ダムに沈んだ集落を明かりで再現。日吉ダム「天若湖アートプロジェクト:あかりがつなぐ記憶」今回14回目、実行委員長からの緊急メッセージです。今晩、6月3日もまだ見られます。京都から桂川沿いに車で1時間ほどの日吉ダムでのイベントです。6月3日。
今年は天候に恵まれ、鏡のような湖面に120個の明かりが浮かび上がりました。それぞれの明かりが、ダムに沈んだ一軒一軒の場所に再現されました。20年前に桂川上流部に完成した日吉ダム。京都・大阪府下の水道用水供給や洪水防御用の多目的ダムとして完成。ダムの水底に沈んだ家は150戸。14年前に「ダムに沈んだ家一軒ごとに明かりをつけて、水底に沈んだ人たちの思いを下流の人たちに届けよう」という京都造形芸大の下村泰史准教授の研究室の学生さんの一言から始まったプロジェクト。
一年に二夜だけ、湖に沈んだ村の記憶の明かりが湖面に浮かびます。毎年まいとし、雨や風の中でも明かりをともすイベントを続けて14年。発光力のある明かりを工夫してGPSで位置決めをして小舟で明かりを固定する大変な作業があればこその明かりです。今年も石田裕子准教授が指導する摂南大学の学生さんたち30名以上が泊りこみで設置してくれました。
巨大なダム湖の湖面に明かりをともすその情景はまさに大地を舞台に表現するインスタレーション。それゆえ「天若湖アートプロジェクト」と名付けられました。6月2日、昨晩は、100名近くの人たちが訪問下さいました。最も感動的だったのは、天若地区で生まれ育ったIさんの言葉。「あの明かりは保育所のところ。保育所の前には川が流れていて毎日川遊び。その下流のところにはバス停、皆で集まって殿田小学校へ通った・・・」と涙ぐみながら話をしてくれました。
また長岡京から訪れたご夫婦は、「普段当たり前につかっている水道水がここから供給されていると思うと感慨深いです。蛇口をひねる毎に、このダム明かりを思いおこさせてもらいます」とお話下さいました。