国会からのコロナ対策に関する続報です。今国会の最大関心である新型コロナ対策の中でも「過料や罰金」などについて、衆議院での予算委員会議論等をふまえて現状報告します。先述のように、私が最も気にしているのが、「感染症法改正」での入院を拒否した感染者に対し、刑事罰の「一年以下の懲役または100万円以下の罰金」を科す規定と、保健所の疫学調査を正当な理由無く拒否した人達には「50万円以下の罰金」規定です。1月27日。
衆議院予算委員会では、菅総理や、田村厚労大臣が、「全国知事会から罰則の創設を求める緊急提言がなされているから」と答弁しています。本当に全国知事会は、個人を犯罪者におとしめる刑事罰まで求めているのでしょうか?
昨年以来の新型コロナ対策で、全国47都道府県知事の役割が一気に注目されています。かつて「地域主権改革」と言っていた時代、どちらかというと抽象的な地域主権だったのですが、今回のコロナ危機では、国のリーダーシップが見えない中で、各都道府県知事の必死のリーダーシップが光っています。これはこれで望ましいことです。2009年の新型インフル発生時、滋賀県知事であった私自身、県としての判断をまさに当時の140万県民の1人ひとりへの感染がひろがらないよう、必死に考え、方策を実践してきました。
今回、緊急事態宣言が首都圏に出された1月7日の二日後の1月9日には全国知事会が47知事を代表して「新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言を受けた緊急提言」として、7ページにわたる提言を、各政党政調会長や関係省庁に提出しています。その第1項には、「感染拡大を防止するためには、保健所による積極的疫学調査や健康観察、入院勧告の遵守義務やこれらに対する罰則、民間検査で陽性となった本人による保健所への連絡の義務化など感染症法の改正を行うこと」とあります
でもこれ以上、罰則についての具体的記述はありません。それ以上に、7ページにわたる提言では、飲食業界はじめ事業者への支援の具体化や雇用創出の支援、医療提供体制や医療従事者の処遇改善や、ワクチン接種の具体化、保健所機能確保への支援、海外からの入国者への水際対策、子どもや貧困者への支援、自殺対策や学生支援等を柱に「誰ひとり取り残さない社会の構築」を提案しています。
また今回、緊急事態宣言の前段階でも、都道府県知事が「まん延防止等重点措置」を新設でき、飲食店などに営業時間の変更について権限の強い「命令」をできるように規定しています。この期間に事業者が命令に違反した場合は30万円以下の過料とし、立ち入り検査は報告を求めることができるが、これを拒んだ場合には20万円以下の過料を設けるとあります。
この「まん延防止等重点措置」についても知事会からの要望はありません。国は都合のよいところだけ「全国知事会からの要望」と言っていますが、知事会の皆さん、ここは、知事会としても、刑法罰を導入することに賛成なのか、声をあげていただきたいと思います。皆さんのご意見はいかがでしょうか?