参議院法務委員会で「離婚後の子どもの幸せを求めて」と、上川法務大臣に25分間の質問をさせていただきました。「確定稿」ができてからまた公表させていただきますが、質問の中心は、このFB上で2月20日に紹介をしたĀ子さんの話です。首都圏に住み、父母の離婚後も、自らの意思で両方の親の家を週の半分ずつ行ったり来たりして「共同養育・共同親権」を自ら選んだ高校2年生のĀ子さん。上川大臣は、別れた親をつなぐ子どもの役割は大切だと言及し、「チルドレンファースト」で子どもさんのさまざまな声を聴きたいので、今回大規模調査をした、ということです。3月17日。(1600文字)。
上川大臣が言及したのは、先日、3月12日に法務省のHPに公表された「未成年期に父母の離婚を経験した子の養育に関する実態調査」です。ネット調査ですが、20代~30代の男女それぞれ500名ずつを対象に、「父母の離婚を知った時の気持ち」「父母の不仲の原因」「離婚後の経済的状況」「離婚後の親子(面会)交流」など80項目について、1000名もの調査を進めてくださいました。
これまで大学研究者などによる数百名までの調査結果はみておりますが、未成年期に父母の離婚を経験した、という調査対象者を探すのが大変です。今回結果が公表されているのは、単純集計レベルですが、父母の離婚を経験したのが「未就学児」「小学生時代」「中学生以上」と1000名がほぼ三分の一ずつというのも大事なデータです。意外と幼い時の離婚が多いというのが驚きです。また父母の離婚時のことを記憶しているのは672名ですが、8割近くが「知っていた」「うすうす感じていた」という。しかし誰かに相談したのはたった9.4%しかなく、多くは一人で抱え込んでいたようです。不憫です。
「父母が別居を開始する前にどのように感じていたか」という質問については、「仲直りしてほしい」が3人に1人、「家族がバラバラになってしまう」という心配が4人に1人、「父母の仲が悪いのは自分のせいではないのか」は6人に1人、「今の生活環境が変わってしまう」という心配も6人に1人が感じていました。同時に「早く離別・別居してほしい」という思いも5人に1人、「親の問題にかかわりたくない」が8人に1人です。親の不仲は子どもにとってはやはり大きな精神的負担となっていたようです。
離婚後「経済的に苦しくなった」「若干苦しくなった」という回答は4割おられますが、経済的に好転した、という人も7%ほどおられます。別居親からの養育費の支払いは、約17%は「きちんと払っていた」、14%は「当初は払われていたがその後払われなくなった」ということです。
今回の調査は、個人別の元データがあるので、今後、離婚後の子どもの思いが男女別で異なるのか、父母離婚時の子どもの年齢で違いがあるのか、など「クロス集計」ができるのが強みです。次回以降、クロス集計を示していただくことにします。
また今回のような大勢を対象にした統計的なデータにプラスして、私が今回紹介したĀ子さんのように、個人別状況をインタビューなどで深める調査も必要です。上のようなデータ取得の今後の可能性についての問いに、上川大臣は「法制審議会で充実した調査審議が行われるために・・・子ども目線の調査を加えて、できるだけ実態に基づいたファクトベースの議論がスムーズに進むよう工夫してまいりたい」と決意を述べてくださいました。
参議院議員になって、2019年11月からずっとこの問題を法務委員会で質問をし始めて、今回で20回目です。前の大臣の時にはどちらかというと「家族法研究会で議論」という回答の繰り返しでした。残念ながら本気度が感じられませんでした。
大臣が変わり「実態に基づきファクトベースでの議論」という内実のある答弁をいただき、それだけに今後、私自身も経験者の皆さんの声を、社会的ファクトとして、わかりやすく提示していく必要性を感じました。大臣とのやりとりがようやく、内実をもって進むようになり、大臣の本気度が感じられ、手ごたえもあるうれしい委員会でした。