Facebook 2021年5月4日 「緊急放流」=「ただし書き操作」=「異常洪水時防災操作」

「緊急放流」=「ただし書き操作」=「異常洪水時防災操作」、ダム建設で計画した以上の豪雨があった時に、ダムそのものが壊れないよう、放流量を急速に増やす操作です。下流住民にとっては、そうでなくても洪水最中で浸水や、最悪の場合溺死のリスクが迫っているのに「緊急放流」があれば大変なことです。5月3日(長いです^_^)。
昨年7月4日早朝、九州球磨川水害では、浸水が迫るさなか「8時30分に上流市房ダムが緊急放流」という公表がなされ、流域住民は恐れおののいたということをあちこちで聞きました。結果的には幸い雨がおさまり、あと10センチという水位のところで緊急放流はさけられました。
しかし流域では50名の溺死者がでてしまいました。昨年7月以来、私達は「何が生死を分けたのか」「どうしたら50人の命を救えたのか」という目的で球磨川流域の現地で地元の皆さんと一緒に、溺死者お一人ずつの聴き取り調査をすすめています。その結果は近いうちに公表させていただきますが、今日は、5月3日の毎日新聞の記事を紹介させていただきます。
昨年7月4日の球磨川水害を受けて、今球磨川では「緑の流域治水」を旗印に、球磨川上流に計画されている川辺川ダムを含む球磨川流域治水計画が協議会で議論されています。その協議会で、昨年12月18日に公表する予定だった、川辺川ダムの緊急放流情報を公表せず「廃棄処分」と毎日新聞の情報公開請求に回答したということ。
安倍政権以降、行政文書の「廃棄」に疑念を持たない官僚が増えたとしたらなんとも言葉がありません。それも国民の税金を使った調査研究結果です。5月3日は「主権在民」を定めた憲法記念日です。
地元で、自ら被災しながら一緒に溺死者調査をしている被災者の会の鳥飼香代子さんは毎日新聞の取材に、「私たちは昨年、(川辺川ダムがもし建設されていたとして)緊急放流した場合の水位上昇などの数値を県に出すよう求めたが回答はないままだ。、、、最悪の事態を想定したデータを出してもらわなければ、ダムが必要かどうかも選びようがない」と訴えています。
また同じく地元で自ら被災しながら溺死者調査の取りまとめをしてくれている市花保さんは、2018年、愛媛県肱川で野村ダムの緊急放流で死者がでてしまった例をあげて「緊急放流は住民が一番知りたい情報だ。破棄したなんとんでもない」と憤慨しています。
行政としても言い分があるはずです。毎日新聞によると、「意思決定の途中段階で作成したもので、当該意思決定に与える影響がないものとして長期間の保存を要しないと判断した」ということです。意思決定過程に住民、それも万一の時に命を失うかもしれない住民当事者の意思は全く考慮されていません。
そもそも「球磨川流域治水協議会」のメンバーは、国、県、市町村長や専門家だけです。住民が参加できないままダム建設が規定路線になりつつあります。住民不在の治水計画は「流域治水」と呼んでほしくありません。「住民不在の流域治水はまがい者」としか言いようがありません。かえすがえすも残念です。(ウェザーニュース2020年7月4日TV画面、毎日新聞5月3日紙面、熊本県広報誌転載させていただきました)。
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