやく見学させていただけました。それぞれのプロとしての工夫やご苦労を語り、ご案内いただいた清水安治さん、宮村太さん、坂田幸平さん、ありがとうございました。6月3日。(また長いです、1600文字)
この林業会館の特色は次の4点です。
1. 特殊な材ではなく一般に流通している製材品を使用
2. 設計段階から木材調達に取組む
3. コスト面で他の構造に対抗できる汎用性のある方法を採用
4. 耐震・防火や維持管理などの性能を追求
建物工事費 〈税別価格〉は、 床面積 501㎡で1 億 2,500 万円 。平米単価25 万円という価格で完成されています。決して高くありません。
大黒柱は、朽木の栗本林業さんのスギの巨木の周囲をけずり、中心の赤身部分だけで構成。構造材は南部森林組合、坂本森林組合のヒノキ、滋賀中央森林組合や永源寺森林組合からもヒノキ柱材を購入。間柱は、ウッドリンクさんからびわ湖材、内装材には、永源寺森林組合からの広葉樹と、滋賀県各地で育った材をあつめています。階段の横には樹種毎の木目をいかして展示壁、なかなかしゃれています。
事務室で仕事をしておられた女性は、「家に帰ったら木の匂いがする、と家族にいわれて気持ちがいい」ということ。トイレなどにもふんだんに木材を使い、窓枠にも、保温性を担保できるような木枠を活用。ただ、雨露があたるところはアルミにして、維持管理にも配慮しています。ひとつずつの工夫が木材への愛情があふれ、それでいて合理的で、美しいです。
思いおこすとちょうど2005年頃、高島のある町長さんが住民の憩いの場を木材でつくった、というのでみせていただきました。ただ、滋賀県地元の木材は、乾燥や流通などが不十分で、結局九州の山の木を使わざるをえなかった、ということ。これだけ身近な山にスギやヒノキがたくさん育っているのに、なぜ?と林業素人ながら疑問に思い、滋賀県内で生産から流通の仕組みが不十分であることを発見。
2006年に知事に就任後、すぐに「上流から中流、下流まで一貫した木材生産と流通、乾燥、建物づくりと活用の仕組みづくりをめざそう」と琵琶湖環境部のスタッフに呼びかけました。そして最初に完成したのが、まず県の公共事業としては50年ぶりという地元材の建物が、彦根東高校の多目的室として完成できました。2013年のことです。
その時活躍してくれたのが清水安治さんたちです。地域毎の森林組合の経営を健全化しながら、伐採から、木材市場づくり、そして乾燥施設づくりなど、多くの職員さんが活躍してくれて、まさにびわ湖源流の森林から私たちの暮らしの場まで、地元の木材が活躍できるようになりました。
温暖化対策のCO2削減政策としても、地元の木材を活用して、公共施設や住宅をつくることは有効です。三日月知事は「山の健康を守る知事」をめざしてくれています。たのもしいです。
今、九州熊本県球磨川水害の被害地調査をしながら、林業専業地のスギ・ヒノキの皆伐の影響が大きいことが気になっています。昭和30-40年代、燃料革命のあと、落葉広葉樹の実のなる樹木を伐採し、拡大造林をしてきた九州では、50年前にクマが絶飯しています。熊本県にはくまモンはいても本物のクマはいません。九州全体にクマはいません。四国もあと10頭ほどです。
熊森協会の皆さんともいつも話をしていますが、トチやシイなどの実のなる巨樹、巨木が残る奥山こそクマが子育てができる森です。そして水源涵養の能力もたかく、洪水をふせぐ力もある。森の多面的機能、あらためて感じ、教えてくれる建物です。長くなりました。
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