・鮮やかな 仲秋満月 コロナ禍を 患う地球の 呪薬ならむか
・神無月 二度も満月 廻り来て コロナ禍占う 呪薬となりて
近江神宮宮司の佐藤久忠さんが、近江神宮ご鎮座記念祭でご披露なさった歌です。今年は10月に二度、満月がみられたこと、近江神宮からは、琵琶湖に映る満月がいたく美しく、それゆえ、コロナ禍に悩む地球の呪薬(祈りをこめた薬)になってほしいことをうたったものです。11月8日。(1200文字)。
かなり肌寒い中、近江神宮本殿で、佐藤宮司さんの祝詞に次いで、神礼頒布の儀が行われました。参拝者に交じって、私も玉串奉納をさせていただきました。境内はちょうど七五三参りの家族連れでにぎわい、うれしい情景でした。2020年11月7日から辿ることちょうど80年、1940年(昭和15年)にこの地に鎮座された近江神宮。御祭神は天智天皇で、667年に奈良の飛鳥から近江に遷都した近江大津宮跡地に鎮座しています。
佐藤宮司さんの上のお歌が見事だったので、儀式がおわってから、社務所に伺い、神宮の森の歴史のお話等を伺いました。佐藤宮司さんは元々秋田県生まれで、明治神宮にまず奉職し、その後昭和63年に近江神宮に来られ、以来30数年、神宮の森を見続けてきたこと。ただ明治神宮のような深い森に育っていないので、もっと研究が必要とおっしゃっておられました。
私の方からは、今の一の鳥居の巨木の源は西浅井町(今は長浜市)小山地区の丹治義三氏の山から切り出され、大浦港から筏に組んで近江神宮前の柳ケ崎まで琵琶湖上を運んできたこと、その時の写真を、琵琶湖博物館準備室時代の県内の生活写真探索の折に私自身、丹治さんの家で発見し、今琵琶湖博物館に保管されていることなど、お話をさせていただきました。
近江神宮の造営工事の様子や、その当時、どれだけの苗がどこから奉納され、どのようない育てきたのか、また今の植生がどうなっているのか、くわしい報告があります。滋賀県植物同好会編『近江の鎮守の森』です(サンライズ出、2000年)。ここには近江神宮に種類が多い「冬虫夏草」の紹介とともに、コケ類の記述や志賀町栗原の水分神社の祭りの記録は、今はなき盟友の小坂育子さんの記述も掲載されています。なつかしいです。
また後半は、滋賀県内38神社の森ガイドが掲載され、皆さんのお近くの神社の由来や植生を知るにもうってつけと思います。全国的にみても、滋賀県の神社は式内社など歴史も負ふる、また地域の住民の皆さんが丁寧に維持管理をしてきているので、見事な歴史的景観を生み出しています。滋賀県の隠れた誇りのひとつです。
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