女性医師問題で唖然・茫然・そして失望・・・・。東京医科大学では、文部科学省の幹部の息子を裏口入学させるだけでなく、女性受験者の得点を一律減点し、合格者数を抑えていた、という恣意的操作があったという。8月2日。(また長いです。ごめんなさい。共感いただけましたらシェア―よろしく)
読売新聞の記事によれば、女性医師が結婚や出産で離職すれば、系列病院の医師が不足する恐れがあるといい、大学関係者は「必要悪、暗黙の了解」という。医学部という難関入試をめざし、日々努力している女子学生。また結婚や子育てと医師の過酷な仕事を両立させようと頑張っている日本中の女性医師、女性医師を支える配偶者や家族、また男女共同参画を進めようとしている大学・医師会関係者にとっては、何ともやるせない、大学入試という本来公正であるべき組織権力の不正行使といえないでしょうか。
2006年に滋賀県知事に就任して直面した医療関係問題として「医師不足問題」がありました。研修医制度の改革などにより都市部に医師が集まり、滋賀県では各病院が医師不足で悲鳴をあげていました。ここで発見したのが、医学部卒業生の女子比率は若い人では3割以上になっているのに、医師の仕事と結婚・子育ての両立が極めて難しく、途中退職する女性医師が多いという実態でした。背景には、女性医師の子産み・子育てを、医療現場として、医師会として、また医師を輩出する大学など組織として、また社会全体としての理解が遅れ、対策がとれていないという発見でした。
そこで2010年、全国知事会の男女共同参画委員会の委員長に手をあげて、全国の実態をしらべ、「女性医師がいきいき仕事を続けるための提言」をまとめました。当時は民主党政権で、内閣府や文部科学省、厚生労働省にも提言書を出しました。国としても内閣府を中心に研究会や勉強会、そして社会的な意識啓発に動いて下さいました。当時の内閣府の「男女共同参画」という雑誌の巻頭言に私の言葉をまとめています。下記です。
―――――――――――――――――――――――――――
<巻頭言> 共同参画に寄せて 滋賀県知事 嘉田 由紀子 (2012年2月)
昨年、私が委員長を務める全国知事会男女共同参画特別委員会において、「女性医師がいきいき仕事を続けるための提言-仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現のために-」をまとめ、提言した。地域では、医師不足が深刻化している。一方で、極めて過酷な勤務環境の中、働き続けたいと希望しながらも仕事と生活の両立ができず、仕事を辞めざるを得ない女性医師が多くおられる。
提言では、継続就労が進まない要因の一つに管理職等指導的立場にある女性が少ないことを指摘し、早急に医療分野における女性の意思決定過程への参画拡大を進める必要があることを提案させていただいた。
「男女共同参画」は、医師不足という課題だけでなく、社会の多くの課題を解決の方向へ導くキーワードと言える。経済・産業や地域社会の活力を持続的に発展させ、世代を超えて幸せや豊かさを実感できる未来を拓くためにも男女共同参画の視点は不可欠である。
柔軟で、強靱な社会づくりに責任を持って取り組む女性が増えることを強く願いつつ、あらゆる分野における女性の活躍を阻むものの解消に向けて、地方自治を担う責任者の一人として果敢に取り組んでいきたい。
(提言内容は全国知事会 HPで検索下さい)
――――――――――――――――――――――――――
滋賀県としては、知事として責任のもてる政策として「ベビーシッター派遣事業」を予算化し、医師会などに働きかけて、女性医師の幹部を増やせるような働きかけをしてきました。また協力可能な県内唯一の医師養成機関である「滋賀医科大学」に「男女共同参画推進室」をつくり、当時の馬場学長を中心に、また現在の塩田学長を先頭に、女性医師の実態調査をはじめ、同時に学内の保育環境の整備、女性医師のキャリアアップ制度などを発足させました。現在の活動状況は滋賀医科大学の男女共同参画推進室のHPをご覧ください。
また皆さんの率直なご意見、聞かせて下さい。