Facebook 2021年4月10日 参議院法務委員会 共同養育・共同親権に改正する必要性を提示

月末から4月上旬にかけて、参議院法務委員会で3回の質疑。主に上川陽子法務大臣に、片親親権である日本では、離婚に伴い、子どもの暮らしや思いや福祉が置き去りにされている実態を認識していただきたいこと、立法府に属する国会議員として、明治民法以来、時代が大きく変わる中でも改正がされていない「民法819条」離婚後の片親親権を、男女共同参画の時代変化にあわせて、共同養育・共同親権に改正する必要性を提示してきました。同時に裁判や司法部門への女性始め多様な人材を確保できるよう提言。4月10日。また長いです(すみません)。
そんな折、4月2日に、この問題に関心がある人たちにとっては、とても大きなニュースが飛び込みました。将棋界では若い人や子どもさんに人気が高い、将棋八段の橋本崇載(たかのり)棋士が突然引退を表明。その理由は、産まれたばかりの長男さんを、2019年7月に突然奥さんに取れ去られてしまい、精神的にも苦しみ続け、子どものことを思うと将棋を続けられない、と長い間悩みぬき、今回決断なさったということ。
橋本さんの切切と事実を述べる動画を引用させていただきます。「浮気やDV、虐待などしていない」という中でなぜこんなことになったのかわからないということ。そこで知り合いを介して4月5日に橋本さんと直接お出会いしました。橋本さんご自身は、2019年7月18日、対局からいつも通り家に帰ったら妻も子どもも姿が見えず、車もなく連絡が取れないということ。しばらくして妻側の弁護士から離婚の話が持ち込まれたという。自分も弁護士を立てて、離婚調停中だが、息子には会えずなぜこんなことになったのかわからないという。
そこで私自身が過去1年半に亘り、法務委員会で20回以上質問してきたまとめ冊子と最近出版された『実子誘拐の闇』という本や、被害者団体の活動チラシなどを差し上げて、橋本さんのように突然子どもを連れ去られる事例は決してめずらしくないこと。父親が多いが最近は母親も増えていて仲間がたくさんいること(ただし統計的に数値には上がっていない)を伝えました。
このような事件が起きてしまうのは、日本の民法で「離婚後片親親権」が規定され、相手に無断で突然子どもを連れ去っても罰則がないこと。海外の多くの先進国では、共同養育、共同親権の国が多く、配偶者に無断で未成年の子どもを長期間居所を移動すること事態が犯罪になること、などを申し上げました。
それなら裁判所が調停してくれるのでは?という期待があるかもしれませんが、裁判実務として、ある期間子どもを相手から引き離し、自分が育てるという時間的実績を作ると「子どもを移動するのは子どもの福祉に反する」という理由で、これが俗に「継続性の原則」と言われおり、まして子どもが幼いと母親が有利となり、連れ去りという「実子誘拐」が、親権獲得の有効な手段となっており、裁判所は助けてくれず、実子誘拐がますます広がっている、と説明させていただきました。そしてここには見えない大きな構造があることも説明させていただきまし。
橋本さんご自身は、「自分のような被害者がこんなにたくさんいるのですか?」と驚いておられました。子どもが何よりも、父親から離され可愛いそうだ、それなのになぜ社会問題になっていないのか、といろいろ疑問をぶつけておられました。なかなか納得できないのは当然です。でも、棋士として「将棋のコマを捨てる」というほどの人生の一大決心をなさり、途方に暮れる橋本さの姿は本当に痛々しいです。
橋本さんの状況を翌日、4月6日の法務委員会の冒頭で、上川大臣に、実子を突然連れ去られた親の気持ちをどう思うか、質問しました。答弁は「個別の事情には意見を差し控える」ということですが、一般論としては「離婚後も父母が子どもの養育について共同して関わり、親としての役割と責任を果たすことが、子どもの利益を図るという観点から極めて重要だ」と基本的方向を示されました。大事な答弁です。
長くなりました。3月30日から法制審議会の家族法制部会がはじまりました。離婚後の子どもの養育に関わる家族法制のあり方が主なテーマです。ただ、法制審議会の方向は今のメンバーのままなら、また今の法務組織のままなら「共同親権は時期尚早」「選択できたらいいだろう」という形での両論併記におわるのではないかと懸念しております。その理由はまた次回に解説します。
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