9月15日、平野部では稲穂が実る秋、実は山の中でも実りが進んでいます。かねてから、「びわ湖源流の森林文化を守る会」では、水源の森での巨樹・巨木保全をすすめてきましたが、その中心はトチノキ巨木。その実が拾えるのは9月上旬の今しかありません。鹿さん達に食べられないうちに!と競争です。ようやく念願のトチノミ拾いに、湖西の高島市朽木へ!!(1200文字)
滋賀県では2008年2009年と、樹齢300年~400年というトチノキ巨木が数十本も民間業者により伐採され始めました。トチノキはほとんどが個人の所有物であり、所有者の理解を得ながら、県としてもトチノキ保全に動きはじめました。10年前の2010年のこと。保全木の指定制度をつくり所有者や民間団体が協力をして、樹木の監視とともにトチノミを拾い集めて、水さらし等をして、トチ餅づくりやトチ染などの文化的活動をすすめてきました。
今日のトチノミ拾いは、「巨木と水源の郷をまもる会」の小松明美さん、朽木村生杉の今井尚さんの案内で実現しました。守山市の藤野ひろみさんも同行してくださり、トチノキだけでなく、カツラの巨木などにも出会いました。トチノミ拾いは、頭の上から「ボトッ!ボトッ!」とおちてくる現場に出会い興奮!帽子かぶっていないと危ないくらい!
皮をむいたときに飛び出してくる、その黒々とした光にも感動!双子や三つ子もあります。「狩猟採集時代」の縄文人にもどった気分、あっちにひとつ、こっちにひとつ、探して拾うのが何よりも楽しい!
そういえば思いおこします。1990年代初頭、琵琶湖博物館を計画していた準備室時代、縄文時代の琵琶湖中の粟津遺跡の発掘現場を見学をしました。6000年前のトチノミが土中から出現!それがまさに今落ちたような輝きをもっていたのにびっくり。当時、米はまだ琵琶湖地域には導入されていません。シジミや魚類、森中のシカやサル等とあわせて、森林のトチノミが主な栄養源。必要栄養分の半分以上をトチノミがしめていた、という研究も滋賀県文化財の担当者がだしてくれました。
帰りには、こちらもかねてから訪問したかった、藤村家を訪問。朽木でも最も奥の小入谷の山影の平地に、高床式の暖炉付き住宅をたて、地下水と山水を引き、周囲には野菜やお花をいっぱい育てて自然暮らし。次男の太郎君は高校に行かず自力で勉強して大検をうかる。太郎くんは手植えの有機栽培でコメを育て、野菜もつくる。
そして「森にはいると幼い樹木が育っていない。みんな鹿に食べられてしまう。森の未来が心配だ」と、自ら種を拾いあつめ、芽だしをして地元の遺伝子をもった幼木を育てています。森が大好き、生き物が大好き、そして丁寧にていねいに農作物をそだて、漬物まで自分でつくる太郎くん、とってもとってもまぶしい若者です。
夕方はいそぎ湖西線から京都経由で新幹線に。明日から臨時国会がはじまります。朽木の森と琵琶湖の香りと思いを心にさぁ国会へ!!
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