○嘉田由紀子君 碧水会の嘉田由紀子でございます。少数会派にもお時間をいただきまして、ありがとうございます。
私、今日は大きく二点取り上げさせていただきます。
一点目は、言うまでもなく、この黒川元検事長の問題でございます。これまで既に元榮議員からただいまの高良議員まで七名の方がそれぞれ緻密な議論をしていただきましたが、できるだけかぶらないようにさせていただきたいと思います。
今回のこの黒川元東京高検検事長問題ですが、私自身は、広く国民の皆さんの意見を聞かせてもらおうと思いまして、もちろん新聞などでの世論調査というのはあるんですけれども、より質的な意見を聞きたいと思いまして、私がフェイスブックを対話的に進めております五千人のメンバーの皆様に、土曜日、二十三日に二点の質問をさせていただきました。
一点は、黒川氏の処分が訓告とされたが、この処分内容は妥当と思うか、国民として納得できるか、その理由はと。もう一点は、安倍総理の責任、法務大臣の責任、どちらが重いか、その理由はと。かなり単純に分かりやすく、二点質問させていただきました。
そして、今日の十三時までに、具体的に四百六十七名の方が反応していただき、そしてコメントは百六十六名、その全てを読ませていただきまして、まとめていきますと、まず一点目、訓告を妥当と思うかという方は百六十六名のうち二人しかおられませんでした。つまり、九九%以上は妥当だと思っていないと。もちろん、それぞれにニュースなどを聞いていろんな御意見をお持ちなんですが、大きく分けて二つでした。
一つは、今回、鈴木宗男議員お越しいただいていますけれども、例えば二〇〇六年の安倍政権のときの閣議決定、こういうところとバランスが取れないじゃないかと、これまでのいろいろな処分と比べて。やはりバランス、公平性というのが大事だろうと。もう国民の皆さん、皆、今、特にネットでいろいろ調べられますから、過去のことがよく分かります。それが一点目です。
それから二点目は、まさにこの新型コロナで皆さんが自粛しているときにこんなことがあっていいのかという、その道義的、倫理的な問題です。ただ、一部マスコミ関係者の方からは、賭けマージャンはマスコミでは当たり前だと、これができないと取材ができないという、そういう御意見もございました。そういう意見があったということです。私がそこにどうこう思うことではございません。
それから、その中で、二点目ですが、森法務大臣に具体的にお伺いしたいことなんですけれども、先ほど来、山添議員も質問していらっしゃいますけれども、五月二十二日の記者会見でですね、こうおっしゃっておられます。様々なことを総合考慮した上で、内閣で決定したものを、私が検事総長にこういった処分が相当であるのではないかと申し上げて、監督者である検事総長から訓告処分にするという知らせを受けたと。ただ、一方で、ここでも既に議論になっていますけれども、五月二十五日の東京新聞、また共同通信では、法務・検察内には懲戒処分が相当との意見が強かったが官邸の判断で訓告となった。もちろん任命権者は官邸ですから、総理大臣ですから、それは手続的に防衛できる話だろうとは思いますが、ここでちょっと、細かいことですが、三点、森大臣に聞かせてください。
まず一点目ですけど、先ほど引用した二十二日の記者会見、法務大臣が言われたこういった処分というのは、内閣で決定した訓告処分を意味しておっしゃったのか、それとも法務省や検察内で意見の強かったと言われる懲戒処分を意味していたのか、どちらでしょうか。
○国務大臣(森まさこ君) まず、その報道を引用なさいましたけれども、事実としては、法務省内では訓告という処分を相当としておりました。
私どもは、法務省としてまず調査をいたしまして、その調査結果を踏まえて事務方においてまず案を作り、私のところに持ってきた事務方の案が訓告でございました。それを基に、政務三役そして幹部において法務省内で協議を行いました。様々な意見も出ましたが、その中で先例を検討したり、先ほど委員がおっしゃったような処分の公平性という点から様々な先例も検討いたしました。その結果、訓告が相当と考え、その意見を内閣の方にお示しし、それの了承をいただいたところでございます。
そして、訓告というのは、その訓告処分をする主体は検事総長でございますので、私の方から検事総長に対して訓告が相当であるということをお伝えし、検事総長からも訓告が相当であると判断するというようなお知らせが来ました。
内閣において了承をされた後、検事総長から黒川氏に対し正式にその訓告の措置というのがなされたものでございます。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
結論的には、検事総長と森法務大臣、そして内閣、まあ閣議の責任者である安倍総理大臣の間に判断のそごはなかったということでよろしいんでしょうか。確認をさせてください。
○国務大臣(森まさこ君) はい、ございませんでした。
○嘉田由紀子君 この件はまたこの後いろいろあるとは思いますけれども、私がフェイスブックで質問を出した大きな二つ目、今回のこの一連の問題、安倍総理の責任、森法務大臣の責任、どちらが重いかと聞かせていただきましたところ、圧倒的に、ほぼ一〇〇%の方が当然安倍総理だという御判断でした。理由としては、そもそも黒川元検事長がモリカケ問題など抱える安倍政権の守護神として内閣を守る役割をしてきた、今後は刑事罰に及ぶかもしれない桜問題などで追及されるかもしれない、そのおそれから黒川検事長を総長として実現したかった、そういう中で、安倍総理大臣が、国民自身が安倍総理の意図を見ていたということだろうと思います。
そういう中で、森法務大臣、この国の主権者は誰でしょうか。改めてお願いします。
○国務大臣(森まさこ君) 国民です。
○嘉田由紀子君 当然国民です。憲法の前書きにもあります。
その主権者である国民の大多数が、今回訓告では納得できないと言っております。ただ、同時に、最大の責任者は安倍総理であり、森法務大臣は安倍総理がこれまで様々私物化してきた政権運営の盾になっているというふうに多くの方が解釈をしております。そういうことが、私の中に意見を言っていただいております。
これ以上質問はいたしません。ただ、多くの生の声の中にこういう書き込みがありました。森大臣は安倍さんの盾になり、そして、安倍氏は女性活躍社会と言いながら女性大臣をある意味では保身のために使っているのではないのかと。あるいは、官僚に対して人事権を盾にそんたくを強いる、責任は首相にあります、森大臣はつらい立場です、心から語りかけてくださいという意見がありました。
実は、最近、四月三十日に、女性議員飛躍の会が「女性議員が永田町の壁を砕く!」という本を出版なさいました。女性政治家として大変期待をして読ませていただいたんですけど、その中に森大臣の子供時代から今までの人生が語られておられました。大変御苦労なさって、特に悪質な借金業者に追い立てられてなかなか学校にも行けないというような問題。だから、言わば弁護士になって、この消費者行政を進めたいんだという一連の物語に私も大変感動いたしました。そして、その章のタイトルが、人々の善意が私を育てたとございました。主権者である国民、まさに国民の善意が、森大臣に法務大臣としての本来の役割を果たしてほしいと期待をしている、それが私のフェイスブックに載せられておりました。
そういうことで、これ以上質問いたしませんけれども、この後、このまま黒川問題はほっておけないというのが多くの皆さんの意見です。
特に、訓告というのは二つの問題があると思います。一つは、訓告は、人事院の規則の中にも、その職に残しておいて将来における指導をすると。黒川さんはもう辞めるんですから、訓告という処分そのものの意味がない。それから二つ目ですが、安倍総理がその後、訓告の場合に退職金が減らされるという、そういうような発言をしているんですけれども、これは人事院などに尋ねてみましても、訓告の場合には懲戒の部類には入らないので退職金は減らされないというようなことでございますので。
つまり、最後にお願いをしたいのは、この後、まだまだ不明瞭なことが多いので、この件に関しては黒川さんが辞めたから終わりではないと、首相出席の集中審議を国会としても進めていく必要があるのではないのかとお願いをしておきます。
大分時間がたってしまったんですけれども、もう一つ、私自身、森大臣の子供時代の話を聞かせていただいて、私たちも、本当に苦しかった昭和二十年代、三十年代、そういう時代を見ながら、子供さんが幸せになれる社会づくり、これはずっと今まで話をしてまいりました。
そういう中で、今回、法務省の民事局が特に父母の離婚後の子の養育に関する海外法制調査結果をまとめていただいて、二十四か国の結果を公表されました。その中で特に私どもが気にしているのは、夫と妻、当事者だけで離婚が決められる協議離婚を認めている国はほとんどないということが分かったわけです。特に未成年の子供がいる場合といない場合にかかわらず、離婚には裁判など法的過程が関わっている国が多いということです。
ここでもずっと問題になってまいりました養育費、面会交流なども含めて共同養育計画のような方針がなく、裁判所などでの容認もなく簡単に離婚が認められる。これは、市町村窓口で形式的に届け用紙が記入されていたらそれで離婚が認められるという国、日本は今そうなんですけれども、そういう国がこの二十四か国の中にありましたら教えていただきたいんですけれども、法務省さん、お願いいたします。
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
今回、法務省が外務省に依頼して二十四か国を対象に実施した海外法制調査の結果によりますと、未成年の子供がいる夫婦について協議離婚を認めている国といたしまして、例えばインド、タイ、中国、サウジアラビアが挙げられております。また、フランスは弁護士が連署するなどの法律家の関与の下で協議離婚を認めております。
これらの国々のうち、インド、タイ、中国では、養育費又は面会交流について取決めをすることが義務付けられており、フランスでは義務付けられていないということでございます。また、サウジアラビアにつきましては、この点について明確な回答が得られなかったところでございます。
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
日本では実は離婚の九割が協議離婚です。そして、意外と、日本のこの離婚制度、判こ一つで市町村が受けてくれたら離婚が成立するというのは世界的に見ても極めて異例だということ、日本人自身が余り自覚してない、知りません。それが今回の調査で分かったわけでございます。
私が常々、もう去年からずっと気にしておりますのは、親の離婚の後、毎年二十一万人余りの子供が暮らしと福祉、放置されてしまいます。最新データでは、子供は毎年、八十六万人、九十万人生まれていないんです。そのうち四人に一人の子供が片親ロスの離婚を経験させられる。こんなに子供の生活、子供の福祉、子供の未来を無視した離婚制度は世界的に見ても例がないということが今の答弁でも判明したのではないでしょうか。
実は、世界の子供の幸せ度調査というのがあります。残念ながら、日本の子供の幸せ度は、特に先進国の中ではいつも最下位に近いんです。その背景が言わば子供の貧困の問題、七人に一人、あるいは虐待の問題、そして様々放置される。今回でもコロナ問題で学校に行けずに虐待が増えております。一人親家庭で本当に食べるものもないというような声もたくさん聞いております。
日本のように夫と妻の都合だけで子供の養育計画もなしに離婚ができる国は極めて異例だということでございます。そういう中で、じゃ、具体的にどうするかですけれども、一番重要なのは、共同養育計画をまずは離婚に向けて作り、そしてそれを公正証書化をして、そして公正証書化作るときのサポートとして、例えばADR、裁判外紛争解決手法などの支援が必要だろうと思っております。
実は今日、皆さんにかなり資料をたくさんお配りしましたけれども、資料一は、明石市が出しております「親の離婚とこどもの気持ち」、資料二は、「お子さんの健やかな成長のために 養育費と面会交流」、資料三は、面会交流の後の様々な交流ノート、そして資料四は、ある弁護士さんたちが取り組んでおりますADRなどの共同養育計画を作るサポートの仕組みでございます。
そういうところで、今日もう時間が十分ないんですけれども、是非、森大臣にお伺いしたいのは、この地方自治体の取組を今こそ全国で拡大すべきではないでしょうか。自治体の協力を仰ぎ、未成年の子供を有する夫婦が協議離婚する場合には、共同養育計画を作って、そして公正証書化することを、離婚届とともに添付すること、これを法的に義務付ける、こういう方向をいろいろ考えられないか。
困難はあると思います。実はこの協議離婚は、明治民法で決められているもう百年以上の伝統、判こ一つで離婚できる。それに対していろんな困難があると思いますが、法務大臣の御意見を聞かせていただけたらと思います。
○国務大臣(森まさこ君) いつも嘉田先生、この問題御質問なさって、とても熱心にお取り組みなさっていること、敬意を表します。
義務化について困難があるというふうに嘉田先生もおっしゃっている、私も同感でございますが、未成年の子がいる父母が離婚する場合に、養育費や面会交流といった子供の養育に関する事項について必要な取決めがなされることは、子供の利益の観点から重要であるとは思います。
法務省でも、三月、離婚を考えている方々が考えておくべき事項を整理したホームページを開設いたしました。夫婦間で離婚時に必要な取決めをすることの重要性について周知、広報に取り組んでまいります。
また、現在、商事法務研究会が主催する家族法研究会において、未成年の子がいる父母が協議離婚する場合に、養育費や面会交流の取決めを含む養育計画の作成を義務化すること、その際、公正証書によることなどの当否が検討課題の一つとして議論されております。
この課題については、今おっしゃったとおりですね、DV被害がある場合の取扱いとか、公正証書の作成義務付けた場合の費用負担どうするかなど、様々なやはり困難と申しますか、課題がございまして、慎重に検討する必要があるという意見もございます。
かねて私、毎回申し上げておりますが、父母の離婚後の子供の養育の在り方は、子供のため、子供の健やかな成長のために大変重要な課題と考えておりますので、委員の御指摘も踏まえて引き続きしっかりと検討させてまいります。
○嘉田由紀子君 御丁寧にありがとうございます。
必要があり、そして弱い立場の子供たちが放置されている。できるかできないかではない、やるかやらないかだ、それが政治に任された、また法務大臣の大きな役割だろうと思います。期待をしております。よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。