Facebook 2020年10月28日 7月豪雨で氾濫した球磨川の治水対策について、新たな協議の場として「球磨川流域治水協議会」が設置…

7月豪雨で氾濫した球磨川の治水対策について、新たな協議の場として「球磨川流域治水協議会」が設置され、初会合が27日開かれ、今年度中に具体的な治水対策をまとめる方針を決めました。ZOOMで一般参加者として、東京の参議院会館から熊本での会合を見せていただきました。未曽有の水害被害をうけた地元としては一日もはやく、治水対策をまとめたい、という行政担当者の気持ちはわかりますが、二点の疑問があります。少しおつきあいいただけるとうれしいです。10月27日。

まずなぜ「流域治水なのか?」という点です。この7月に「気候変動を踏まえた水害対策のあり方について」という答申を国の社会資本整備審議会が出しました。温暖化が進み(ダムや堤防などの)施設能力を超える規模の洪水が発生することを前提に、「あらゆる場所における対策」を「あらゆる関係者の協働」により進めるとあります。これまで(ダムや堤防など)河川の施設整備中心だった対策が、河川内部だけでなく上流の森林や水田、また人びとが暮らす地域の土地利用や建物配慮、さらに避難体制までふくめて広げられました。

2006年に滋賀県知事に就任をして8年かけて、流域治水推進条例を制定してきた経験者としては気候変動時代に即したタイムリーな政策転換と思います。ただ、今日の球磨川流域治水協議会をみて、そのメンバーの限定に疑問をもちました。協議会メンバーが、九州地方整備局(国の機関)と、知事や市町村長など、基本的に行政メンバーだけで構成されていることです。河川から流域に対策領域をひろげる、ということは、地域に暮らす住民にとって大きな繋がりと関心があるはずです。

今、私たちは、球磨川流域で犠牲になった50名の人たちの「何が生死をわけたのか?」と一軒いっけん訪問をして調査をさせていただいております。浸水被害も、溺死被害も、被害者は住民です。それゆえ、住民参加は必須です。滋賀県では、条例づくりのために「行政部会」「住民会議」「学識者部会」のみっつの会議をまる3年かけてつくり意見をもらいました。

二点目は、現行の河川法とのかかわり方です。実は平成9年の河川法改正では、一級河川の工事には「河川整備計画」をつくらなければならず、河川法16条の2には「学識経験を有する者」からの意見聴取と、「関係住民の意見を反映させるために必要な措置をほどこすこと」が規定されています。ということは平成9年の河川法の方針と規定からも後退している、ということになります。

ただ、ひとつ、期待がもてたのは、蒲島熊本県知事はあいさつの中で、「緑の流域治水」と言及していました。熊本地震の災害対策にたいして、創造的復興を柱としてきた蒲島知事のことですので、環境に配慮したグリーンインフラに基づく流域治水方針を出していただけたら、と思います。「球磨川は地域の宝」と言ってこられた蒲島知事です。

50名もの命を失い、大変な被害を受けながらも、球磨川の清流を守りたい、と切望する地元住民の声にもまっすぐに向き合っていただけたら、と願います。

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