アメフト界には、悪事を天からみている「お天道さま」がいたようです。関東学生アメリカンフットボール連盟は5月29日、日大の内田正人前監督と井上奨前コーチについて反則行為を指示したことなどを理由に最も重い「除名」とする処分を決めました。一方、国民と国会を「だまし」、公文書を「かくし」「改ざんし」、やりたい放題の安倍政権をただす「お天道様」は永田町界隈にはいないようですね(微笑)。5月30日。(また長いです:すみません)
滋賀県知事8年、びわこ成蹊スポーツ大学の学長3年の経験から、一般論ですが、日本のスポーツ界の「上位下達」「スパルタ方式」「若者・女性の軽視」「勝利至上主義」という、大組織優先・権威主義的な、非民主主義的なおじさま体質をいよいよ見直すべき時代がきたと切に思います。ただし、その構造は根深いので、そう簡単に変わらないでしょう。それでも今回のこの事件をきっかけにスポーツ界の民主化が少しでも進むことを期待して、いささか個人的な経験を披露したいと思います。
子ども時代から、多くの日本人が、何か悪事をすると「お天道さまが見てる」といわれ、ほかの人間が誰も見ていなくても太陽はきちんと見ているのだから、どんな時でも悪事をしてはいけない、とさとされてきたと思います。お天道様がそのまま太陽を意味することもあれば、神や仏といったものの宗教的で内面的な心のあり方の象徴として扱われることもあったと思います。私の母は農婦ですが、とっても潔癖な人だったので、内面的にも悪事を見逃しませんでした。
2006年7月に知事に就任して発見しました。滋賀県体育協会の理事メンバーがほとんど男性。驚きました。オリンピックでも国内大会でも女性は選手として大活躍している。でもスポーツの組織的意思決定をする組織に女性があまりに少ない。そこで女性理事を3割に増やすようお願い(指示)しました。自治体だけではありません。というか、国のほうが女性役員はすくなかったのです。
2007年9月末、滋賀県では「日本スポーツマスターズびわこ大会」を誘致し、日本体育協会の役員さんが来られました。その時にはじめて、水泳選手でテレビなどでも活躍していた木原美知子(光知子)さんに出会いました。その名刺に「日本体育協会見習い」とありました。木原さんほど活躍している人が「なぜ見習い?」と尋ねました。「はじめての女性理事なので見習いからはじめろ!」といわれたという。大津プリンスホテルの最上階で二人で「スポーツ界を変えよう!」と約束しました。しかし、その後1ケ月もたたない10月18日にクモ膜下出血のため木原さんは帰らぬ人となってしまいました。
2014年春、知事引退を考えていた時に、びわこ成蹊スポーツ大学の学長職を提案され、それを受けたのは、スポーツ界でも女性参画を少しでも進められたらという木原美知子さんとの約束があったからです。私自身が高校時代などスポーツをやり、スポーツが好きだったということもあります。びわスポ大では、女性アスリートを増やすワクの拡大や、女性アスリート活躍のための食や健康配慮、たとえば生理時の低用量ピルの活用などをの意識変化を呼びかけてきました。
今回の日大アメフト部のラフプレーについては、お天道さまは、テープレコーダと映像という近代的な記録装置だったようです。というのも、ラフプレーを自らやってしまった選手が、「監督・コーチの指示」という証言したのに対して、監督・コーチは、指示したことがずれて選手に伝わってしまったと言い、自らのラフプレー指示を否定。しかし試合直後の監督自身が発したテープレコーダ記録と、試合中の監督の「ラフプレーは見ていなかった、自分はボールを追っていた」という発言と現実の監督の行動の食い違い。このあたり、テープレコーダも映像記録も「お天道さま」だったようです。
これでスポーツ界に君臨するおじさまたちの体質がただちに変わるとは期待していません。実は多くの私立大学の経営陣も圧倒的に高齢男性支配です。日大ほどではないでしょうが・・・。ただ、ラフプレーをしてしまった若い選手、その仲間たち、そして被害をうけた関学側の学生など、若い人たちの真しなスポーツマンシップには期待がもてると思います。
さて永田町政治に、アメフトの若者のような、正義感とファエプレイ精神に満ちた政治家がどう現れ、糺してくれるのか、国民全体で監視しないといけません。映像もテープも文字記録もたっぷあるのですから。
3枚の写真をアップします。1枚は2007年9月25日、木原さんやゴルフの樋口さん、女性理事をふくむ日本体育協会の皆さんと「近江の地酒」で鏡開きをしている場面です。もう2枚は、昨日の琵琶湖辺での「ハマヒルガオ」。お天道様をたっぷりあびて、琵琶湖辺には、美しい自生のハマヒルガオが湖岸いっぱいに咲いています。永田町に届けたいですね(微笑)。