Facebook 2021年2月3日 2021年2月2日は、日本の河川政策にかかわる人たちにとっては忘れられない記念すべき日になると思います

2021年2月2日は、日本の河川政策にかかわる人たちにとっては忘れられない記念すべき日になると思います。「流域治水関連法案」(9本の束ね法案)が閣議決定されました。「川の中に閉じ込める治水」から「川から溢れること」も前提に、上流・下流や本川・支川の流域全体を俯瞰し、流域全体であらゆる関係者が協働して取り組む「流域治水」の実効性を高める法的枠組みが提案されました。今国会で本格議論を行い、通常国会がおわる6月には法案をしてまとめ、今年の梅雨の出水期に間に合わせる予定ということです。2月3日。
今から125年前の1896年(明治29年)、日本で最初の河川法ができました。ここでは、連続堤防をつくり、洪水を川の中に閉じ込める「河川治水」の方向が決められ、それ以降、大正、昭和、平成と、堤防はできるだけ高く、川の中にはできるだけ多くのダムをつくり、河川内部だけで洪水を閉じ込めようと、まっしぐらに走ってきました。その結果、氾濫原にも大都市がひろがり、人間が暮らせる領域はひろがりましたが、川はコンクリートで固められ、上流部はダムだらけになりました。
人口増加に対応する高度経済成長期には必要な政策だったかもしれません。しかし、経済成長に陰りがみえ、人口減少が避けられず、都市の縮小方向の今の日本、一方で、地球温暖化の影響で洪水頻度も高まっています。川から溢れることも前提に、「危ないところには住宅や福祉施設をつくらない」という土地利用の工夫、「浸水予想マップを活用して洪水に耐えられる建物づくり」という建築規制などソフトの工夫が求められています。
滋賀県では全国に先駆けて、私が知事に就任した2006年から、土地利用や建物規制、避難体制の強化など、「地域密着型」治水政策を8年がかりでつくり、2014年に日本ではじめての「流域治水推進条例」をつくりました。「ながす」「ためる」「とどめる」「そなえる」という4つの多重防護の仕組みで、何よりも命を守ることを最優先の政策です。最悪3メートル以上浸水する恐れがあるところは「警戒区域」に指定をして建物の嵩上げなどを県費補助でできるような仕組みもつくりました。
国も、近年の水災害の多発化を経て、ようやく河川の中でだけではまもりきれない、という判断のもと、「流域治水」に舵をきりました。ただ今回は、都市部だけに限った法案です。日本全国にひろげるためには、まだまだ国民的理解が必要です。皆さんのご自分が住まいする場所にあてはめて、今一度、「洪水を水害にしない」治水政策に感心をもっていただけたら幸いです。
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